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焼け跡から続く光〜薬師の私を攫ったのは、人間嫌いの獣人でした。  作者: 不津倉 パン子
後編 未来を見つめて

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ふたり旅

ついに最終章が始まります。

リコリスとクロウの旅も、最後の道へと進みます。

危険や困難が二人を待ち受けていますが、

これまでの絆が彼女らを支えます。

次の日の朝。

目を覚ますとそこにクロウはいなかった。


簡単に身支度をし外に出ると、目隠しをしたクロウがトレーニングをしていた。


大きな岩を投げ、そこにナイフを命中させる。砕け散り振り注ぐ石の礫を感覚を頼りに避ける。


見るからに危険なトレーニングに励むクロウの姿に見惚れていると、こちらに気が付いたクロウが目隠しをしたまま声をかけてきた。


「リコリス…眠れたか?」


「はい!……それよりこのトレーニングは危険過ぎませんか?心配です…目隠しなんてやりすぎですよ!」


リコリスはクロウの身を案じた。


「敵は手加減なんてしてくれねぇからな。」


目隠しを外し、こちらを見て笑うクロウ。

——否、正確には「こちらを向いた」だけだった。


それでも、彼は迷いなく微笑んだ。


優しい眼差しに、リコリスの胸がざわめく。

その理由を、彼女はまだ言葉にできなかった。


クロウが口を開く。


「そういえば…お前たちが過去を改変したからだろうか、記憶が曖昧なんだが…レインはおそらく生きてるぞ。」


クロウのとんでもない一言に、リコリスは驚きを隠せない。レインは死んだと聞かされていたからだ。


「…会いたいのか?」


声は低く、感情の起伏が読み取れない。だが、なぜかその一言には、微かな棘が混じっていた。


「もちろんです!大切な仲間ですから!」


リコリスは目を輝かせた。レインは、リコリスにとって、かけがえのない仲間だ。彼が生きているというのなら、会って話がしたかった。


「なら、明日からリオン達とは別行動だ。それと、リオンにはこの事を言うなよ?」


秘密にする理由はよく分からないが、リコリスはクロウの言う事を受け入れる。彼の言葉には、何か特別な意味があるのかもしれない。


ーーー


リコリスとクロウは、リオン達と別れる。


リオンは少し寂しそうだったが、リコリスの決意を尊重してくれた。ふたりは人目を避けるように、静かに村を後にする。


久しぶりのふたりきりでの旅。リコリスは、クロウの隣を歩きながら、胸が高鳴るのを感じる。


「きれいですね、この湖……」


リコリスがそう言うと、クロウは遅れて頷いた。


「……ああ。森は、変わらないな。」


クロウと再び歩ける事が、何よりも幸せだった。


「前行った亜人の村…覚えてるか?あそこに行く。」


クロウが、行き先を教えてくれる。リコリスは、少し驚いた表情で尋ねる。


「カイルさん達が住んでいるあの村ですか?」


クロウは静かに頷く。


あの村は、かつて勇者を輩出した場所。しかし、魔王軍の襲撃によって、一夜にして滅ぼされてしまった。リコリスは、クロウと一緒に、あの村を訪れたことを思い出していた。


一体、あの村とレインに何の関係があるのだろうか。 リコリスは、クロウに尋ねる。


「あの村に、レインさんがいるんですか?」


「…わからない。だが、何か手がかりがあるかもしれない。」


クロウは、詳しいことを話そうとしない。リコリスは、それ以上何も聞かなかった。


クロウには、何か考えがあるのだろう。彼女は、クロウを信じて彼の後を追うことにする。


ふたりは森の中を歩き続ける。木々の間から差し込む光が幻想的な風景を作り出している。


リコリスは様々な薬草や植物に目を向ける。クロウは周囲を警戒しながら、リコリスを守るように歩いている。


時折、ふたりは言葉を交わす。それは、他愛のない世間話だったり、過去の思い出話だったりする。


しかし、どんな会話も、ふたりの距離を縮めていく。 彼の隣にいるだけで、心が温かくなる。


この幸せがいつまでも続くように

この旅を続けていこうと思った。

最終章へ進むにあたり、

ここまで読んでくださった皆さまに感謝します。

ふたりの旅路の結末はまだ描かれていませんが、

最後までお付き合いいただければ嬉しいです。


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