金獅子
神々しいオーラが、施設内に蔓延る魔族たちを容赦なく飲み込んでいく。弱った敵たちは、抵抗する間もなく消滅し、残るは魔王軍幹部の男だけになった。
彼は、信じられないといった表情でリコリスとクロウを交互に見る。
「聞いてないぞ…お前たち…一体、何者なんだ?」
男の声は震え、その顔には焦燥の色が浮かんでいる。
クロウは冷たい視線を男に向け、ゆっくりと近づきながら答える。
「さぁな。どうだっていいだろ?お前はここで死ぬんだからな。」
リコリスはクロウに歩み寄り、優しく微笑みかける。
「私は精霊使いです。精霊さんの力を借りる時のように、クロウさんの力を引き出しました。」
彼女の声は穏やかだが、その奥には強い決意が込められている。リコリスは男を一瞥し、悲しげな表情を浮かべながら続ける。
「獣人族にはこんな凄い力が眠っていたのですね。だから獣人族は、この力を恐れた者達に真っ先に滅ぼされてしまった…のではないでしょうか。」
その声は穏やかだが、怒りが込められている。
男は、クロウの心を揺さぶるように、言葉を放つ。
「そうだ!お前、お前の仲間はみんな人間に滅ぼされたんだ!どうしてお前は人間の味方をしている?裏切り者!仲間たちも地獄で嘆いているぞ!!」
クロウは、男の言葉に動じることなく静かに答える。
「確かにそうかもな。俺が死んだらあの世で聞いてみるわ。」
彼の表情からは、一切の迷いは感じられない。
クロウはリコリスの方を向き、優しい声で問いかける。
「リコリス…この姿は長く保たないんだろ?そろそろいいか?」
彼の言葉には、リコリスへの深い信頼と愛情が込められている。リコリスはクロウの言葉に少し躊躇するが、決意を新たにし、震える手でナイフを握り直す。
「…私にやらせてください。」
彼女の目は、強い光を宿し、男を射抜くように見つめる。リコリスは、クロウへの愛と、未来のために、自らの手で決着をつけることを決意した。
一歩ずつ、男へと近づいていく。その姿は、覚悟を決めた一人の女性の強さと美しさに満ちている。
男は、リコリスのただならぬ雰囲気に気圧され、後ずさりする。
「ま、待て…話せばわかる…」
リコリスは、男の言葉を無視し、ナイフを構える。彼女の心には、迷いはない。ただ、クロウへの愛と、未来への希望だけが、彼女を突き動かしている。
「さようなら。」
リコリスは、静かに呟き、ナイフを振り上げた。




