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Interlude「自己と彼女」
Interlude
「よかったの?残ってあげなくて。」
茜は廊下へ出ると、近くにいた想太へ尋ねる。
「別に構わんよ。」
「でも、あのままだと想志君‥‥‥何処かに行っちゃうかもだよ?」
「それならしょうがない。アイツらはきっと、俺には計り知れないぐらいの何かがあったんだろう。それに、想志だって色んなことを考えてああいう行動を取っていることぐらいはわかる。だったら、それでもアイツらと距離を取るって選択をしたのなら、俺はそれを尊重するだけだよ。」
想太は目を伏せ、静かに答える。
「そっか。優しいんだね。」
「バカいうんじゃねえよ。それはアンタもだろ。こんなアイツらが関わり続けるための部活に入れられて文句一つ言わないのはスゲーことだろ。」
茜はふっと微笑み、今にも消えそうな声音で返事をする。
「どうかな‥‥‥。私はただ‥‥‥それが一番良いって思っただけだから‥‥‥。」
「そうかい。」
想太には彼女の笑みが自嘲しているかのように見えた。




