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「アリーシャせんぱーい!」
部室で美緒莉たちと別れ、そんな気持ちで駐輪場へ向かっていると、後から声を上げて千種が走って追いかけてきた。
「千種」
声に気づいたアリーシャが振り返れば、走ってきた千種はすぐ手前で足を止めて息を整えて笑った。
「アリーシャ先輩。白雪姫役おめでとうございます」
「ありがとう。私、千種の分も頑張るよ」
千種の言葉に少し複雑な心境のまま、アリーシャは眉を下げたまま笑った。
「はい、頑張ってください。先輩として主役とはこうなんだって、私に教えてください」
「正直、白雪姫に選ばれたとき、千種には嫌われるかもって覚悟してたから、こうして話しかけてくれて嬉しいよ」
千種からの尊敬の眼差しがいたたまれなく、アリーシャはつい心の内を吐露してしまった。
「ええっ、なんでですか。アリーシャ先輩は私の悩みも真剣に聞いてくれたし、ココアも奢ってくれたし、私の中で超いい先輩ですよ。ちゃんと勝負して負けたのに、嫌いになるなんて逆恨みじゃないですか、絶対にないです」
心外だとばかりに眉を寄せる千種は、いったいどういう環境で育ったらこんないい子になるんだろうとアリーシャが思うくらいにはいい子だった。
「それに最初の自己紹介の時にも言ったように、私本当に内気で。こうやって先輩と話ができてるのも奇跡かってくらい、中学では友達もいなくって。それなのに主役とかに手を上げちゃったせいで、緊張とプレッシャーで毎日辛くって、私にはまだ早かったんですよ」
ここ最近悪夢を見ていたのだと千種は苦笑した。
「たった三週間ですけれど、努力したので悔しくはあるんですが、安心しちゃった自分がいるのも確かなので、来年レベル上げて出直してきます」
千種の決意を聞いてアリーシャは笑った。
「じゃあ私も、千種の目標になれるように頑張るね」
アリーシャは今度こそ、ちゃんと笑顔でそう言った。




