27) 決闘なのね。
「悪巧みなんてしていません、今日は訓練じゃなくて休暇をとっているだけです」
「そうやって、隠すんだよなぁ?んで、休むと厄介なことを考え募らせるもんだぜ?」
まったく……面倒なヤツだな。オイラにも経験があったけど、好きな子を虐めてしまうというパターンだろ。
どうせ、好きなんだろ?とか質問すれば「格下相手に何を!」とか“ツン”へ移行するのも目に見えている。
「なぁ、前にもこんな場面があったけど……そろそろまた虹色の龍が襲ってくるんじゃねぇか?」
「うっ!?」
白髪君は急に警戒を始めた……が、オイラの冗談に気が付いたのか怒りの色を顕にする。
「私達より格上の者が、それくらいの事で動揺してどうするのですか?もう少し精進して下さいませ」
「な、何を!?格下のお前達に言われる筋合いは無いっ!」
直接、間接的に見下された事に気付いた白髪君は、ワナワナと震えだした。
「ほほう、若いって素晴らしいよのぉ」
「全くでござる」
どこから湧いたのか、ユウコ龍と青い龍の人が寄ってきた。
「よし、お主ら決闘じゃ、戦ってみると良い。拳で語れ。うん、それが良いかのぉ」
「そうですな、某も同意でござる」
そう言うなり視界内に周囲に魔力が上昇するアラートが表示され、魔力の壁で取り囲まれたのが解った。結界か?
「そうさのぉ、取り敢えず勇者殿と五の白龍で戦ってみよ」
「心配は要らぬ、千切れても繋ぐでござるよ」
あの、勝手に取り組まないで下さいませ!?ほら、白髪君も困って……
「コロス……」
あぁ、龍に戻って殺る気満々ですがな!?怖いよ、オイラ帰りたい……
「勇者様、彼は炎を主体とした攻撃をされます。お気を付けて」
いやん、ヒスイちゃんも乗り気じゃん!?痛いのとか超苦手なのに!!
渋々と演習場の中央へ向かうと白髪君は既に元の姿に戻っていた。あの、同じ土俵上で、せめて、人型で戦ってよ……
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「それでは、始め!」
ユウコ龍の合図とともに火炎がオイラめがけて噴射されてきた。
「土壁、宜しく!」
ぴょこ☆
☆導きの書☆に土壁を作ってもらい、火炎を凌いだ。
オイラは土壁を作れない。属性魔法(行使)の減少のスキルで10センチ程盛り上がるだけなの。
「生意気な!これで逝け!!」
「5重の土壁を宜しく!」
ぴょこぴょこ☆
少々置いて白髪君は火球を吐いたが、その“溜め”の時間で防御する準備は出来ていた。
火球を土壁5枚を打ち立てて受け、4枚半の破壊で威力を失った。あぶなっ!
延々と火炎放射と火球で攻撃を行っている白髪君、それを尽く土壁で防いでいるオイラ達。
「勇者殿、何を遊んでおる?サッサとやらんか!ツマらんわい!!」
ユウコ龍がオイラに向けて怒鳴ってきた。その台詞に驚いたのは白髪君、ヒスイちゃんも振り向いてキョトンとしている。
「ふざけるな!俺がサッサとケリを付けてやる!!」
思いっきり溜め始めた白髪君、土壁5枚じゃ抜かれるコト請け合いだ。
オイラは白髪君へ詰め寄り、☆導きの書☆へ叫ぶ。
「土壁でアッパー!」
ぴょこっ☆
どげし!
溜めの途中で地面より生えた土壁が白髪君の顎にクリーンヒットし、溜めた炎が霧散する。
今回の決闘は白髪君の魔力が尽きたところで引き分けと持ち込みたかったが、ユウコ龍はそれを許してくれなさそうだ……
「土壁を連続で射出!」
勢いよく土壁が地面からボンボンと飛び出し、それが宙を舞って白髪君に降りかかる。だが、所詮は土の塊。
「チョコチョコと目障りなぁっ!!」
なんだか白髪君がフラグを立てた気がするが、火炎放射を土壁で躱していく。
「土壁で視界を塞いで、土遁!」
横方向にズラズラと土壁を作り、白髪君の視界を遮って地面に穴を作る。そこに入って土壁で塞ぐと……あら不思議、土遁の術の完成です。
「お、おのれ!隠れて時間稼ぎか!?」
はい、時間稼ぎです。隠れている間に☆導きの書☆に土壁30枚程を時間差でセットしてもらい、その土壁にオイラが加重の魔法を時間差で施した。
そして仮面レーダーで白髪君が動いていない事を確認して、土遁から飛び出す。
「最大級の土壁を射出!」
飛び出したと同時にセットしておいた土壁が打ち上げられ、白髪君へと降り注ぐ。
1枚、2枚とボスボス降り注ぎ……
「そんな子供騙しが通用すっ!?」
5枚目以降の土壁は特別製だ、射出頂点で加重魔法を仕込んでいる為に破壊力は抜群だ。
白髪君は超重量級の土壁を必死に避けようとするが、既に複数の土壁に押し潰されて身動きが取れなくなっている。
そこへ、最後に放った加重魔法が施された最大級の土壁が……
べだごーーーーん!
「そこまで!勇者殿の勝ちとする!!」
最大級の土壁は、飛び出す速度が足りずに白髪君の目の前に着弾していたが、それでもユウコ龍はオイラの勝ちと判断してくれた。
「勇者殿、こっち来い……説教じゃ。蒼、五を治療しておけ。行くぞ」
夕飯の時刻までユウコ龍にミッチリ説教されるかと思ったけど、話の途中から龍の性格や特性についての講義になっていた。
説教の後、小屋に戻るとちょっとした異変に気がついた。テーブルが大きくなって、椅子の数が増えている。
「お、俺も一緒に暮らす事になった……お前達の訓練に付き合えと命令された、だけだからな?」
あぁ、白髪君が……“デレ”た。




