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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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81) 新しい装備品なのね。

「新しい装備なのよ?」

「あ、はい。毎回ありがとうございます。」


「にょ?どうして改まった口調なのさ?」

「思ってたより地位の高い人なんだなぁ、と思ってさ。」


「何言ってるのよさ?キミだってその気になって頑張れば、一国を立ち上げられる“召喚者”なのよさ?」

「いやいやいや、そんな甲斐性はオイラに無いって。」


「キミなら精霊を使役して精霊王とか、魔王とかなれそうじゃないのよさ?」

「えっ!?オイラが魔王に就けるのを知ってるの!?」


「え!?就けるの!?」

「あ、知ってると思ってた……」


「ま、まぁ……ほんの例え話だったのよ?」

「あ、あぁ。そうだよね、オイラも最初は目を疑った。」


「就けちゃうんだ……?」

「うん、ジョブプレートだっけ?それで出てきてチョット困った事になったよ。」


 二度も確認されたので冒険者ギルドでの出来事を掻い摘んで話した。小柄ちゃんの反応は薄かったが、困惑が無いとも言えない表情だった。


「ところで、新しい装備品って直ぐに着替えた方が良いの?」

「あ、そうね。お願いできる?」


 気を利かせて後ろを向いてくれている小柄ちゃんに、何故かオイラも背を向けて着替えを始めた。

 っていうか、新装備って何が変わったんだろう?前と同じ様に見える。

 何故か仮面も眼鏡とセットで用意されていた。仮面は戦闘時に装着という感じかな。

 あと、元のローブの左袖にあった“精霊の袋口”の移動も、シーちゃんにお願いして完了してもらっている。


「これって、何が変わったのか解らないんだけど?」

「あ、何だか“マイナーチェンジ”というモノらしいのよさ?」


 どうやら生産関係のスキルを持つ“召喚者”の作品という事だ。

 小柄ちゃんが教えた基礎的な構成や魔法陣の組み込み、スロットの拡張等を“召喚者”が装備品へ組み込むらしい。

 装備品について説明を聞くと、防御系のルーンが満載と……覚えきれなかった。


「ま、まぁ。前の装備品についての感想は無いんだよね……ゴメン。」

「あら?悪魔系の魔物と戦ったと聞いていたんだけど?」


「う……逃げ回って岩で押し潰した。」

「成程、勇者様の戦闘スタイルでしたね?」


「だって、当たったら痛いじゃん。」

「そうですね、次回作の参考にするのよさ?」


「お願いしまっす。それで、話が変わるんだけど……これ。」

「にょ?」


 オイラは今回の戦利品をテーブルの上に全て並べた。


「ちょ、ちょっとこの量は何なのよさ?」

「量?」


「勇者様に渡した精霊付きポーチの収納量じゃないのよさ?」

「あら?そうなの?でも入ったから問題無いよ?」


「ふぇ?だって、そこまで入る様な子じゃ無かった……あら?袋の子が居ないけど?」

「そこに居るよ?」

 

 オイラは背負い袋の上に丸くなっている猫型シーちゃんを指差した。


「ほぇ?違うでしょ?同じ系列だけどランクが違うのよさ?外に出てるのよさ?ほぇ?」

「ランク?ランクアップしたんだけど?」


「ほぇえぇ!?」


 ちょっと吃驚したが、甲高い悲鳴に耐性が付いたのかもしれない。スキルに載って無いけど。


「それは無いでしょ?だって袋に憑いた精霊がランクアップって聞いたことが無いのよさ!?」

「でも、色々手伝って貰ってたからランクが上がったんじゃないの?」


 小柄ちゃんからは精霊付きの袋に憑いた精霊は、消滅しない程度の魔力補給を袋に入った品の魔力残差で補っているだけでランクが上がるような事は無いという。

 オイラはポーチから出てきたシーちゃんとの経緯を話すと納得したようで、別の精霊付き袋で試すような事を怪しい表情で呟いていた。


「つまり、空間拡張の魔法をそのままに契約したのよさ?」

「そういう事になるのかな?」


 何だか、通常の精霊との契約と手順が違うようだった。

 通常であれば双方合意の下であっても、魔方陣を介して契約を強制的に締結させたりするそうだ。

 オイラの手順だと精霊を使役するには“緩々”な関係となり、行使する魔法の出力に影響が出るんだと。

 小柄ちゃんは契約の再締結を勧めてきたけれど、現状で問題が無いのでやんわりと断った。何だか“強制”は好きじゃない。


「んで、話を戻すんだけど……この品の価値が全く解らないから貰ってくれないかな?持ってても使わないし。」

「ほえ?あ、そうね。とりあえず持って帰って見てもらうのよさ?」


「それと、これって捨てるしかないの?結構大きいんだけど……」


 オイラは迷宮の亀からドロップした大きめのルーン石を指した。


「あー、文様の無いルーンね……使っても効果が無いのよねぇ。でも、勿体ないくらい大きいのよさ?」

「うん、でも効果が無いって云うのは装備しても補正が掛からないって事?」


「そうそう。そういう事なのよさ?」

「でもね、ルーンってオイラの元の世界では模様が無いルーンがあるんだけど……」


「ふょ?意味は?」

「うろ覚えだけど、潜在とか可能性だったかな?他の召喚者なら知ってる人が居るかも知れないけ……」


「潜在……表に出ない効果……可能性……」


 あ、小柄ちゃんがまた別世界に逝ったようだ。さて、どうやって時間を潰そうか?


「あ、ゴメンなのよさ?」

「あ、おかえり。」


 意外と早く戻って来られたようだ。


「とりあえず、それも持って帰って調べてみるのよさ?」

「うん、お願いしまっす。」


 さって、戻りますか……


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