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会計士 異世界に立つ  作者: 一村
少年期 ~ ロコの町
11/21

第11話 3の月8日 新商品

第11話 3の月8日 新商品


 まだ日の昇る前、ライトは床に膝と手をつき、ひとり呻いていた。



 「っぷ 気持ち悪い 吐きそう」



 

 ゴートに開店前に調合するために店を使う事を了承してもらっており、早朝から実験をしていたのである。


 昨日あの後、自分にこまめに『鑑定』をかけ、MPは少しずつだが自然回復することが判明。


 ならば先にと、MPを消費する『簡易調合』の実験を行っていた。


 いまのMPでは3回までは可能だと計算していたので、早速スキルを使い3つポーションを製作した。


 ・・・まではよかったのだが、ご覧のとおりである。



 MPがゼロになったとたん、ものすごい脱力感と嫌悪感、思わず膝をつき呻っていたのである。


 (MPゼロの代償はでかいぞ 気を付けないとな)


 このままでは、しばらくはどうにもならないので、―レアではあるのだが―マイ草をかじる。


 効果は抜群で、多少体に違和感が残る程度にまで回復、MPは5回復していた。


 出来たポーションは3つとも 良 であり、状態が落ちるのは一部であって、そんなに悪い確率ではなさそうだ。



 次は、たった今1つかじってしまったがマイ草に取り掛かる。


 マイ草の効果はMP微回復であり、カロの実は効果を高める能力があることは分かった。


 マイ草は恐らくサイ草の変異であると思われるので、カロの実と調合してみるのだ。


 

 ポーション製造と同じ手順でやってみる。


 

 ・・・


 ・・・


 液体が水色に変わっていき、草の匂いが消えたところで火からおろす。


 

 MPポーション 薬・素材 状態:可 効果:MP回復



 ・・・できた。


 少なくとも、この町には売ってないし、この前の行商人も売ってはいなかった。


 新商品の完成である、しかしすぐには売ることが出来ない。


 ポーションなどの消耗品は一定量の在庫がないといけないと思っている。


 買いに来ていつも売切れですじゃあ話にならないのである。


 それに自分以外の人にはMPという数値は見えないし、そもそも概念がないと思われる。

 

 下手に売ると欠陥品だとケチを付けられる可能性だってある。


 正式名称であるMPポーションでは売ることはできないので、うまい売り文句を考えなければならないか?



 

 現状を把握する。


 ポーションは店で一番売れるものではあるが、つい先日仕入れを行ったばかりであり、在庫はまだ余裕がある。


 調合の能力は、どのようにあげるのかは、まだわかってはいないが、経験を積む事はマイナスにはならないだろう。


 なので、在庫に余裕がなくなるまでは、朝開店前に1~2個調合、夜1個『簡易調合』でいく事にしよう。

 

 MPポーションはある程度数がそろうまでは、店には並べられない。


 マイ草はそんなに数がないので、昼間アイが店番が出来るときにこまめに採取に行こう。




 そう考え事をしていると、まだ開店前だがゴートが店に出てきた。


 今から注文品の鍛冶を行うという。


 邪魔をしないよう遠目に『鑑定』を行いながら、その手さばきを見る。


 鍛冶5は伊達じゃない、さすがである。


 武器を打つ時たまに、MPが減っているようだ。 

 

 


 商品を打ち終わり、汗を拭いているゴートに話しかける。 



 「ゴー兄は武具を打つ時、スキルって使ってるの?」


 「ああ、今日の品ぐらいであれば、そんなに使う必要がないんだがな、一応『重ね打ち』というのをたまに使っているよ」


 「スキルって使うとどんな感じ?」


 「そうだなぁ なかなか表現するのは難しいが・・・一言で言えば 疲れる だな」


 「そうだ これ飲んでくれない?」



 そう言うと先ほどのMPポーションを渡す。


 ゴートは 俺に毒見させる気か とつぶやきながらも飲んでくれた。


 

 「っん これはいい 疲労感が抜けていくぞ どうやったんだ?」


 「内緒!」



 どうやらこの世界ではMPが減っていくことを疲労の一部と捉えるらしい。


 ありきたりだがMPポーションは 疲労回復薬 として売ることにしよう。 




 

 後に行商人から聞いたのだが、水色の液体は極まれに出来るようだが、明らかに色が違うので失敗品として廃棄処分としているそうだ。


 やっぱりマイ草の判別はできないのだろう。

 

 



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 

 『スキル:重ね打ち』・・・鍛冶スキル 素早く同じ場所を打つ 金属の強度を少し上げる

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