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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第一幕:急に呼ばれて、困ってしまう件について。
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13) 練習の成果なのね。

「今日の予定は、朝から模擬戦で、そのあとはお休みになるのよさ?」

「イキナリですな……模擬戦ってナニ?」


「これまでの練習の成果を試すために、召喚された勇者達に実践演習を行ってもらうのよさ?」

「なるほど、それは死んじゃったりしないのか?」


 模擬戦といえども実際に戦うワケだから、その辺りは確認をしておきたいわけで……


「ええ、大丈夫だと思うのよさ?」

「そこは疑問符で終わらせるトコじゃないでしょっ?」


「大丈夫、首が飛んでも元通りにくっつけてあげるから、大丈夫なのよさ?」

「いや……疑問で括られてるのと、大丈夫ってコトバが連続してる時点で超怪しいんだけど!?」


「そこそこイケルと思うんだけどなぁ?」

「何を根拠に!?」


 小柄ちゃんが今「私が教えたんだから?」と自信満々で仰るので、仕方なく心を決める。


「あぁ、それと支度品があったのよ?」


 そう言って袋から数点の品物を取り出した。


「先ずは、パーティ編成用プレートね?」


 勇者たるもの自分がリーダーとなりパーティを組むものだと言うが、参加者全員がリーダーって無理があると思う。


「次は、魔導書だけど……キミは既に持ってるから、要らないかな?」


 支度品の魔導書とオイラの魔導書?を取り替えて手渡される。


「そして、魔導士用ローブね?」


 なんか、幽霊が着るようなローブだった。灰色でボロボロ、丁寧にささくれているフードまである。


「最後に各種回復薬とそのホルダーね?」


 緑色の魔力回復薬と、初めて見る真っ赤な治癒促進剤が幾つかベルトに装着されている。


「あとは……私からの応援よ?」


 斬撃や打撃に対応できる金属糸が織り込まれたという革鎧。それと魔導書用ベルトと保護カバーらしきもの。

 オイラが革鎧を装着している間に、魔導書用ベルトと保護カバーは小柄ちゃんがセットしてくれた。


「因みに、保護カバーの表面は“打ち消し”が、裏側は“荷重無視”の魔法陣が3軸同時入力方式で作っているのよ?」

「荷重無視は解るけど、打ち消しってナニ?」


 打ち消しの効果は、発動させると半径10m程度の範囲で魔法効果を完全に消すらしい。

 ただ消すだけなので、被せて発動させることはできる……と。

 荷重無視の効果も半径10mの重力を完全に無効、つまり無重力領域を発生できると、しかも任意の時間で。


「キミは攻撃手段が殆ど使えないので、しっかり守る努力をするのよさ?」

「攻撃はどーするんですかね……?」


「そりゃ、パーティ組んだ他の2人に任せるのよさ?」

「2人?」


「そう、編成は2~3人で組まれるのよ?」

「なるほど、オイラは護衛に回って戦うのは残りに任せるというわけだ」


「そういうことよ?」


 小柄ちゃんの戦術講座が始まった。

 まず、メンバーになった他の勇者にはオイラの魔法特性を伝える事。次に打ち消しを行っても驚かずに攻撃に専念する事を伝える。

 打ち消しの魔法については、物理的なモノは防ぐ事が出来ないとのこと。例えば剣戟などは勿論、矢や投石もダメだという。

 無重力の魔法は一瞬でも発動させることで、相手の足場を崩す事ができるので多用するはずだという。

 つまり、魔法は打ち消して戦士相手には無重力で対応。っていうスタイルが合っていると締め括られた。


「さ、演習場へ向かうのよさ?」

「了解!」


 小柄ちゃんが先に部屋を出ると……アノ魔導書がオイラの腕から飛び出し、貢物置き場へすっ飛んでいった。


(他人が見てないと元気なんだよなぁ)


 いつもの事なので、魔導書を拾い上げたら魔道具を咥えていた……というより挟まっていた。

 その魔道具は“栞”だった。たしか魔導書を緊急発動させる場合、表紙と裏表紙以外に背表紙と挟んだ栞を介する4通りの方法が可能と言ってたな。

 今の魔導書は背表紙が無いから、表裏の表紙と栞の3通りか。ただ、栞を挟んだページが何の魔法陣か解らないので開こうとしたら拒否された。


(栞を使ったら何の魔法が……って属性魔法は効果が薄いんだったな、こりゃ飾りだわ)


 演習場では召喚された人達が集まりだしていた。雰囲気が重く、皆疲れた顔をしている。


「おはぁよう!37人の未来の勇者諸君ん、ちゃんと鍛錬はしたかねぇ?」


 久しぶりに、キンキン罰ゲームオッサンの声を聞いた。


「さぁ、コレからチョットした模擬戦を行って貰うよぉ」


 模擬戦のルールはこうだ。

 2~3人でパーティを組み、籤の順番でトーナメント方式の対戦を行うそうだ。

 怪我については失格、つまり戦闘不能と判断された段階で回復されるという。それまで痛いままってのが怖いな、切られる事だけは避けよう。うん、絶対。


「それではぁ、パーティを組みたまへぇ!」


 キンキン罰ゲームオッサンの号令とともに、召喚者たちは次々とパーティを組んでいく……


「えーっと……」


 結局、オイラ一人だけ取り残された。呪いの事が知れ渡っており、戦力外確定ってか……早々に降参して降りるかねぇ。

 そう考えていると、編成用プレートからパシンと音がした。


 誰かが編入されている……


「おおう、誰?一緒に戦ってくれる勇者様はドコっ!?」


 ハブられていたはずなのに、誰かが可哀想に思って入ってくれたのか?即座にプレートで名前を確認する……と。


『☆導きの書☆』


「はい?導きの書??誰???」


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