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河川敷にて  作者: 村上しのぶ


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12/13

石部さん、ザイムって知ってますか?

「子供……、ですか」

「できなかったから良かったんです。だから二人でなんとか暮らしていけてるんです」

「子育てなんか、できるんですかね、我々に?」


 滝村さんは、最後謎めいた問いかけをして、飲み干したビールの缶を、くしゃっと潰した。


 別に、何かに怒りをぶつけるような潰し方ではなかった。


「そろそろ行きましょう」

 と、彼は立ち上がって、ズボンのお尻をパンパンと払った。

「いつまで待っていたって、野球は始まりません」


「ええ」

 私も立ち上がって、お尻をパンパン払った。


「プレイボール」

「プレイボール」




 木陰から出て、歩き出した。

 日が照っているところに出ると、ジリジリとした熱に焼かれた。

 少しクラクラする感じがあった。


「いくら木陰とはいえ、こんな日に外でビールなんて飲むもんじゃないですね。熱中症にならないように、水を飲んでおいた方がいいですよ」

 と、滝村さんは言った。


「ビールごちそうさまでした」

「こちらこそ」


 我々はその場で別れることにした。


 しばらく一緒に歩き、とうとう道が二つに分かれるところまで来て、滝村さんはこう言った。



「石部さん、ザイムって知ってますか?」

「ザイム?」

「ええ、なんか最近、よく聞くんですけど」

「さあ?新手のKPOPか何かじゃないですか」

「まあ、どのみち我々には関係ないですね」

「そうですね」

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