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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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87) 休日の終わりなのね。

「どっこいしょ、受け取りオネガイシマス~」


 ギルドの納品受付で討伐部位や素材等を置いて渡す。


「代金は彼女と均等に分けて下さいな。あと、討伐部位は彼女が全て倒しましたので、ソコもお願いしますね。」

「承知致しました。認識票を提示下さい。」


 ミューは分配について色々言っていたが、オイラは均等分配で押し通している。

 素早く手続きが完了し、訓練の効果のほどを確認する為にミューが駆け出す。


「ナナシノ、ステータス見てくるね~」

「おう、道中気をつけてな!」


「何言ってんだか。」


 まぁ、同じ部屋の隅に設置している“ステータスプレート”で見てくるだけなんだけどな。


「ステータスオープン」


ぱしん。


 仮面の機能でミューの情報というか、他のステータスプレート使用者の情報が視界の隅に表示される。これ……個人情報ダダ漏れなんだよなぁ。

 流石に知り合いの情報を覗き見する趣味は無いので、意識してソコだけ表示を消す。


「ナナシノ、凄いよっ!」

「おおう、どうした?」


「スキルレベルとランクが上がってた、嬉しい~」

「そかそか、また頑張ろうな。」



~~~~~~~~



 と、いうワケで……ミューの盾のメンテナンスという口実で、精霊のイッチーに会いに行く事になった。


「ナナシノさ~ん!」

「あ、アールスさんだ。」


 アールス達が鍛冶屋周辺でウロウロしていた。臨時収入もあり、装備の新調を考えているんだそうだ。


「あぁ、そうだアールス。防具もあるんだが、包丁とかが良い店知ってるよ。」

「ナナシノさん!是非お願いします!」


 と、いうわけで……鍛冶屋“ササノ”に到着。店番のサラサさんが出迎えてくれた。


「いらっしゃーい。あら、ナナシノ君。」

「盾のメンテナンスに来ました。あと、包丁を見せて下さいな。」


「はいよ、普通のなら、そこに並んでるよ。特注するのなら、やっぱりそこに並んでるモノを見てから言っておくれ。」


 そうしてオイラとアールスは並んでいる包丁を一振りずつ見分し始める。シュウとミトクは防具を見ている。

 ミューは盾をササノさんに手渡し、奥の方で話込んでいる。

 精霊ズは工房に入って行った。イッチーと会っているんだろう。


「おお。ふむ。これは……」


 アールスがまだ包丁を見ながら呟いている。オイラは既に見終わって、剥ぎ取り用ナイフに移っている。

 シュウとミトクの方は、防具について彼是とサラサさんと細かい点について話し合っている。


「さてと……中に入っても良いですか?」

「あいよ、じっくり見て行きな。」


 工房に入る許可を貰って中を見ると、ミューが盾を装備して色々なポーズを取っている。それをササノさんが真剣な目つきで眺めている。

 精霊ズは陰に隠れて座り込んでいる。あ、イッチーは酒飲んでるっぽいぞ?良いのか鍛冶の精霊、仕事はどうした?

 どちらのグループにも割り込む事が出来なかったオイラは、壁際のベンチに腰掛けて待つことにした。



~~~~~~~~



「ナナシノ……?」

「うお?」


 どうやら居眠りをしていた様だ。ミューが心配そうに覗き込んできた。


「あ、あぁ。大丈夫だよ。少し暇だったんでね、気が抜けたっぽいや。」

「ごめんね、待たせちゃったね。」


「いや、装備については真剣に時間を掛けてくれ、死活問題に繋がるからね。」

「うん、ありがと。私の件は終わったよ、盾の微調整は完了だってさ。」


 店舗の方に戻ると、丁度アールス達は支払い中だった。


「あ、ナナシノさん!良いお店を紹介してくれて、ありがとうございます!」

「いやいや、礼は要らないって。こうやって縁が繋がるんだよ。オイラも役に立てて良かった。」


 アールスは包丁を購入していた。シュウとミトクは鎧等の防具だ。

 オイラは結局何も買っていない。


 店から出ると、丁度18鐘の音が鳴り始めた。


「おお飯時だねぇ。」

「少し遅れましたね。」


 アールス一行は真っ直ぐ宿屋へと戻り、明日の行動について話をする。


「明日はやっとマトモな仕事になります。僕が就職する先の地域を見て回ります。」

「おおう、本格的になってきたね。」


「えぇ、先日の一件で空いた役職というのは、“事件に巻き込まれて殉死した”とされる領主代行が管理していた一部の地域を任されまして……」

「その護衛というワケかな?」


「いいえ、同行です。ナナシノさん達にこれ以上の迷惑はお掛けできません。」

「迷惑って言うほどの事じゃない気がするんだが?」


「事実、ナナシノさん達に助けて頂いているのは変わりませんし、クエストの条件は同行ですから……お願いします。」

「改めて言われると、そうだったよなぁ。うん、了解。」


「頑張りますので、明日は見守って下さい。」


 何だかアールスの目はヤル気に満ちていた。


「というワケで、明日は6鐘集合でお願いします。」


 あ、コレは周囲を巻き込む方向の”ヤル気”ですな……

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