見えない敵との戦い 二十一
2026年9月24日
麻木の今回の仕事はゲームをすることだった。田中が一つのゲームカセットとゲームハードを持ってやってきた。
「そんなぬるい依頼でいいんですか?」
「いいんです。大切なお仕事です」
田中はてきぱきとテレビにゲーム機を繋ぐ。そしてゲーム機にカセットを差し込んだ。ゲームを起動すると開発ロゴなどは現れず、ゲームタイトルが出てきた。黒い画面に 『太陽の神殿』 というロゴが出てきた。麻木はつぶやいた。
「やったら死ぬゲーム?」
「いえいえ。このカードを繋いで、それでゲーム画面上にアイテムが出現します」
そういい、田中はゲーム機に何らかの読み取り装置をUSBで接続した。
「まずはこれ。いや、まずタイトルを進めてください。スタートボタンをどうぞ」
言われて麻木はスタートボタンをプッシュした。現れた画面は部屋の中のようだった。
「これはクォータービューというものです。マップが四角いですよね。そこにアイテムを設置していくんです。飾りつけのゲームです」
「なにか女の子が好きそうなゲームですね。なんかこのポータルみたいなのにアイテムが出現しそう」
「お目が高い。そうなんです。送りますよ」
田中が機材にカードを挟む。すると画面に映るポータルの中にある、光る四角いボックスが開いた。画面に『明日までのイノチ』という本が出現した。その次に田中は『本棚』をゲームに送信した。麻木は田中の作業を見ながらつぶやく。
「この現れた本棚に読み込まれた本を設置するんですね」
「そうです。いくつか設置してほしい本がある。楽しいですよ、今回は」
麻木は画面の中の部屋で気になったことを言った。
「なんか壁紙変えられませんか?」
「まあ詳しい人に伺ってみます」
それから続々と田中が差し込むカードのアイテムを麻木は言われた通りに並べていった。しかし麻木は次々と送られるアイテムがすべて本であることが退屈になってきた。
「もっと…並べるのが楽しいアイテムになりません?この作業って僕じゃないとダメだとしても退屈です」
田中は手を止めた。
「これを開発したのは僕なんです。まあおっしゃることはわかります」
田中はカードを見る。そのカードは必要なデータだけを印刷された、簡素な白いプラスチックだった。
「久しぶりに腕が鳴るかな?まあご参考にさせていただくので、あと10枚ほど読み込んでください。今はそれでいいです」
「はい」
移りゆく時代と共に変化する影を使った技は、人の在り方を、そして国を変えていくことになる。




