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掃除とホームルームが終わり、いよいよオーディション本番、部活の時間となった。
「はーい、皆投票用紙を受け取ったら、舞台が見えるように座ってくださーい」
「筆記用具は自分の使ってねー、忘れた人がいるなら今のうちに取ってきてー」
緊張しながらも、急いで着替えて第二体育館へ向かうと、先にホームルームを終えて部活に顔を出していた美緒莉と凛子が部員たちを体育館に設置された、第一体育館の舞台の大きさを模った三角コーンが置かれているだけの舞台が見やすい位置に誘導していた。
オーディションを受けるアリーシャ、千種、美鈴の三人は、冴に声を掛けられ、舞台として設置されたコーンの端へと集まった。
「はーい、お疲れ様。音響とかはいつも通り真由美がやってくれるので、緊張しているかもしれないけれど、練習通り頑張ってやってください」
冴が視線をやった先には、音響設備を準備している真由美の姿があった。
真由美は、台本はやるが舞台に上がらないと宣言した通り、グループ練習などには一切参加せずに、オーディション参加者の撮影や音響を用意したり、裏方作業を手伝ってくれていた。
台本を書いた側として、どういう形で演技をしてもらうつもりでこの台本を書いただとか、アドバイスもしてくれて、アリーシャにとっては良き相談相手にもなっている。
「順番は、この間引いたくじ引きの通り。みんなが揃ったら私から投票の説明をして、それが終わったら長江さんから入ってもらうから準備しておいてね」
「はい、頑張ります!」
元気よく返事をした千種は、アリーシャから見ても緊張しているのがよく分かった。
最初に演技をしなければならないのだから、プレッシャーも相当な物だろう。
自分よりも緊張をして、呼吸が苦しそうな千種を見て、アリーシャは自身の緊張が少しだけ解けたような気がした。
「長江さん、頑張って。緊張するとちょっと早口になっちゃうから、深呼吸しよう」
「う、うん」
そんな千種の手を取って、美鈴は一緒に深呼吸を始めた。
本番前にも関わらず、人を気遣うことが出来る美鈴の姿に感化され、アリーシャも先輩として振舞うために深呼吸をして気合を入れた。
「千種。今日は千種が練習でいっぱい悩んで出した答えを皆に見てもらおう。私もここで応援してる」
「はい、ありがとうございます!」
美鈴とアリーシャの二人に励まされた千種は、感極まって少し唇に力を入れてからそう返事をした。
「五十嵐さんも、歌が上手だって聞いたよ。期待しているね」
「ええっと、が、頑張ります」
まさかこちらにも話が振られてくると思っていなかった美鈴は、アリーシャの言葉に驚いた様子で、それでも褒められて少し嬉しかったのか、照れたように頷いた。
「はーい、全員揃ったようなのでそろそろ始めるぞー」
そんなやり取りをしている間に全員揃ったようで、部員たちは舞台として設定されている側を見て座っていた。
冴が舞台側の中央に立ち、これからのオーディションの流れについての説明を始めた。




