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「緊張するよおー」


翌日。

オーディション本番の、放課後の掃除の時間。

教室の床を掃きながら、アリーシャは同じクラスの琴葉(ことは)を前にして弱音を吐いていた。


「ぶっちゃけ、五十嵐さんの歌がめっちゃ上手かった」


「そこは励ますところじゃん、普通!」


まさかのライバルの歌が上手かったという報告を受け、アリーシャはその場で崩れ落ちそうになった。

箒を支えに何とか踏ん張って立ってはいたが、精神的ダメージは浅くはなかった。


「いやー、うちらはさ、練習目の前で見ていないから、グループ練習の時に聞こえてきた歌が印象深くって」


ごめんねと誤魔化すように笑う琴葉(ことは)を恨む気になれないのは、美鈴(みれい)の歌が綺麗だという噂がアリーシャの耳にも入っていたし、実際アリーシャも彼女の歌声を遠くから聞いたことがあり、遠くから聞いたのにも関わらず、上手かったのを覚えているので、なんとも非難がが出来なかった。


「でもさ、アリーシャちゃんも台詞凄くすらすら言えるようになっているし、いつも通りやればきっと大丈夫だって」


一年生と仲良くなるために、アリーシャは毎回違うグループ練習に顔を出し、練習に参加させてもらっていた。

その時に琴葉(ことは)のグループにも参加しており、台詞読みが上手だと褒めてもらっていたのだった。


「ありがとう。私頑張るから見ててね」


「うん。頑張って!」


本当は票を入れてほしいと言ってしまいたかったが、その言葉は笑顔で応援をしてくれる、琴葉(ことは)の前で飲み込んだ。

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