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そうした練習を何度か行い、バイトを頑張り、夏休みに与えられた課題を消化しつつ、夏休みは終わりに近づいてきた。
そして今日はついに、夏休み終盤の大、大、大イベント、夏祭りが行われる日だった。
アリーシャはそれはもう、朝から、いや昨日の夜から、いや、もっと一週間前くらいからそわそわとしていた。
お祭りの準備で桟敷席が組み立てられていたりするのを見つけて、あの辺の席なのだろうかとか、凛子や悠紀は浴衣で来るのだろうかとか、祭りが行われる前に一足先に神社に一人赴きうちの子をよろしくお願いしますと参拝と願掛けをしてきた次第であった。
そうして迎えた夏祭り当日。
神社に集合したのは、相も変わらずのいつもの四人組だった。
「英会話部の人とかはどうしたの」
アリーシャは結局、英会話部の部長とその幼馴染の一年生と悠紀以外、誰が来るかちゃんと把握してないまま当日を迎えたためそんな感じのふんわりとした疑問を口にした。
「流石に十人でぞろぞろ移動はこの人混みではきついでしょ。各自参拝して、適当に屋台巡って、食べ物買ったら桟敷席集合でお祭り見るってことにしたよ」
今までの話の流れに全然登場していなかったはずの冴がそう言ってさらっと仕切り、アリーシャは納得して頷いた。
所で集合した女子四人だったが、誰一人として浴衣を着てきた者はいなかった。
アリーシャとしては少し残念な結果である。
私は外国人ですし、持っていないけれど、君たちは持っているんじゃないのか、浴衣。
今日着ないなら一体いつ着るというのさ。
内心そんなことを思ったが、まあいろいろ事情も都合もあるのだろう。
***
「おーっす、お疲れ」
その後四人は神社に参拝をし、お祭りの雰囲気を楽しみながら屋台を巡り、ヨーヨーを釣ったり、光る団扇を買ったり、射的を楽しんだ後、小腹を満たす食べ物を買い込んで桟敷席へと向かった。
席には既に英会話部の面々が揃っており、ジュースやお菓子を広げ、トランプをして遊んでいた。
アリーシャたちが合流したことに気づいた悠紀が声をかけてくれたが、なんと奴は涼しげな藍色の浴衣を着ていた。
他に浴衣を着ていたのが、美緒莉と仲良くなったという、一年生部員の吉川さんと思われる子と、以前部室の掃除や舞台の見取り図を描くのに手を貸してくれた佳輝の三人だけだった。
十人中三人しか浴衣を着ていないし、浴衣を着ている三人のうち二人が男子とはこれいかに。
男女差別をするつもりは毛頭ないが、女子も着ろよ、民族衣装だろう。
アリーシャとしては、あの華やかな浴衣の衣装に憧れがあるからというよりも、いつもと違う浴衣という衣装を着ることにより、髪を上げて雰囲気が変わった凛子を見て悠紀がドキッとする場面じゃないのかという口惜しさの方が大きかった。
「お、おーっす」
ちょっと視線を彷徨わせながら、悠紀返事をした凛子は、絶対に夏の暑さのせいでない原因で顔を赤くしていた。
いつもと違う雰囲気の相手に、ドキッとしてしまった場面は、まああったらしい。




