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悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


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第71章「選択肢は三つ」


 朝。

 残灯の砦に、

 白い旗が掲げられた。

 敵意のない印。

 話し合いの合図。

 門前に立つのは、

 騎士三名。

 鎧は磨かれ、

 武器は下げられている。

 ミケが低く言う。

「……来たな」

 クロは、うなずくだけだった。

 騎士の一人が一歩前に出る。

「勇者殿より正式な通達を預かっております」

「本件は討伐ではありません」

 砦の空気が、わずかに緩む。

 だが、続きがある。

「残灯の砦は協会より

 “管理対象区域”と判断されました」

 ヨルが盾に手を置く。

「……理由は」

「ネクロマンサーの能力確認」

「及び、非戦闘員の集中滞在」

 騎士は巻物を開く。

「選択肢は三つです」

 一つ。

「非戦闘員の段階的退去」

「砦の解体は求めません」

「人員の分散のみ」

 フェイの指が、わずかに強くなる。

 二つ。

「ネクロマンサー本人の身柄提出」

「協会管理下での保護・監督」

 ミケが一歩前に出る。

「……それ、保護って言うんか?」

 騎士は答えない。

 三つ。

「砦全体の協会管理下移行」

「自治は認められません」

 巻物が閉じられる。

「期限は七日」

「街道安全の観点から、これ以上の猶予は難しい」

 クロは静かに問う。

「……選ばなかったら?」

 一拍。

「勇者殿が“収拾”に動かれます」

 剣は抜かれない。

 だが、意味は明白だった。

 騎士たちは一礼し、去っていく。

 沈黙。

 誰かが言う。

「……逃げた方がいいんじゃないか」

 別の声。

「……それでも、ここがいい」

 フェイが、奥を見る。

 サラがレオの背を支えている。

 まだ歩ける距離は短い。

 だが、昨日よりは長い。

「……この子を連れて、どこへ行けと」

 声は静かだった。

 サラは何も言わない。

 ただ、レオの手を握っている。

 その時。

「……ここ、すき」

 かすれた声。

 レオだった。

 小さな一歩。

 震えながらも、立つ。

 サラが支える。

「……まだ、いける」

 クロは前に立たない。

 命令もしない。

 ただ言う。

「……俺は、ここにおる」

「逃げたい奴は止めん」

「でも、残るなら」

「最後まで、一緒や」

 ヨルが盾を地面に立てる。

「……私は、ここに立つ」

 ミケが笑う。

「ほな、決まりやな」

 拍手はない。

 歓声もない。

 ただ、離れなかった。

 その夜。

 砦の灯りは、一つも消えなかった。

 安全だからではない。

 選んだからだ。

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