第三部 第十六章「大〇な〇い出」
遠い、遠い記憶―――
それを開くと、黒いペンで様々な文字が綴られていた。
丸っこい字。お手本に忠実な字。
「今まで沢山迷惑をかけてごめんなさい。でも、話しかけてくれたりした時は本当に嬉しかったです。私のせいで嫌な思いをさせてごめんなさい。本当に、今までありがとうございました。
○○」
歩み寄ってくれた人―――
「あの時間が意外と好きだった。あの時はまあいろいろと大変やったけど逆に良かったかも‥‥‥これからもよろしくね。また話そう。
〇〇」
傍に居てくれた人―――
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「それが、"オマエ"が繋いできた縁だ。」
あの時とは違う、大人びた声。
「オマエの生き方はあまりにも歪だ。‥‥‥まあ、俺が言えたことではないがな。」
自嘲するように、そいつは口角を上げる。
「自覚しているだろうが、オマエはろくでもない結末しか迎えない。あの光景を見ただろう?‥‥‥それでも、そう在り続けるのか?」
頷きで返事をする。
「そうか‥‥‥ならばいい。ここまでしても、そうまで変わらぬのなら俺はもう何も言わない。」
「せいぜい忘れぬことだ。‥‥‥それだけが"オマエ"を"お前"たらしめている唯一のものなのだから―――」
そいつは、それだけを残して消えていった。
結局。やつが何を言いたかったのかはわからない。
けれど、胸の中には確かに温かい『何か』が宿っていた―――




