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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第二幕:急なスカウトに、笑うしかない件について。
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23) 作ってゲフンゲフンなのね。

「さて、戻って寝るとするかのぉ」


 ユウコ龍は暢気に伸びをして戻っていった。


「ヒスイちゃん、倒れている龍達は手当とかしなくていいのか?」

「あ、はい、必要は無いです。龍族はプライドが高いですから、負けた上に助けられるなんて……危ないですよ?」


 なるほど、それだったら白髪君に話しかけるのも拙いだろうな……放置して戻るか。


「それでは、お休みなさいませ。明日も宜しくお願いしますね」

「あ、うん。オヤスミ……」


 小屋に戻ってきたオイラ達は、明日に備えて寝ることになった。もちろん別々の部屋で、だけどね。


「ダメじゃん、寝れるのかオイラ……」


 さっきの虹色の龍と目が合ったのが強烈で、何度も思い返してしまう。虹龍に恋でもしたのかね?


「なんてな~」


 自嘲により自己完結したところで、オイラは羊を数える事にした。



~~~~~~~~



ぱたん、ばたん。


「う、わ……眩しい!」

「勇者様、朝ですよ?起きてゴハンを食べるのですよ~」


「わーい、朝ごは……」

「どうぞ、召し上がれ~」


 今日の朝メニューは、スカスカのパン、草の味がする草スープ、葉っぱの盛り合わせに、何かのミルクだった。

 いや、食べますよ?食べるってば。出された飯は遠慮なく食べろ!ってのがオイラの信条だからな。


「ごちそうさまでした」

「いえいえ」


 さて、これからのスケジュールはどうしたものか。監禁の時と同じでいいかな。


「ここには、書籍を扱ってる店とかあるの?」

「あ、はい。お店ではありませんが、書庫があります」


「ヒスイちゃん、魔導書関連の本はあるかな?」

「龍族が使うことの殆ど無い物なので、関連書籍は恐らく無いと思います」


「そっか、残念……」

「でも、魔導書自体や魔法陣を作成する事は可能ですよ?」


「おおう!オイラも作れる!?」

「聞いてみますね」


 と、いう訳でオイラ達一行(2人しか居ないけど)は、壁の無い開けた工房?に到着致しました。

 そこでは、マッチョな禿げたオッサンが出迎えてくれた。


「オウ!よく来たな坊主!しっかり見て盗んでいけよ!?」

「坊主って……しかも盗めって、何をですか」


「お?魔法陣作成の教えを乞いに来たんじゃねぇのか?」

「お、教えて頂けますか!?」


「おう!材料は売るほど余ってるんだ、自由に使え。あと、教えることは無い。必要なら見て覚えろ!」

「がってん承知!」


 最初は小柄ちゃんに教えてもらった基本的な無の魔法陣を描いてみた。

 材料は書道にある硯と墨に似ていた。硯に油状のものを垂らし、金属片を擦りつけてインクにする作業から始まる。

 描くには筆ではなくペンだった。描き終わったら薬品で油状の成分を飛ばして完成のようだ。


「オウ!坊主!変わった趣味してるな、“無”かよ!?」

「あ、すんません……これ以外の属性がテンでダメでして」


「オラ!気にすんな!世の中は魔法の才能ゼロって奴が殆どだ。得意分野でシッカリ頑張れ!」


 あー、才能ゼロっていうか……オイラにはマイナスっていうレアな属性魔法の減衰才能が開花してるんですよねぇ。

 得意分野?の魔法陣を描いて色々遊んでみることにする。


ぽんっ!


「ここまでか~、もっとコンパクトにならないかねぇ?」


 魔法陣をできるだけ小さく書く実験をしてみた。最小限の魔力を通すだけの線幅で描けるサイズが5センチ程度だった。

 小さくなると魔力を通す量も小さいので効果も微妙だ。しかし、まだまだ魔法陣の中に隙間が多くある。

 オイラが着けている無の魔法のペンダントは、ミッチリ描いた魔法陣を折りたたんで収納されている。


「折りたたむっていうのも、アリなんだろうけどな……」


 次は折りたたまずに、複数枚重ねて繋いでみた。重ねた枚数だけ通る魔力量も増えて、効果が上がるけど分厚くなるだけだ。

 ふと、思いついた事を試してみる。


「お?こりゃすごい。かなり魔力が通るぞ」


 30枚くらいの重ね合わせと同等の効果が、2枚程度の厚さで得られる発見をした。


「オオウ!そこに気づいたか坊主!半日でソコに至るとは、なかなか見込みがあるじゃねぇか!!」

「あら、既知の技術でしたかぁ……大発見かと思ったのに」


「オウ!そんなものだ!自分が考えられる事は、他人様も考えつくって事だ!」

「あー、そうですよねー」


「オラ!気にすんな。何度も重ねて描くより、その粘土の溝に流し込む方法は知らんぞ!」


 あ、やった。独自技術の完成……じゃないな、単なる鋳造だ。線の細さを厚み方向に逃がしてみただけ。

 残りの半日は、鋳造した魔法陣を改良したり、魔石を組み込んでみたり、無駄に魔力を使って遊んだ。


「いただきまーす!」


 今晩のゴハンに“塩味”が登場した!ヒスイちゃんが塩味の強い草を調達してきてくれました!!

 まぁ、塩以外に草味の主張も強いが、肉に塩味が合流して美味しくいただけました。草の味が要らんけど……


「あ……れ?」


 食後の運動がてら演習場で魔法をバンバン使ってたら、ふと覚えの無い魔法陣の構成が頭に浮かんだ。

 明日にでも試してみよう。

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