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河川敷にて  作者: 村上しのぶ


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4/13

おじさんは、歩いているだけで怪しまれるのだ。

 昼前に、ハローワークを後にした。

 昼食を取るためだ。


 失業中なのだから、家から持ってきたおにぎりでも頬張ればいいのだが、ハローワークには弁当を使えるようなところはない。


 そもそもここは弁当持参で一日過ごすようなところではないのだ。


 どの人も滞在時間は短い。


 人生のうちの束の間の時間のみ立ち寄り、また次の場所へ出掛けていく。そういった場所なのだ。


 ハローワークに通うようになってから、昼食を取る場所はいつも決めていた。


 特に駅で降りる人の数が多いような日には、いつもそこだった。


 私はさっき曲がった角を、反対に曲がった。


 これで私も幸せの国の住人。


 ふざけてそんなふうに思ってみたが、これはいささかふざけすぎだと反省した。


 実際には、いつもこの角を曲がったって、ちっとも幸せな気にはなれない。


 幸せとは、空間にあるのではなく、人にあるのだと改めて思った。

 でも、その考えは私をさらに不幸せな気分にしただけだった。


 私は時間があるときや、手持ち無沙汰なときには、いつもここに来ることにしていた。


 それはこの場所でやっていることに興味があるから、というのではなく。私もそろそろ世間的にはそれなりの年齢になっているから、であった。


 私のようなおじさんが、昼日中にフラフラと街を歩いていると、それだけで怪しまれる。


 全くおかしな世の中だが、どの候補者もそれを黙認しているようなので、世間には期待すべくもない。


 唯一、気兼ねなくいられるのが、こういう場所である、というだけだ。


 だから、この一級河川に面した競艇場には、いつも根無草のような中高年の男性が集まっているのだ。


 ちっとも幸せじゃないや、と私は思った。

 ここにいる人たちは、さっきハローワークにいた人たちとなんら変わりはない、と思った。


 でも、意外と幸せとは、こういうことなのかもしれなかった。


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