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一投票権を持っている生徒として、アリーシャは生徒会選挙について少しだけ調べてみた。
生徒会選挙はもうすぐ本当の選挙権を手に入れる学生たちに対し、本格的に選挙を模倣して行われるらしい。
選挙の投票権は一人一票。
来週の金曜日が投票日になるが、期日前投票も来週の月曜から認められているらしい。
空き教室の机をそれっぽく並べて、選挙管理委員会の元、入口で受け付け、用紙を貰い、専用の場所で記入して、中央の箱に入れるというプチ選挙体験ができるというわけだ。
選挙にあたり、出馬した生徒も各々公約を掲げており、浦崎先輩は図書室に入荷してあるライトノベルの続巻が購入されずに放置されているので、それを購入するための予算を取り、任期中に購入を。
三原先輩は匿名目安箱の設置を。
目安箱に入れられた意見は、生徒会の返事付きで公開されるらしい。
大学生協ひとことカード式とあったので調べてみたら、なかなか面白そうなものが出てきた。
そして最後の青木先輩は、購買部から消えた焼きそばパンの復活とあったが、これは一生徒の力で何とかなる公約なのだろうか。
守れなかった場合は、努力の過程とかが公開されるのだろうか。
一番人気と思われる人の公約がそれでいいのか。
いや、むしろ公約までにするくらいには、焼きそばパンに熱烈なファンがいるのかもしれない。
日本人の食に対する情熱は、外国人が思っているより熱い可能性がある。
日本には食べ物の恨みは怖いという言葉があるくらいなのだから、計り知れない。
ともかく、アリーシャの心は、浦崎先輩と三原先輩の間で揺れていた。
どちらかというと浦崎先輩の方に傾いているのは、同性だからというのもあるが、図書館にあるラノベの続きを買ってもらえるというのは、オタクのアリーシャからするとありがたかった。
未成年で、日本に国籍がない留学生のアリーシャは、日本の選挙に対して選挙権はないが、こういう形で選挙を疑似体験できるのは少し楽しかった。
せっかく選挙権があるのだから、来週の金曜日までには誰にするかきちんと考えて投票に行こうと決めた。
それなりに真面目に選挙に取り組んでいたアリーシャは、まさか焼きそばパンのせいで顔のいい先輩の人気が女子に留まっていなかっただなんて、知る由もなかったのである。
最終的にアリーシャの投票権は浦崎先輩への一票へとして使われた。
話したこともない先輩だが、月曜に行われた全校集会での演説を聞いた限りでは、好印象を持ったのも票を入れた理由の一つだった。
逆に顔のいい先輩と言われていた青木先輩の演説は、なんだかへらへらしていて、アリーシャの好みではなかった。
もう一人の三原先輩の方が、アリーシャとしてはかっこよく見えたくらいだった。
そうして迎えた翌週の月曜に、生徒会長として任命されたのは、先生たちの本命、三原先輩だった。
妥当といえば妥当である。
月曜の全校集会で就任した先輩からの挨拶があったが、形式通りの挨拶の中でも非常に簡潔で、長々しい話をするより好感が持てた。
アリーシャが入れた浦崎先輩は、票が一番もらえなかったらしく、次期生徒会としては書記長に任命されており、顔のいい青木先輩は副会長に任命されていた。




