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オーディションが終わって一週間が経過した。
演劇班の練習が本格的に始まり、各パートに出演するメンバー同士で集まり、発声練習や台詞の読み合わせが行われるようになった。
小人役になった千種は、他の小人役より台詞が多い役になったため、一年生だというのに小人役リーダーとして、他の小人役とコミュニケーションをとったり、台本・演技指導の真由美へ意見を言ったりと、非常に活躍している。
中学生の頃は内気だったということだが、その面影が見られないくらいには、毎日楽しそうに部活動に参加しているし、アリーシャとも、オーディションをやっていた頃よりも話すようになり、アリーシャとしては、先輩後輩というよりは、同じ舞台を一緒に頑張る仲間としての意識が高まっており、とても良い関係が続けられていることを嬉しく思っている。
衣装班は顧問の原先生指導の元、全員の衣装制作に入った。
アリーシャと凛子が手掛けたデザインを、衣装班と役者側で確認し、採寸と相談を経て制作に入ることになったのだが、ここで衣装に意を申し出たのが一年生の美鈴だった。
美鈴の演じるお妃様のデザインは、ディズニーの白雪姫で登場するお妃様の衣装と大幅に変更があった。
顔以外を覆うドレスデザインは、着こなすのが難しいのではないのかという配慮から来たものだったが、せっかく演じるのならばあの憧れの衣装を着てみたいという美鈴の涙を滲ませた訴えに、デザインを担当したアリーシャも凛子も、特に異議を申し立てることなく変更に同意した。
更に美鈴は、お妃様として白雪姫役のアリーシャよりも背が低いことを気にし、本番はヒールをはくのだと豪語していたが、原先生に体育館の床面を傷つける可能性と、転倒の恐れがあるからと、その案は却下され、とても激しい議論の末、ドレスの裾を長くし、厚底の屋内シューズを履くことで妥協させた。
本番でも遠近法を使って身長差を気にさせない配慮までするそうで、その辺の話し合いが衣装班や大道具・小道具班とで白熱していた。
爛々とした瞳で生き生きと議論する美鈴の姿を見て、アリーシャは本当に美鈴がお妃様をやりたかったのだと改めて実感した。
大道具・小道具班は、英会話部との連携の上作業が行われることになった。
去年新しく作られた演劇部とは違い、英会話部は昔からある部活動で、三年生も在籍している。
その中で非常に手先が器用な先輩がおり、当初ペラペラの張りぼてで木や草を作ることが予定されていた背景が、飛び出す絵本の要領で組み立てることが出来る、立体的な草木になる予定となった。
プレゼンテーションのために英会話部の先輩が作った模型を見た、段ボール工作をしたくて大道具班に立候補した一年生が食いついて、放課後は彼らにとって、楽しい工作の時間となっているようだ。
材料の段ボールは各部員持ち込みの他、冴が、学校の印刷機で使用しているコピー用紙が入れられている段ボールを貰えるように手配してくれており、結構な時間をかけてこだわりの立体背景が作られる計画となったらしい。
本番まで約半年あるので、ゆっくり作っていられるということで、結果的に少人数精鋭班で問題なしということになった。
ついでに、ホワイトボードに括り付けて移動できる平面の背景も作ることになっているようだが、立体物は作れても絵心はなく、こちらはキャンパスだけ作り上げて予定通り美術部に泣きつく算段となっているそうだ。
その時は改めてアリーシャからもお願いをしに行く予定だ。




