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英会話部の演目が決まったことにより、第二体育館では英会話部の練習も行われるようになった。
英会話部の役者決めは立候補者が出なかったことによる地獄のあみだくじ決戦が行われ、主役が入部したての一年生に決まったそうだ。
物語の内容は、いつの間にか異世界転移してしまった主人公を、チュートリアル妖精というとても都合の良い名前の種族の妖精が世界観を説明してくれ、元の世界に戻るために英語の呪文を正しく発音し、魔法を使い、段階に分けて新しい呪文を覚えていき、最終的にドラゴンを倒すことで元の世界に戻れるといった形になっている。
日本の学校で学ぶ英語は、基本的にアメリカ英語で、今回の物語でもアメリカ英語が使われているが、正しい英語と言ってしまうと、どこかしらから文句や皮肉を言われてしまいそうだ。
しかしまあそんな話はさておき、内容は子供向けでギャグテイストになっており、面白く楽しく英語を学べて良いのではないのだろうかと感じだった。
これで英会話部は廃部の危機から脱せられるであろう。
ギチギチに緊張しながら、声があんまり出ていない状態で台詞を噛みまくっている英会話部の主役を眺めながら、アリーシャは、ただし劇が上手く行けばの話ではあると心の中で付け加えた。
本番の文化祭までまだ時間はある。
一緒に主役、頑張ろうね。
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アリーシャもとうとう王子役が入部したことにより、王子が登場するシーンの練習が行えるようになった。
王子が登場するのは、冒頭と最後のシーンだけだが、どちらも恋愛要素が盛りだくさんのシーンだ。
部に入って間も無い亜姫は、英会話部の主役級とはいかないが、台詞読みに緊張し、どもったりしては真由美に注意されていた。
亜姫は、中学生時代に背の高さをからかわれていたため、体を丸めて猫背になる癖があるようで、日常的に背筋を伸ばすよう心がけるように言われていた。
いじめはどこの国でもあるんだね。
アリーシャも過去に心無い言葉を言われた側なので、亜姫の気持ちは少しわかるつもりだった。
アリーシャは先に部活に入っていたし、朗読もグループ練習も、他のシーンの練習もやっていたので、王子役の亜姫との練習も問題なくできると思っていた。
というより、そのシーンを練習するにあたって、きちんとできるかという不安や疑問すら頭にないくらいだった。
そんなに長い台詞があるわけでもないし、いつも通りやれば問題なく出来る。
むしろ亜姫の練習に付き合ってあげる側だと、そんな意識すらあった。
「白雪姫。貴女に再び見える日を、私はずっと心待ちにしておりました」
ところがである。
中性的な顔立ちの、イケメンだと一年生の中で噂になっていた亜姫が、跪きアリーシャの手を取り、上目遣いでうっとりとした笑みを浮かべてそんな甘ったるい台詞を宣えば、アリーシャにその気がなくてもどうにかなってしまいそうなくらいの破壊力があった。
わかりやすく言ってしまえば視界の暴力により、次の台詞が吹っ飛んでいってしまったのだった。
イケメンって怖い。
亜姫は台詞読みの練習が、アリーシャには亜姫の顔に慣れる練習が必要そうであった。




