19) さあ、出発なのね。
「10日目か……早いな。」
「それだけ集中出来たって事よ?」
朝の検査が終わった今、探索先の決定会?なるものが催されているので出席している。
探索先は各パーティのレベルと特性により決定されて、送り出されるというものらしい。
もちろん、オイラのパーティは☆導きの書☆とのコンビ編成だ。
前回の模擬戦で、元々呪われている事の他に、味方を巻き込むデバフや魔力強奪が避けられている原因だと思う。
あと、味方の武器を吸収されるとか……
「解ってはいたんだが、ここまでだと逆にスッキリするよな」
「仕方無いよ?キミが特異なのよさ?」
悪評で嫌われているのか、巻き込まれると思われているのか、オイラ達の周囲10メートル以内には誰も入ってこない。
そんな感じだったが、決定会は進行している。
各パーティに対して、探索先の名称が告げられる。その度に勇者のパートナー達(オイラの場合は小柄ちゃんだそうだ)が拍手を送る。
そして、オイラ達の探索先を知らされる。
「36番パーティは『悠古の森』となりました!」
全く音の無くなった会場に驚いた。ちょっと……拍手は?っていうかユウコの森って何?ボスモンスターは美少女系!?
なんて思ってたら、小柄ちゃんが震えていた。
「何故に!ましてや単独でそのような場所の探索を申し付けられるのですかっ!?」
「うおっ!?」
凛とした、しかも響き渡る大きな声で小柄ちゃんは叫んでいた。いつも聞きなれている声ではなかった。
「適正とレベルによって審議された決定事項だ。異議は……異議は認められない!」
少し慄きながら、司会担当者が言い返す。
グッと堪える小柄ちゃん。なんだか泣きそうになっている。
「なぁ、オイラ頑張るからさ?大丈夫だよ?」
「キミはっ!!」
さっきの勢いで叫んできた小柄ちゃんは、ハッと気付いてトーンを下げた。
「キミは、悠古の森がどんな場所か知らないから……」
決定会も終わり、部屋に戻ったオイラ達は椅子に黙って座り込んでいる。
「準備……しなきゃね?」
「お、おう……」
黙々とリュックとポーチに荷物を入れる小柄ちゃん。オイラは何も言えずに、ただ眺めているだけだった。
よく見るとそのポーチは、小柄ちゃん愛用の精霊付きポーチだった。
「そのポーチ、オイラのじゃないぞ?大丈夫か?」
「良いんだよ、キミに預けるよ?沢山必要なものがあるからね?」
「大事な物は、入れると拙いんじゃなかったっけ?」
「入れたモノに悪戯したら殺すって、伝えてあるから大丈夫なのよなのさ?」
凄く物騒な発言をサラッと言った小柄ちゃん、詰め終えたらしく袋の口を縛る。
その後、渡す装備があるとダッシュで出ていき5分程で戻ってきた。
「これ、装備してね?」
「なんか、物々しくない?」
「装備は重要なのよ?ちゃんと付けるのよ?」
前の模擬戦で使った装備に加えて、予備の魔導書に籠手と脛当、ブーツに仮面……
某格闘ゲームで、イタリアに居る中ボスが付けていた様な仮面だ。あと爪があれば完璧だったよ。
仮面は装着すると視界は遮られておらず、声もちゃんと通る様だ。やっぱり解読メガネと併用できなかった……
また、コレは先代勇者の考案品であり、色々な機能が付いているが詳細は不明と怪しさ満点だ。
籠手と脛当は、予備の魔導書から抜いた魔法陣を仕込めるらしい。
「装備完了っと……どう?カッコイイ??」
「ええ、頑張るのよさ?」
暗い夜道でバッタリ出会ったら、まず叫びながら逃げられるであろう出で立ちで……
灰色ローブに仮面、大きめの魔導書。怪しさ満点だが、生き残っていくためだから仕方が無い。
「危ないと思ったら逃げるのよさ?無理は禁物よ?」
「あぁ、解ってるって心配するなって。」
演習場を抜け、城門の前まで行くと集団と合流する。ユウコの森まで護衛するとの事だ。
よく見ると、護衛の集団の中にガタイ君が居た。
「悠古の森まで、ちゃんと護衛されるのよさ?」
「その後は?」
「半日ほど好きに探索して、退却なのよさ?」
「自由行動ってか……」
「探索内容の如何によって、ランキングが決定されるのよさ?」
「低いと待遇が悪くなる、って事か。また落とされそうだな」
出発時間が来たので、オイラは箱型の馬車に乗せられて城門を出て行く。もちろん、小柄ちゃんは留守番だ。
現地までの時間は約2日程で、馬車の揺れは荷重低減魔法のお陰で殆ど影響が無かった。
現地付近で野営を行い、明日の送り出しの準備が整えられている……あとは寝るだけだ。
「明日の朝から夕刻までの間が、探索の時間となります。こちらが悠古の森の地図です、使って下さい」
「ありがとう、頑張ってみるよ」
焚き火を囲み、ガタイ君が普段見慣れない真剣な面持ちでオイラに地図をそっと渡してきた。
ここで今までのお礼とか言うと、何かのフラグが立ちそうなので結局何も言えなかった。
ごうっ!
急に辺りが明るくなった。大きな松明でも用意したのかな?と思ったら……明るくなったのは空だった。
「敵襲!敵襲だ!各自応対しろっ!」
ガタイ君が仮眠中の衛兵にも指示を出す。慌ててオイラも馬車から荷物を引っ張り出してキッチリ装備をする。
戦闘が開始されてはいるが、オイラにも解るくらい様子がおかしい。何と戦っているんだ?
「隊長!この襲撃は変です!殲滅目的ではありませんっ!」
「全員!馬車を軸に勇者殿を守るのだ!!」
護衛達が一箇所に追い詰められている。中心は馬車とオイラという状況だ。
敵は……ドラゴンだった。数は、解らない。上空には定期的に炎を吐き地面を照らし威嚇、地上は取り囲むようにワラワラと……
「勇者を迎えに来た、害意は無い。出てきて呉れまいか?」
群れから出てきた青っぽいドラゴンが名指しでオイラを指名してきました……何故に?
出発地点から目的地まで近すぎました。
1日→2日と変更です。




