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見えない敵との戦い 十四

2026年9月22日


麻木は再び太陽の塔に訪れていた。主人や仲介人の山下から「夜の塔のことはもういい」と言われていた。5階までたどり着くと、主人の作った休憩所の中で休むことにした。

夜の塔で計った6階の間取りが合っているのか。それを調査した麻木本人でやってほしいとのことだった。夜の塔はまだ正式な調査を行わないという方針を取ったとのことで、麻木の楽しみがほんの少し削がれていたのは事実。だが麻木は自分のした仕事は大きな意味があったと思っている。

「休憩時間残り4時間。ちょっと影の形を変えてみよう」

麻木は渦を作るイメージを思考した。それを手のひらの上に持ってくる。すると麻木の手のひらから光が発生した。

「だいぶ前より成長したんじゃない?…いてっ!」

頬につねられた感覚があった。肉体がつねられたのがわかった。

「へいへい。休めってことね」


「違うよ。なにが起こるかわかんないから止めろってこと」

ベッドに横たわる麻木の側に腰かけて麻木の手を握る主人は不機嫌につぶやいた。

だが麻木がやったことで主人はこの夢が自分が思っていたものとまた少し違うことにも気がついた。主人は麻木の行動を麻木と意識を繋いで見ていた。麻木が光を発生させたとき、麻木の作った光が現実の世界にも漏れ出たのだ。本から光が出てきた。つまりこの太陽の塔を作り出す本は、自分の持っているエネルギー以外の影を外に排出しているということだった。つまり、もし光以外を発生させるものだったら、それが外に出てくる可能性もある。残念ながら光以外の発生というのは難がある。この塔が持っている性質により、術者は影の力を消耗している。炎といったものは影の力の中でも消費エネルギーが高い。まずそういったものを消耗した状態で作ることは出来ない。

しかし、仮に塔の1階に守りの結界を張って、そこで炎の術を試そうという試みがあった場合、術者の肉体を炎が襲う可能性が高い。

「麻木君は禁止事項を増やす天才ですね」

主人ははにかみつつも咳払いし、苦笑いをした。


麻木に今回与えられた依頼は 『必ず6階だけの確認をするだけ』 というものだった。この仕事を仲介している山下によれば、この本の持ち主が本を盗まれたくない言っているそうだ。仕掛けを見るのを楽しむことがないようにしてほしいと山下に言われている。

「はー。まだあと2時間ある。まあまた帰ってきて休んでもいいかな」

そう思って麻木は6階の調査に向かった。6階の間取りは自分が夜の塔で計ったものと寸分違わなかった。ただ一つ、違うところがある。それは壁に大きな穴が開いていた。その穴はそれまで見てきた他の階とは違った特徴で、壁が完全な円形に抉れていたのだ。夜の塔にはない特徴だった。

「誰かがここでドンパチやったのかな。夜の塔にはない特徴…うわぁ、気になる…」

夜の月の塔は昼の太陽の塔とは違う空間であるということ。その証明だった。

「ここにお宝があったのか、だから奪い合いになったのか。それともここに何かの仕掛けがあったのか」

湧き上がる疑問の数々に麻木は次もこの太陽の塔に来ることが出来るよう努めようと決心した。





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