↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者36番  作者: ハムリンゴ
第三幕:捨てられても、頑張ろうと思う件について。
53/134

52) 師匠に会うのね。

「んじゃ、私が受けたいと思うクエストをひとつ、一緒にやろうよ?」

「あぁ、それくらいならお安い御用だ。」


 先程の職判騒ぎに巻き込んでしまった“お詫び”という形で、オイラが出来る範囲でミューのお願いを聞くことになってしまった。


 冒険者ギルドまでの道のりで、太い春巻き状の軽食を露店で買って、食べながら歩く。

 流石に食べるときは仮面は外している。外すと言っても頭の上にスライドしてるだけなんだけどね。


「そういえば、ミューってシーフ……うおっ!?」

「あ、やっぱり!ナナシノって、そうなんだね。」


 仮面を外したので、顔を見られないように深目にフードを被っていたのに、ミューはオイラの顔を無理矢理に覗き込んできた。


「やっぱり……ってナニ?」


 ミュウは返事をしないで人差し指を瞼にトントンと当てて、続けて髪の毛を撫でる仕草をした。


「いや、何の事だか全然解らないのだけど?」

「ううん、大丈夫!色々あるもんね、隠すんだったら何も言わないよっ!」


 ダメだ、さっぱり解らんが……何も言わないと云うのなら放っておこう。色々聞かれるよりマシだもんな。

 暫くして冒険者ギルドに到着。中は昼も過ぎているので人も疎らである。


「んーと、何かイイのはあるかなぁ……」


 ミューが掲示板に貼られているクエストの依頼書を選別している中、オイラは受付カウンターに目を向けた。


「その御予算では期間内に募集は厳しいと思いますよ?」

「そ、そうか?では、道中で得られた宝は冒険者で分配として……」


 なんだか、クエスト依頼をしているようだが頼む方も大変だよなぁ……と。

 などと思っていたら、ミューが戻ってきた。


「良い感じのクエストが無かったよ……明日の朝からでもいいかな?」

「そうだねぇ、この時間帯でイイモノは出払っているだろうし。いいよ。」


「んじゃ、明日の朝に宿まで迎えに行くね。どこに泊まってるの?」

「あ、いや……六鐘の時間にココで集合ってことで。」


「ここで?別に良いけど……変なトコに泊まってるんだ?」

「あ、うん。ちょっとねビックリさせると悪いからさ。」


 冒険者ギルドの紹介で高級宿屋に泊まってるなんて言えやしないよ……


「んじゃ、職も登録したしスキルを取得しに行こ~う!」

「うお?スキル取得??」


「うん、私はシーフギルドでナナシノは魔術師ギルドよ?聞かなかったの?」

「ありゃ、職に就けば勝手に覚えるものだと思ってた。」


「何言ってるのよ……そんなワケないじゃない。スキルレベル“0”は取得しないとダメなのよ?」

「ナニソレ……?」


「あぁ、もう!取り敢えずこれから魔術師ギルドへ向かって、奇術師のマスターにスキルを教えてもらってくるのよ?解った??」

「あ、あぁ……そうか、行ってきます。」


「んもう!世間知らずなんだから。それじゃ、明日はよろしくね!」

「おう、お疲れさん。」


 駆け足で出て行くミューを見送り、さっきの言葉を反芻してみる。

 えっと、スキルを覚える為には先ず教えてもらってスキルゼロのフラグを立てる……で良いのかな?


「あ……」


 しまった、魔術師ギルドって何処よ?受付で聞いてみるか。


「あのー」

「はい、魔術師ギルドはコチラになりますよ。」


 ありゃ、受付嬢が即答って事は今の話は聞かれていましたか、そうですか……


 冒険者ギルドを出て案内通りに10分程歩くと魔術師ギルドへ到着した。玄関は至って普通の建物だ、本当に普通だ。看板も普通。

 両開きの扉を押し開け、中に入るとロビーがありカウンターがひとつ。そして誰も居ない。


「えっと?」


 カウンターには“ご自由にどうぞ”と書かれた板があり、横には各魔術職の名前と部屋番号と思わしき数字が書いてある。

 各系統の魔術、幻術、精霊、召喚、死霊、占星術、鬼術?風水もあるのね……奇術はドコだ?っと。


「あった……308号室、3階か?」


 ロビーの両サイドに階段があるので、3階まで上がってみる。

 中央に通路があって、左右に部屋が並んでいる。よく見ると部屋番号が掛けられている。


「308……と、一番奥の部屋か。」


 ちょっと気を取り直して、扉を叩いてみた。


「……」


 も、もう一回……扉を叩いてみる。


「……」


 返事がない、ただの空き部屋のようだ。

 ガチャリ……あ、カギ掛かってないや。


「失礼しまーす。奇術師のスキルをうおうっ!?」


 ぽふンとオイラの頭の上に何か降ってきた。こ……黒板消し??


「奇術とはっ!相手の意表を突いて戦闘を有利に運ぶ術であるのよっ!」

「それでは、失礼しました~」


「まっ!待って!!行かないで!辞めないでっ!」


 オイラが何事も無かった様に扉を締めようとすると、慌てて呼び止められた。

 そして何だか非常に悲哀のある懇願っぷりに、出て行く気が失せてしまった。


「奇術師に就いたので、スキルを教えて下さい。」

「えぇ、もちろんですとも!そこに座って下さいな!」


 声の主を見てみると、赤髪ショートカットに黒袴……


「初めまして、奇術師マスターのハマールです。」

「初めまして、ナナシノと言います。宜しくお願いします。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。