第10話 3の月7日(2) 調合
第10話 3の月7日(2) 調合
重い荷物を持って店に戻ると、ゴートは店にはいなかった。
アイはファーラビットとの戦闘で汚れているライトをみてオロオロしていた。
「大丈夫だからアイさん ちょっと汚れちゃったけどね」
そう言って戦利品のひとつであるファーラビットの肉を渡す。
アイは、肉を受け取ると笑顔に戻り、今夜はこれをメインにしましょうと言ってくれた。
早速レシピをみて、調合キットでサイ草とカロの実をすり潰す。
これらの粉末をアイが準備しておいてくれた、沸騰水の中に均等量入れる。
草特有の何ともいえない匂いが部屋に漂う。
・・・・・
アイと共に沸騰水を静かに眺める。
・・・・・
二つの粉末が熱を加えることによって化学反応を起こしたのか、だんだん緑色の液体に変わっていく。
「よし」
草特有の匂いが消えたところで、火からおろす。
「アイさんどうかな?」
「よく出来てるんじゃないですか?売り物と区別が付かないです。」
「ちゃんと出来てるじゃないか」
いつの間に帰ってきたのかゴートはライト作のポーションを手に取り眺めている。
どうやらうまく出来たようだ。
自分の作品を『鑑定』してみた。
ポーション 薬・素材 状態:良 効果:HP回復
(状態は 良 か サイ草は 優 カロの実は 可 だったからかな? この辺も要検証だな)
ポーションを眺めながら考え込んでいると、ゴートが話しかけてきた。
「おい初調合はどうだった?初めてにしてはうまく出来てるじゃないか」
「うまくいって良かったよ」
ほっとした顔でライトが言うと、ゴートは笑顔で先ほど粉末を手に取る。
「ライト ちょっと材料借りるぞ?」
ゴートはそう言うと2つの粉末を冷めてしまっている水の中に入れていく。
目をつぶり
水に両手をかざす
するともうそこにはポーションが出来ていた。
「どっどうやって」
慌てふためくライトをみて、ゴートは楽しそうに説明してくれた。
「これはスキルの一種で『簡易調合』という道具屋必須の能力だ」
「スキル?」
「ああ、これは一度でも作ったことがあるものであれば、手間をかなり省くことが出来る お前ももう出来るはずだ」
粉末を手に取り、水に入れ、手をかざす。
体から何かが抜き取られる感覚がする。
・・・ポーションが出来ていた。
(今の感覚はもしかして・・・)
自身とポーションを『鑑定』する
マース=ライト ♂ 種族 人
HP 25/25
MP 6/ 9
能力
短剣 1
商人1
鍛冶2
調合2
ユニーク能力
会計学 ☆
鑑定
ポーション 薬・素材 状態:可 効果:HP回復
(今まで謎だったMPについて少しわかったが・・・)
スキルについて自分なりの考えをまとめる。
おそらく発動にMPを消費するかわりに、効果を得るのだ。
たぶん今の能力ではMPの数値から類推するに『簡易調合』は3回が限度だろう。
だが先ほどと同じ組み合わせだが状態は 可 だ。
ある考えが浮かぶ。
「ゴー兄ちょっと聞きたいんだけど、スキル使うと調合を失敗しやすいとかってある?」
「ああ 確かに経験が浅いと失敗が増えるという人もいるし 高級品とかの場合は手間でも調合する場合が多いな」
(・・・やっぱり)
『簡易調合』を使うと、完成品の状態が下がることがあるのだろう。
本来であればさっきのポーションも 良 ができるはずだったんだ、でもスキルを使ったことで 可 となったのだ。
(また検証しなければいけないことが増えた 先が思いやられるなぁ)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『スキル』・・・MPを引き換えに様々の効果を得る。能力が成長すると覚えることが多い。
『スキル:簡易調合』・・・一回でも調合を成功した物は、その手順を大幅に短縮することが出来る。ただし簡易調合で作った物は普通に調合するより状態が悪い物が出来る可能性がある。
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