表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/83

第72章「残灯の砦、ある日のこと」


 朝。

 残灯の砦は、

 今日も騒がしかった。

「おい!

 それ、逆や!」

 ミケの声が響く。

「逆ちゃう!

 この図面、こうなっとる!」

 レインが木材を抱えたまま言い返す。

「それ“壁”やなくて“仕切り”や言うてるやろ!」

 カイは無言で、

 すでに釘を打ち始めていた。

「……おい、話聞け!」

 フェイは少し離れたところで

 鍋をかき回しながら笑う。

「形になってるだけ、ええやない」

 砦の上。

「……騒がしいな」

「今さらやろ」

 ヨルが盾を磨く。

「人が増えた。音も増える」

 クロは何も言わず、

 その光景を見ていた。

 中庭。

「それ昨日のやつやろ!」

「味変わらへんて!」

「変わる!」

 ミケが焼き物をひっくり返す。

「文句言うなら自分で焼きぃ!」

 その横で、

 レオが毛布にくるまり、空を見ている。

「……におい、いい」

「やろ?」

 フェイが額に触れる。

「今日は自分で座って食べよな」

 レオは、

 小さく身体を起こす。

 少しだけ、長く。

 昼。

 修繕中の壁が、

 派手な音を立てて崩れた。

「……あ」

 全員の視線。

 カイが静かに手を挙げる。

「……すまん」

 次の瞬間。

 笑いが広がる。

「どうせ作り直す予定や!」

「最初から歪んでたしな!」

 クロはその光景を見て、

 何も言わなかった。

 夜。

 焚き火を囲む。

「なあクロ」

 ミケが言う。

「もしここ、もっと大きなったら

 看板とか出す?」

「……何の」

「名前や」

 クロは火を見る。

「……今のままでええ」

「灯りが残っとる」

 ヨルが小さくうなずく。

「……消えてない」

 火は揺れる。

 砦も揺れる。

 それでも、

 誰も離れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ