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翌日。
登校した昇降口の前の掲示板に、演劇部募集のポスターが貼ってあるのを見つけたアリーシャは、にやけた顔をしながらそれを写真に収めた。
今日から正式に、部員募集が始まったのだ。
教室に着いたアリーシャは、予鈴までの時間にまだ余裕があるのを確認し、自席に荷物を置いて、いそいそと絵里の元へと向かった。
向かったと言っても、同じクラスメイトであるからして、席を少し移動した程度ではあるが。
「絵里、おはよう。ポスター貼ってあるの見た? 私写真撮っちゃったよ」
そう言いながら、先程スマートフォンで撮った写真を絵里へと見せた。
「見たよー。昇降口の掲示板のど真ん中にあって、朝からちょっと恥ずかしかった」
そう言いながら照れくさそうに笑う絵里は、なんだかんだ言って嬉しそうだった。
「美術部の子も、掛け持ちでもいいから、もし演劇部に興味がある子がいたら誘ってくれない?」
「わかった、興味があるかだけでも聞いてみるよ」
小さく両手を握りしめて気合を入れる絵里は、その後少し考えて眉を下げた。
「でも美術部は私を含めて内気な子が多いから、難しいかもしれないけどね」
「そっかあ。でも、演技をやるんじゃなくって、衣装作りや小道具とか作るのにも人がいるから、そういうので参加してくれる人が必要なんだって。そういうのだったらどうかな」
実際に演技をやらなければいけないのは、大まかに、主役の白雪姫、悪役のお妃様、七人の小人と王子様の十人くらいだと、台本を担当してくれる真由美が言っていた。
あまりいっぱい主役候補が出てきてしまったら、アリーシャがやりたい主役の座を取られてしまうからという小さな下心もあったが、それを抜きにしても冴が道具や衣装作りや当日のスタッフやらで人がたくさんいると零していたので、裏方参加は大歓迎だ。
「あ。舞台の背景作りとかでいいなら手伝うよ私。美術部だしそういうのは好きだから」
俄然そちらには興味があるといった感じで、絵里はありがたい提案をしてくれた。
「本当?! 私、本当に頼りにするからね?!」
「いいよー。というかそっち方面でいいなら美術部の子もきっと参加してくれるよ、大きいキャンパスに絵を描く機会ってなかなかないからねー」
本格的に作ることになったら誘ってと絵里が言ってくれたので、アリーシャは勿論と返事をしたところで予鈴が鳴った。
それを合図に絵里と別れ、アリーシャは自席へと戻った。
席に戻った先で、昨日、アリーシャがバイト中に作られていた演劇部用のグループチャットに、ポスターを貼ってくれたお礼と、先程撮った写真を載せて、その後絵里が大道具の背景をつくるなら手を貸してくれると言ってくれた旨を、一生懸命打ち込んだ。
未だにローマ字入力に慣れていないアリーシャは、教師が来た後も密やかいに机の下で続きの文章を打つことになったのは、仕方ないことだ。
日本ではフリック入力が一般的に使われているらしいが、アリーシャにはそちらの方が難しかった。
一限目が始まる前に入力を終えると、前の方の席に座っていた冴が振り返ってアリーシャへ親指を立ててきたので手を振っておいた。
冴の立てた親指はそのまま、グループチャットのイラストメッセージとしても反映されていた。




