↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
70/134

69) オーダー品なのね。

「イッチー、お薦めの鍛冶屋って解るかな?」


 町工場の様に並ぶ店舗の中で、オイラは鍛冶(火)の精霊に尋ねた。

 イッチーはオイラの袖から飛び出ると、各店舗の屋根を見上げる。


「あれがココで一番良い煙かのぉ。」

「ありがと。」


 イッチーは袖に戻る事もなく、歩き出したのでオイラ達はついて行く。


「ここじゃ。」


 オイラに指を差してから、店の中へズンズンと入っていった。


「ちょ、っと?」

「ナナシノ、精霊さんのお薦めはここ?」


 あ、そうか。ミューに精霊は見えないんだっけ。

 店の中は……武器防具というより生活雑貨ばかり、包丁やナイフがずらりと並んでいた。


「いらっしゃい。」

「あ、えっと……」


 奥から店員さんが出てきて、オイラ達に声を掛けた。勝手に奥へと入っていったイッチーが気になって返事が曖昧になってしまった。


「あら、珍しいわね。冒険者さん?それとも、新婚さん?」

「にゃっ!?ななななななな、ナナシノっ!?」

「防具を見せてもらいに来ました。」


「あら、そう?防具は、あまり作ってないのよねぇ。」

「なんとなく、気になる雰囲気でしたので……思わず入ってしまいました。」


「それは嬉しいわね、良かったら見て行って。」

「はい、遠慮なく見させて頂きます。」


 オイラは片隅に飾ってある?盾を手に取って見た。飾り気の無い普通の盾に見える。

 よく見ると、盾の裏側に隠れるような窪みが3つほと穿ってあった。もしかして“スロット”か?

 あ、横でガックリしている猫娘サンは放置で良いかな。うん、放置で行こう。


「あぁ、そこに汎用ルーンを嵌める事が可能よ?」

「汎用ルーンですか?」


 店員のお姉さんに“汎用ルーン”ついて説明を受けた。やはり盾の窪みはスロットの様だ。

 ルーンは魔石や宝石を組み合わせたモノで、装備品に取り付ける事で、その付与効果が得られる。

 汎用という点では、やはり規格が統一されたものであり、他の装備にも入れ替えて流用できるらしい。


「自慢に聞こえるかも知れないけど、同じ装備に3つ装填できるのは領内でウチの商品だけよ。」

「でも、売れていないと……?」


 自慢できる商品なのに、あまり作っていないとなれば売れ筋ではない事が解る。

 売れない理由は見た目、だろうな……


「飾り気が無いから、外見で判断されちゃうのよねぇ。まぁ、隣の領地に行けばもっと派手なのが買えるからね。」

「なるほど、カッコ良さですか。」


「高額なルーンを3つも装填できるなら、相応の装飾が望まれるのよ。」

「装飾で強くなるワケじゃないのにねぇ。」


「でしょ!アナタ“解る人”ねっ!?」

「いや、何の事だか解らん……」


「よっし!無料でオーダー受けちゃうよ!」

「あの……まだ買うって言ってない。」


 店員さんに促されて、店の奥へと引き込まれた。

 中は工房になっており、ゲームで見たような鍛冶場だった。


「アンタ!盾のサイズを微調整しておくれっ!」

「おうよ!で、どっちが装備するんだ?」

「あ、こっちの嫁の方で。」

「なっ!?ななんな!?うそっ!?いやーっ!」



~~~~~~~~



 気が付くとベッドの上に居た。


「あ!気が付いた!?」

「うお?何故に?何があった?」


「ごめん、ビックリして思いっきり叩いた……」

「ビックリ?」


 まだ少しクラクラする頭に手を添えて、何があったかのかを思い出そうとするが……記憶に無い。


「ナナシノが……あんな事言うのが悪いんだからね!?」


 ちょっと拗ねたような言い方で、ミューが説明してくれた。

 要するに、オイラの“嫁”という冗談でテンパったミューが、オイラの後頭部を強打した。そして昏倒。なるほど。


「しまったな……」

「何?どうしたの?」


「ミューの反応を見逃した。」

「はいぃ?何言ってんのよ?いい加減にしないと噛むよっ!?」


「はいはい、ごめんごめん。んで、ここはどこ?」

「うっわ、全然反省してない!叩いた私はこんなに落ち込んでたのに!?」


 スッと部屋の入り口から店員さんが入ってきた。

 あぁ、鍛冶屋の中で倒れてそのまま担ぎ込まれたか。


「あら、気が付いたのね。頭は大丈夫?」

「えぇ、少々変なのは元からなので、大丈夫です。」


 カラカラと笑う店員さんの横から、続けて鍛冶屋の人が入ってくる。

 鍛冶職って云うのはゴツイ人が多いのかと思ってたが、この鍛冶屋さんはかなり華奢なお兄さんだった。


「おう、面白いものを見せてくれてありがとな。礼と言っちゃなんだが、イロを付けておいたぜ。」

「そうそう、それに合わせたルーンを装填すると結構な盾になるわよ。」


 誇らしげにミューが盾?を掲げて見せた。

 毛皮だ、ただの毛皮にしか見えない。何だそれは?


「じゃーん!可愛いでしょ?」

「をい、見た目は関係無いと云っても、それは無いだろ……」


 小型の盾の表面に白い毛皮が張り付けられた“毛皮の盾”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。