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一月の使える時間を目一杯使って、アリーシャたちはそれぞれのケープを何とか完成させるに至った。
経験者の二名は、そんなにかからずに仕上げ、その後皆に教えながら、もう一着作るくらいの余裕があったが、未経験者たちは、布に鋏を入れるのに騒ぎ、生地を裏表逆に縫い付けたり、違う場所に違うパーツを縫い付けそうになったり、布にしわを作ったまま縫い始めたり、ミシンに糸を通していない状態で動かしてひと悶着どころではない騒ぎを起こしたりして、そうして何とか形にした。
中でも一番の劣等生が冴で、型紙まではすぐに作ることが出来たのに、布を切ったら断面がささくれ、アイロンを使って火傷をし、ミシンを使えば縫い目がしわになったり曲がったりして、手縫いを始めたら指を刺して半べそをかいていた。
先生の指導の元、何とか完成させた冴のケープは、それでも少し歪んでいた。
何かをする度に問題を起こし、おろおろとしている冴の姿が珍しくて、アリーシャはその度まじまじと見てしまっていた。
最初にやりたくないと主張していた通り、冴は本当に裁縫が苦手だった。
以前、部室を掃除していた時も美緒莉に叱られていたし、冴の苦手と得意はかなり極端のようだった。
そのような経験を経て、冴は本人の希望もあり、裁縫担当から正式に外された。
ある種の戦力外通知に、本人は非常に喜んでいた。
「ねえねえ、せっかく全員出来上がったんだから、皆で着て写真撮ろうよ」
「お。じゃあ私が撮ろうか」
「何言ってんだよ、原ちゃん先生も一緒に入るんだよ」
原先生も顧問ということで、見本として一緒にケープを二枚も仕上げていたので、凛子はそれを羽織らせて輪に入れた。
写真を撮ろうと提案した美緒莉の鞄から当たり前のように自撮り棒が出てくるのは、流石日本の女子高生だといったところだろうか。
冴は歪んだケープを着ながら、堂々とその輪に入って行った。
完成して形になっているだけ凄くないかとは本人談だ。
自己評価はすこぶる高いようである。
逆に、ケープを二枚仕立てた夏海や、初心者ながら先生に褒められるくらいの出来栄えでケープを作り上げた侑奈や琴葉人は、写真があまり得意な方ではなさそうだったが、せっかく出来上がったのだからと、少し恥ずかしそうにしながら写真の輪に加わっていた。
撮った写真は演劇部のグループチャットに上げられた。
部員八人と顧問の原先生を入れて、九人で作った合計十二着のケープは、畳んで段ボールに入れて部室に保管することとなった。
アリーシャはその前に、出来上がったケープの写真と、それを着た自身の写真を撮ってもらい、アメリカの家族の元へ送った。
制服の上にケープを着て、なんだかちょっと魔法学校の生徒にでもなった気分だ。
魔法ではなく、一生懸命自分で作ったケープを改めて見て、アリーシャはなんとも愛おしい気持ちになった。




