見えない敵との戦い 十
2026年9月20日
「一億万年生きた時の話です。なんでそんなにがんばるのって言われたんですけどね。そうしないと自分じゃないって思って、そうしたんです」
麻木はただ話を聞くことだけにしようと話に耳を傾けていた。
「途中で補給でくるんです。仲間が。その仲間に笑われる。がんばりすぎてますよって笑う。僕は老いることがない。だからいつまでも若いつもりでいる。笑えるのかなぁ」
明るい笑い交じりの声に麻木も笑った。
「一人で一億万年過ごしている僕に補給で来る人がいる。僕は宇宙にいるんです。とある惑星にひとりでいます。その施設がもう古くなったから建て替えますね。すみませんが宇宙船で待っていてもらえませんか?僕が立とうとすると、立てますか?って聞いてくる。たしかにその人たち、僕の友人なんですけどね。代も替わってしまってますが、友人の子孫です。僕をおじいさん扱いする。見た目の歳は変わらないけど、もう歳ではあります。でも大丈夫ですよって言って立とうとしたらうまく立てなかった。なんでなんですかね。その前の日まで普通に立ってたんです。でも、肉体が急に動かしずらくなる。そうすると、その人たちが手を取ってくれる。そしたら僕の身体は素直に動く。足が前に行く。僕はよくても肉体がさみしくなっちゃってる。ムリさせてる」
「そうですか」
麻木は相槌を打った。
「まだ時間はある。僕は行きます。行きますね」
「そうですか、行ってらっしゃい」




