期待
ずっと期待するフリをしていました。
◯◯君がいないとどうにもならないからね、と仕事を任せる裏では最終的には自分ひとりでもどうにかなるように仕込みをいれるのが常。
周りを信じきれていないのではなく、もとより一人でどうにでもなるだけの器用さがあった。
ここは形ばかりを重視するから、できることすら周りに仕事を振らなければならない。
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彼は周りからの信頼が厚い人。
だからみんな頼る。
誰もそんなつもりはなかったのに、結果的に彼を都合の良い人扱いしていた。
大抵のことは一人でできるから周りを頼ろうという発想がない。
ネガティブに捉えるなら、一人で全部背負おうとする人。
いくらでもきっかけはあった。みな等しくそのチャンスはあった。
でも実際は誰も気づかなかった。気づいてあげられなかった。
みんなが抱いている彼のイメージをそっくりそのまま再現できる人だから。
隙なんてもとよりなかった。
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虚
8年前の誓いを果たした。
あのとき見えていた通りになった。
悲惨といえば悲惨だ。
悲しみなんてないし、当然嬉しさもない。
「やっぱり」
それだけ。
思い描いた通りにいかないのが現実なのだとちょっぴり期待していたのに。
ああ―――ないものねだりだけは得意な自信あったんだけどなあ。
なんとなくわかる。
きっと、俺は―――壊れていく自分を誰かに引き止めてほしかったのだ。
あるいは、壊れる前後の自分を誰かに知っていてほしかった。
だからまだ普通でいられていることにほっとした。
それすらなかったら本当の終わりだから。




