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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第二幕:急なスカウトに、笑うしかない件について。
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24) なるほどなるほど、なのね。

ばたん、ばたん!


「おはようございます、勇者様~」

「あ、おはよう……」


 既に朝の準備を整えていたヒスイちゃん、完璧だよ……いい奥さんになれるわ。


「今日は朝から魔法陣工房に行こうと思う。寝る前に新しい魔法陣を思いついたんだよ」

「そうですか、頑張って下さい。応援しますよ!」


 ヒスイちゃんは昼までに家事を済ませるというので、オイラ一人で工房に向かった。

 もちろん、朝食は昨日と同じ様な草シリーズだったけど……


「おはようございま~す!今日も来ました~!!」

「オウ!早いじゃねぇか、面白いだろ?魔法陣は!?」


「ええ、昨晩寝る前に思いついた魔法陣がありまして、試しに来ました。」

「ホウ!たまにあるんだよな、そうなると眠れなくなるだろ?」


「ええ、寝るまでが大変でしたよ。お陰で眠いっす!」

「オウ!だったら簡易道具でも持って帰れ。役に立つぞ!」


 声の大きな魔法陣の師匠に道具箱を手渡された。

 夜中にこんな事を始めたら、それこそ寝れなくなると思うんだけどな。


「っと、成功したな。しかし、いつもの様に浮いたりしないけど……効果が解らん」


 ちょっと強目に効果が出るように魔力を込めて発動させてみても、目標の小石はピクリとも動かなかった。

 その小石を持ち上げようとすると、やはりピクリとも動かない。


「動かない……だと?っていうか持ち上がらないな」


 小石と見間違って、埋まった岩の先端を目標にしたのかと思い魔法陣の効果を切る。


「ありゃ?岩じゃねぇし……やっぱ小石じゃん」


 今度は小石を手に持ち、魔法を発動させてみた。


ずどん。


「いてぇ……」


 小石が何を思ったか見た目と違う重さになってオイラの手から滑り落ち、手はズル剥けた。

 どうやら、重力を増す……つまり加重の魔法陣を思いついたようだ。

 あれか?使っているうちに何となく理解したってヤツ。レベルアップして新しく呪文を覚えたって感じか?


「さって、応用イッテみよ~!」


 早速工房を後にして、小走りで演習場へと向かう。

 興奮で忘れかけていた手の裂傷を回復促進剤で治療しながら。


ずどっごろごろ。


 小石に加重の魔法を時間差で掛けて空中に投げる、発動と同時に投げられたスピードがそのままで小石の重量だけが増す。

 地面に落ちたあとは、普通に摩擦によって減速され止まる。


「でも、やっぱり効果の範囲は半径10m程度か……」


 検証の結果、目標は1つまで、☆導きの書☆を使って2つ。3つ以上の目標指定をすると最初の目標の効果が消えてしまう。

 範囲外でも効果が切れる。ただし、他の魔法と同様に時間差で発動させる事が可能と。

 んで、加重効果は入れ込む魔力によって変化する事も解った。


 次は、思い付きで手近にあった木の棒を振り上げ、振り下ろすタイミングで加重の魔法を掛けると棒は見事に地面にめり込んだ。


「やべぇ……シッカリ握ってたら、腕が持って行かれそうだわ」

「あぁ、此方に居ましたか……勇者様、長がお呼びです」


 オサ?あ、ユウコ龍の事か。ヒスイちゃんが演習場まで探して来てくれたようだ。

 あ、そういえば朝に工房に行くって言ってたな……すまん、ヒスイちゃん。


「何か用事かな?」

「すいません、詳細は伺っておりません」


 トテトテと先行するヒスイちゃん。妹を持つ兄の様な気分で後を追う。


「よう来た勇者殿。具合はどうかの?」

「具合って……3日やそこらで呪いの効果が無くなるんでしょうか?」


「いやいやいや、手厳しいわ。単に挨拶したダケなのにのぉ」

「すいません、額面通りに受け取ってしまう質でして」


「まぁ、良い。チョイと気になったことがあっての。これを使って見てくれぬか?」


 テーブルの上には見たことのある板が置いてあった……ステータスプレートだ。


「ステータスオープン」


パシしン。


 以前使った物と少し違う音を立てて、プレートにはオイラの情報が表記される。

 解読メガネを通して見た情報は、相変わらずステータスの欄が底辺だ。呪いの効果は抜群よ!ってか?


「ほほう、呪いの効果があるのに良い感じに成長しておるの」

「呪った本人に褒められても、嬉しくありませんよ……」


「全くその通りじゃの!ふぉふぉふぉ……」


 ユウコ龍は見た目は黒を基調とした幼女だが、腹ん中も真っ黒な気がしてきた。

 用事は、それだけだった……ユウコ龍の気まぐれで確認しただけだったようだ。



~~~~~~~~



「なんだ、こりゃ……?」

「どうかされました?」


 外に出てフードと仮面を装着すると、視界の隅の方に色々表記が浮かんでいた。

 さっきステータスプレートで見た情報と同じものが表示されている。


「ステータスクローズ」


ぱしん。


 表示が消えた……なるほど、ならば。


「メニューオープン」


ぱしん。


 あ、やっぱり出た……

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