表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪と呼ばれたネクロマンサー 〜拾えない命を拾うために、僕は悪を選んだ~  作者: よすが


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/83

第60章「離れなかった理由」


 朝。

 残灯の砦は、

 静かではない。

 それでも、

 落ち着いていた。

 人は多い。

 だが、

 誰も「安全だ」とは

 言わなかった。

 クロは、

 中庭を歩いていた。

 声をかけられる。

「おはようございます」

 返す。

「……おはよう」

 それだけ。

 誰かが、

 鍬を担いで通る。

「今日は

 外、見てくる」

「……無理は

 するな」

「分かってます」

 そのやりとりに、

 恐れはない。

 覚悟がある。

 ミケが、

 横に並ぶ。

「みんな、

 分かっとるな」

「……何を」

「ここが

 危ないってこと」

 クロは、

 否定しない。

 フェイが、

 レオを背負って

 外に出てくる。

「今日は

 少し

 楽そう」

「……よかった」

 フェイは、

 クロを見る。

「ねえ」

「ここ、

 いつまで

 いられるんかな」

「……分からん」

 それでも、

 フェイは

 うなずいた。

「分かってる」

「それでも、

 ここにいたい」

 理由は

 言わなかった。

 でも、

 視線は

 クロから離れなかった。

 昼。

 見張り台。

 ヨルが、

 盾を立てかけている。

「……人が増えた」

「……離れる人は

 おらん」

「……それが

 一番

 重い」

 クロは、

 そう答えた。

 夜。

 焚き火の周り。

 誰かが言う。

「ここ、

 危ないよな」

「せやな」

「……でも」

「離れたくは

 ない」

 別の声。

「クロが

 おる」

 名前は、

 それだけだった。

 クロは、

 少し離れた場所で

 火を見ている。

 聞こえている。

 でも、

 振り向かない。

 尊敬されている

 つもりはない。

 導いている

 つもりもない。

 ただ、

 逃げなかった。

 それだけだ。

 残灯の砦は、

 今日も

 灯りを残す。

 安全だからではない。

 離れなかったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ