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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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67) 中で何が起こっているのか、解らないのね。

「このタイプの迷宮はハイクラスの魔物が出現すると、扉が一定時間は開かなくなるの。」

「何故に?」


「知らないわよ。そういう仕組みなんだもん。」

「なるほど、そういうものなんだな。」


「あ、宝箱が出てる!」

「マジか!?」


 部屋の中央に宝箱が出現していた。

 縦横15センチ、幅30センチくらいの大きさだ。


「ねぇ、ナナシノ!開錠スキル使って開けてみるね!?」

「いや、そこは罠の確認じゃないのか?」


「あ、そうだった。」

「危ないなぁ、額に矢が刺さってからじゃ遅いぞ?」


「うんうん、ゴメンね?それじゃ、ナナシノは倒した魔物の解体をお願いね?」

「軽いな?まぁ、了解。」


 ミューは宝箱を楽しそうに眺めて?云々唸っている。

 オイラは赤角ウサギを解体して魔石を取り出し投げ捨てた。肉のほうは部屋の隅に置いてミューの作業を眺める。

 なにやらミューの周辺で、白い煙が湧き出している。罠の解除に失敗したのか?


「なっ!ナナシノ!?魔石っ!魔石はどうしたの!?」

「お?捨てたけど?ウサギの魔石は捨てるんじゃなかったのか?」


「バカッ!ハイクラスの魔石は回収しないとダメじゃない!」

「何故に?」


 ミューは宝箱を部屋の隅に投げ捨て、戦闘態勢に入ったようだ。


「魔石を投げ捨てると、連闘になるのよ……うっわ、あの色はちょっとヤバいかも。」

「ご、ごめん……次はオイラも戦闘に参加する。」


 白い靄が渦巻き、その中央に真っ白いウサギが現れた。ちなみに角も真っ白だ。

 大きさは赤角ウサギの半分くらいで、黒ウサギ同様の大きさだ。

 出現した白角ウサギはプルプルと首を振ると、ミューに一直線に向かって飛んだ。飛び跳ねたのでは無く“飛んだ”のだ。


「にゃっ!?」


 物理法則を無視した様な行動に驚きつつも、ミューは白角ウサギの攻撃を上方へ受け流した。


「おお!?」


 白角ウサギは落下する事もなく直線的に飛んでいき、天井を蹴って地面へ着地した。そして再度跳躍。


びしっ


 ミューは白角ウサギの攻撃を盾で受け流すことができなかったようだ……うおっ!盾が割れている!?


「ミュー!」

「大丈夫!腕は飛んでない!」


 壊れたのは盾だけだったようだ。転進する白角ウサギに対して、盾を捨て両手で剣を構える。


「土壁。」


 ミューに向かった白角ウサギの突進をオイラの土壁で受ける。土壁は崩れたが、突破されずに済んだ。


「土壁。」


 再度土壁で跳躍突進を受ける。白角ウサギの方も正面から当たらずに微妙に逸れて行く。恐らく、衝撃によるダメージは白角ウサギに無い様に見える。

 さらに、土壁はまたもや見事に崩れている。


 数回、土壁で突進を受けていたが白角ウサギの行動に変化が発生した。

 少々のタメを作って、土壁突破後に連続で突進をしてきた。だが、土壁の連発はオイラも可能なので何とか往なせている。

 白角ウサギが“タメ”を作る時間を狙って投石や魔法を撃ってみるが、“タメ”をキャンセルしてあっさりと躱される。ミューの斬撃も距離を取って避けられている。


「あら?」


 白角ウサギは奥の壁際まで引き下がった。たぶん、タメの時間を稼ぐのだろう。


「ミュー!こっちへ!」

「わかった!」


 白角ウサギは長時間のタメと闘気らしきものを纏った。視界の片隅に赤文字で“警告”という表示が出ている。ここにきて、眼鏡の機能を新発見っすか……

 こちらも単に待つことは無く、対応を考える。☆導きの書☆に手を添えて精霊達に指示を行う。


「柔らかい土壁、分厚く。受けたら演習場の訓練と同じ要領でアレを圧殺する。」

すっぴょこ☆

「はいな~!」

「承知。」

「御意。」


 直感で土壁を発生させた。


「土壁。」


ぼすっ。


 タイミングはバッチリだったようで、跳躍してきた白角ウサギを柔らかい土壁で取込んだ。

 続いて、キューが固い土壁で柔らかい土壁を囲む。

 あとは演習場でやるように、各々が好き勝手に土壁の箱内に魔法を放つ。


「カウントダウン開始、9割……あら?キュー以外は魔法止めて。」


 何故かレーダーの警告が既に消えていた。白角ウサギの危険度レベルが下がったのか?


「ミュー、ドアが開くか確認して。」

「解った。」


 ドアは簡単に開いた。ということは、白角ウサギはダウンしたかもしれない。

 オイラ達とミューは開いたドアまで下がり、逃げる準備をしてから土壁箱を解除した。


「あ……」

「おおう。」


 中から骨と皮だけになった白角ウサギのミイラが、コロンと転げ落ちた。


「ゾンビアタックとか……ないよな?」

「なにそれ?」


 また、部屋の中央に宝箱が出現していた。

 その宝箱の出現で、オイラは白角ウサギを倒したことを確信しましたとさ。

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