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翌日の放課後はアリーシャと凛子が考えたデザインの発表会となった。
放課後、原先生が先に来てストーブを付けておいてくれた裁断室の、ストーブに一番近い大きなテーブルに全員が集まった。
しかし、ストーブを付けて全員が来たことを確認した原先生は、一度職員会議のために席を外す形となり、現在は不在だ。
美緒莉と冴と真由美の三人と、新入部員となった夏海、侑奈、琴葉の三人がそれぞれ分かれて机の長辺に座った。
全員が席に着いたところで、アリーシャと凛子は、最終的に決まった衣装デザインをコピーし、全員に配った。
「はーい、これがアリーシャとあたしでデザインした衣装のスケッチでーす。確認して、意見があったら言ってー」
「絵がわかりにくかったりしたら、説明もできるからそれも聞いてね」
長方形の机の短辺に凛子と一緒に立ち並び、全員の反応を待つ間、アリーシャは何とも言えない緊張感にそわそわとした。
頭ごなしに否定の言葉が出てこなくても、気を使われて、言葉を選んであんまりよくないと言われる可能性もある。
もしそんなことになったら、アリーシャは間違いなく落ち込む自信があった。
特に白雪姫のデザインは、最終的にアリーシャの意見が通り、青いドレスがメインのデザインとなったので、こんなのは白雪姫ではないと言われたらと思うと、胸のあたりがきゅっと痛んだ。
「わあ。これこれ、これめっちゃ可愛いよ」
美緒莉がそう言いながら取り出したのは、そんなアリーシャの心配していた白雪姫のデザインだった。
アリーシャは拳を握りしめ、一人小さなビクトリーポーズをしていると、そんなアリーシャを横で見ていた凛子がアリーシャに向けて手を上げてくれたので、アリーシャもそれに応えてハイタッチをした。
「私は先に見させてもらっていたんだけどね。この王子と対になっているデザインがとてもいいと思っているから、白雪姫だけじゃなくて王子のデザインも並べて見てみて」
「このさ、腕の膨らんでいる所って縫うの大変だったりしないの?」
「そこは腕の見せ所といいますか、やりがいがあるぜって感じです私的には」
美緒莉の感想を皮切りに、各々の感想が飛び交ったが、聞こえてくる限りはどれも好意的なもので、アリーシャはほっと胸をなでおろした。
「お、やってるな。お疲れ様」
しばらくの雑談の後、裁断室の入口から原先生が教材を持って戻ってきた。
先生はすぐさまそれらを教壇に置いて、ストーブの前に近づいて暖を取りつつ、机に散らばるデザイン案を眺めた。
「デザイン確認はどうだった。問題なさそうかな」
「はい」
アリーシャは原先生の問いに、自信満々で答えることが出来た。
その後、予定通り型紙の作成となった。
最初は全員の実力の把握と練習も兼ねて、フード付きのケープを作ることになった。
語り部用の衣装として想定されていたものだが、文化祭当日のビラ配りや観客の案内などをするスタッフにも着て貰ったらどうかというアイディアが出たので、練習用として丁度いいからということで、まずはこれに取り掛かることとなった。
前は胸元、後ろは肩甲骨辺りまで覆われた形のケープにフードを付けて完成という、シンプルなものだ。
赤い布で作れば、童話の赤ずきんの舞台衣装にも使えそうである。
練習ということもあり、各々自分のサイズのケープを作ることになった。
採寸は手伝ってもらいながら、誰の腕が長いとか、肩幅が狭いだとか言いながら採寸を行い、型紙へと起こしていく。
経験のあると言っていた美緒莉や夏海と違って、アリーシャはせっかく測ってもらった数字が、どこの長さだったとか、洋服の展開図を見ながら、その部位が体のどこに位置する何なのかがわからず、何度か先生に質問を重ねて型紙を作ることが出来た。
一方、裁縫をやりたくないと言っていた筆頭の冴は、そんな態度だったにもかかわらず、すぐに型紙を作り上げ、新しく入部が決まった侑奈と琴葉は、凛子や真由美、アリーシャと同じくらい手間取りながら型紙を仕上げていた。
日本人はたまにできることをできないということがあるので、一人だけ全然上手くいかずに置いていかれたらどうしようと、内心怯えていたアリーシャは、自身と同じくらいの人が大半で、周囲を見ながら密やかに安心をしていた。
その日はそうして全員が型紙を作り終えたあたりで解散となった。
今後は先生の都合に合わせて、火曜日と木曜日に裁縫の時間が設けられることとなった。
残りの時間は、いつも通り第二体育館での声出し練習だ。
折角メンバーも増えてきたので、インターネット上にある無料の演劇練習用台本を借りて、何かやってみようという話にもなった。
四月に新入生歓迎会があり、その後新入生が入部してくれるようになる。
新しく入ってきた一年生に、いろいろと教える立場となる身として、いろいろ経験をして、どういうふうに教えるべきかを考えていこうという目標が掲げられた。
「その新入生歓迎会の時に、今日作った型紙のケープが着られたらいいよね」
アリーシャが思わず零した言葉に、みんなそれは素敵なアイディアだと言ってくれた。




