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100日後に死ぬ僕  作者: 変愚の人
65/125

63日目

「勇人、ご飯ここに置くっちゃ」


「うん……ごめん」


部屋の外でカタリ、と音がした。今日は特に気だるさが強い。学校に行こうと思ったけど、身体がそれを許さなかった。



……いや、身体だけじゃない。心もだ。



目をつぶると、昨日の動画の光景が頭をよぎる。

最初の5分しか見てないけど、あれは……この世の地獄だ。



#


「あ、再生できた」


wmv、mp4と拡張子を変換ソフトで試す。3回目、aviでそれっぽい感じになった。

昔、Youtubeにバレーの動画をアップしようとしたことがある。その関係で、少しはパソコンのことは知っていた。


動画は、ある部屋を上から映していた。何かのお店のようだ。赤めの照明のせいか、全体的に赤っぽい色合いだ。


「何やろ、これ」


部屋の片隅にはベッドがある。壁にはベルトのようなものが幾つかあった。……何だろう、これ。


そう思っていると、男の人3人が入ってきた。皆結構年が行っている。一人はスキンヘッド、もう一人はオールバック。見るからに堅気じゃない。

そして、もう一人は背広姿だ。……この人、どこかで見たことがある。


すぐに女の人が3人入ってきた。皆、ヤクザっぽい男たちが後ろについている。酷く怯えた表情だ。


「……………!!」


スキンヘッドの男が満足そうに何か言う。音声は録音されていないようだ。

どこかで見たことがある人は、どかっとソファーに座り、背広とネクタイを脱ぎ捨てた。そして、女の人たちと一緒に来た男たちが、一人の女性を床に押さえ付ける。


……何か、凄く嫌な予感がした。今から思えば、ここで動画を止めるべきだったのだ。


女の人がバタバタと何かを叫びながら喚きちらす。オールバックの男が、しゃがんで何言かを呼び掛けると、彼女のもがきがさらに強くなった。


背広の男が何かを言う。そして……オールバックの男が注射器を取り出し、乱暴に女の人の腕に突き刺した。



「…………………!!!!!」



叫びは一瞬だった。すぐにぐったりして、女の人は動かなくなった。



別の女の人が、叫びながら逃げ出そうとする。それを男たちは殴って止めた。



そして、スキンヘッドの男は拳銃を取り出し……彼女に向けて撃った。



そこから先は、おぞましくてよく覚えてない。注射で動かなくなった女の人の服を、背広の男が乱暴に剥ぎ取ったこと。

撃たれた女の人は、それきり動かなくなっていたこと。残された女の人は抵抗する気力を失い、男たちに弄ばれ始めたこと。



……耐えきれなくなった僕は、そこで動画を止めた。



#


……あれは、一体何だったのだろう。そして、兄ちゃんはなぜあんなものを僕に預けたのだろう。



一つ言えそうなのは、あの2人は……多分、もう生きてはいないだろう、ということだ。



人が死ぬところなんて、見たくもない。ハッキリと、悪趣味な動画だった。

ただ、兄ちゃんがファイルを簡単に見れないようにした理由は分かった。多分、僕や母さんの目に触れさせたくなかったのだ。


……だとしたら、なぜあのタイミングで僕らにファイルのパスワードを教えたのだろう?


そして……多分、僕がファイルを開けたのは、兄ちゃんにとって想定外だったはずだ。それに対する兄ちゃんの反応は、ない。

僕が何をしたか、兄ちゃんは多分知っているにも関わらず、だ。


「ケホケホッ」


軽い咳が出た。具合はやっぱりよくはない。


ぼんやりとした頭で考えた。あれは、兄ちゃんからしたら何かしらの「武器」だ。だから、あれには何かしらの意味がある。

だとしたら、それはなんだ?あの店にいたのは、間違いなくヤクザだ。宮東会関連の話であるのは、間違いない。


じゃあ、あの背広の男は??そもそも、何で見覚えが……



「あ」



……思い出した。そう、あの人は確か……

それに気付いた時、悪寒が身体を走り抜けた。



……これは、とんでもないものを持たされてしまった。



僕は急いで洋さんに電話をかけた。……これは、明らかに僕の手に余る。

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