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そんな不安から一週間。
アリーシャの不安をよそに、一年生から十二人の入部があった。
放課後集まった一年生に、部室の場所と使えるスペースを案内し、全員が第二体育館に集まると、目に見てわかる結構な大人数となった。
勿論この全員に、英会話部と掛け持ちしている悠紀は含まれていない。
「はーい。みんな一旦集合ー」
集まったところで、なんとなく顔見知り同士で雑談が始まっていたところ、部長の冴からの一言で、全員がそちらに集まって床に座った。
「まずは一年生。入部してくれてありがとう。私が部長で、二年の笹島 冴です。まだ作られたばかりの部活で、至らないところもあると思うけれど、よろしくお願いします」
冴が自己紹介と共に軽く頭を下げると、部員たちから小さく拍手の音が響いた。
「それで、今から二年生から名前と、まあ演劇部でどんなことをしたいかを添えた自己紹介をしてもらいたいと思っています。新歓でも言った通り、文化祭で『白雪姫』をやることは決まっていて、台本はもうあります。何役をやってみたいとか、衣装を作ってみたいとか、そういった簡単な希望を遠慮なく言ってみてください。じゃあちょうどいい感じに分かれているから、そっち側から順番で行こうか」
いきなり自己紹介をする流れになり、端に座っていた美緒莉からええーと不満の声が上がったが、その割にすらすらとした自己紹介が始まった。
「二年一組の花森 美緒莉です。人数によっては劇に出ることも考えてましたが、一応衣装担当として頑張りたいと思ってます。まだ新歓の時のケープしか作れてないけど、役が決まったら採寸して作り始められると思うので、一緒に衣装を作りたいと思ってる人がいたら、よろしくお願いします」
二年生の中で、白雪姫の役をやりたいと言っている人は、今のところアリーシャ以外いなかった。
演劇部に興味があって入部し、七人の小人のどこか辺りに入りたいと言っていたのが侑奈と琴葉で、残りのメンバーは、絶対に出ないと言ってる台本担当の真由美以外は、配役が足りていないのなら出てもいいが、基本裏方希望といったスタンスだった。
自己紹介の順番が回ってきて、次はアリーシャの番となった。
前に倣い、起立し一度深呼吸をして自己紹介を始めた。
「二年生のアリーシャです。アメリカから留学して、青春をするためにこの学校に入学しました。演劇部は、半分以上私の我儘で出来たみたいなものです。私は文化祭で、主役の白雪姫をやりたいと思っています。でも、二年生がやりたいと言っているからと遠慮せず、一年生もやりたい子がいるなら立候補してください。私は、正々堂々、皆に認めてもらって主役になれるよう努力したいと思います。よろしくお願いします」
そう言い切ったアリーシャは頭を下げ、皆から拍手を貰ってから座った。
自己紹介の最中より、終わった後の方が心臓の鼓動を早く感じた。
入部はありがとう。
でもその席は譲らない。
アリーシャはある種の宣戦布告をした気持ちだった。
その後続いた一年生の自己紹介は、緊張からか、まだ何の役職をと口に出して言う人はいなかった。
それでも、中学になかった部活だから興味を持ったとか、何か役をやってみたいという人が大半だったので、アリーシャのライバルとなりそうだった。
「はい。みんな自己紹介ありがとう、ではとりあえず一週間。部活に慣れてもらって、来週白雪姫の立候補者を募りたいと思います。なのでそれまでに自分がどうしたいのか、決めておいてください」




