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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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93) 再会と爆弾発言なのね。

 現在、朝からお金を引き出すためにギルドの受付前に居ます。

 そして、オイラは何故か頭を鷲掴みにされて、情けなく垂れ下がった状態であります。

 ミューは何が起こっているのか把握できずに、只々呆然とオイラ達を眺めるしかない様です。


「何故ココに居るんですか、アイロさん。」

「ほほう、振り返らずに誰か解るとは大したモンじゃねぇか?」


「全力で逃げますので、放して下さいよ?」

「あ?逃がすワケ無いだろ、折角の獲物だぞ?」


「これからデートなんですよ?人の恋路を邪魔しないで下さいよ?」

「なっ!ナナシノ!?で、デート!?恋路っ!?」

「お、おおう?済まねぇな、ちょっとコイツ借りるぞ。」


 またまた、ギルド内の会議室へ持ち込まれました。後ろからミューとタダノさんが着いてきた。


「さって、どうやって2人だけで亀の魔物を倒した?」

「ひっくり返して溺死させました。」


「オイオイ……あっさり言い過ぎだろ?情報に対する値段交渉無しかよ。もう少し出し惜しみしろよな?」

「情報って、誰にでも出来るでしょ?」

「ナナシノさん……最初に思いついたり実行する事は重要な話なんですよ?」


 あ、なるほど“コロンブスの卵”と同じか……納得。


「もし、買って頂けるのなら、情報の値段は適正額で良いですよ?」

「相変わらず、適当だな。」


「ところで、アイロさんは何故ココに?」

「あぁ、エイメルハイザーが自治領を通ってアキナイへ入ったと聞いてな、その動向を調査しに来たワケよ。」


 は?エイメル?自治領?アキナイはこの国の名だからエイメルナントカは地名か人名か?

 関わると面倒な事になるのは明白なので聞かなかったコトにする。


「そうですか、お仕事頑張って下さいね。それでは、オイラ達はこれで失礼します。」

「待て、逃がすか。」


 それとなく退場しようと試みたが失敗に終わった。また頭を鷲掴みにされて、ぶら下り人形の様になってしまった。


「オイラに情報収集能力なんて無いですよ。調査に役立たないですよ?」

「ちょっと付き合え、今度は前に出て戦えとは言わない。」



~~~~~~~~



 昨日に続いて今日もまた、亀の階層に参りました。もう最奥の部屋の前です。

 もちろん、途中の罠はミューが対処しています。慣れた手付きで解除するのをアイロさんが誉めていました。


「というわけで、見てろ。」


 部屋に入っても亀の魔物は出現しなかった。倒してから出現するまでのクールタイム中だろう。

 そう思っていたら、アイロさんは手持ちの袋から魔石を取り出して部屋の中央に投げた。持って来てたんだ……魔石。


 部屋の中央に渦巻く白い霧、段々と収束して大きな影が出現する。そして咆哮……同時に殴られている、亀が。


「うっらあぁ!」


 亀がアイロさんを視認する前に頭部に打撃を入れて昏倒させる。少し変形しているが、シュウシュウと音がして形が戻るように回復している。

 アイロさんはその回復中に背中に飛び乗り、甲羅を拳でガンガンと数発撃ちつける。続いて“溜め”て大きな一発。甲羅が割れて陥没するのが見えた。


「爆ぜろっ!」

ごげばっ!


 再度、拳を振り抜くと陥没した部分から……うわぁ酷い。


「と、こうなるワケよ。」


 血塗れになったアイロさんがこっちに来る。怖いよ!?


「じゃあ、回収ヨロシク。」

「あ、ハイ。」


 トンと背中を押されて倒した亀をシーちゃんにお願いして回収する。今回は肉の部分も回収だ。


「んじゃ、次はナナシノだな。」

「えっ!?」


 アイロさんが魔石を投げた。その軌道は受け取れる位置じゃないので床へと転がる。続いて今度は黒い霧が渦巻いた。


「おおう、運が良いなナナシノ!駄目だったら言えよ?」

「え?戦いは無しって言ったでしょっ!?」


 待てアイロさん。オイラは戦わないって言ったよね?前に出て戦えと言わないって!?


「あ、そうだった。ま、やってみ?」


 軽い、軽すぎる。そのノリでいつか絶対死んじゃうよっ!?

 仕方が無いので、出現と同時に黒い亀をひっくり返す。そして首の部分に土壁で桶を作り水を満たす。そして待つ。

 すると、亀は手足を引っ込めて……


「うっわ!?何アレ!?」

「アレはそういうもんだ、頑張れ。」


 足を引っ込めた部分から頭が出てきた。亀の骨格構造を完全に無視している。逆にどうなっているか知りたいわ。

 感心している間にも、オイラは亀の口から発せられるブレスの射線から急いで外れる。

 そして射線の外に逃げても、頭を引っ込めてこっち向きに出てくる。逃げる、出てくるの繰り返し。


 アイロさんは向こうで大笑いしている。ミューはオロオロしている……加勢はしないように言われているのか?来ない。


「引っ込むな!」


 オイラはオリハルコン粘土を槍状に変えて頭に向かって投げる。亀の首に刺さるが、傷は回復すると思っているのか怯まない。


「突き抜けろ!」


 天井から突き出した岩で槍の石突を叩いて貫通させる。喉を貫かれた痛みで暴れるが、首に手が届かないので抜けない。

 また、暴れながらブレスを乱射しているが、既にオイラは射程外だ。


「もう一度沈める!」


 再度首の周りに土壁で桶を作り、水を満たす。

 亀は首を引っ込めようとするが、貫通した槍が甲羅に引っ掛かっているのでそれは出来ない。

 土桶の中でゴボゴボと咆哮していたが、そのうち動かなくなった。


「なるほどな、流石“勇者”だな。魔力が半端ねぇな……それだと魔術師系か?」

「え?勇者って……え?ナナシノ?」


「お?言ってないのかナナシノ?」

「ナナシノ?勇者って?ナナシノが?勇者!?」

「言うワケ無いじゃないですか、面倒事のネタになるだけだし。」


 こんなところで、まさかの爆弾が投下されました……


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