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人は情報を選べない

「担イシ者タチ」です。

よろしくお願いします。

「ねえ、ハツキのあの目……どうしたの?」

 質素な和室。その真ん中で美佳はつぶやいた。

「ハツキの目……? ハツキは……その……昔から眼帯してたでしょ。ね、梓」

 祈は視線を美佳に向け、少し後ろめたさが混じった声を発した。

「え、あ、はい。お兄ちゃんは左目が全然見えなくて……しかも先天性の眼筋がんきん麻痺まひっていう病気なんです。だから左目が動かせないし、全く見えないっていうことで眼帯をしているんです」

 過崎梓は兄を不憫ふびんに思いながら、少し悲しげな表情で言った。

「それはそうだけど……なんか、分かるの……昔とは違うって」

「なに? ハツキのことなんでもわかってますよーって言ってハツキ取ろうとしたら許さないからね」

 鈴が少し怒ったような表情で美佳のことを見る。

「いや、違うって! だから……その、目が見えないっていうのじゃなくて、目自体が無い……のかな」

「無いって……誰かに……取られたってこと? 目を?」

 鈴はすぐに顔色を変え、赤くしていた頬のを引かせた。

「分からない……でも、私の魔術は情報を取得することらしいから、ハツキ、本当に……」

 美佳は自分が得た情報に慄き、それを紛らわすために闇に包まれた窓の奥を見つめた。

 と、その時……

「おお! やっぱり祈たちだったか!」

 ふすまがドパーン! と開くと同時に少し低い、少女の声が聞こえてきた。


「魔術師は孤児となり得たものが成りうるもの……俺の家に代々伝わる言葉だ」

 瀬川せがわ刀地とうじは唐突に話し出した。

 閉店した後の地下カジノ……その一角でルーレットの台に座る二つの人影。

 照明が数個しか点いていないためにはっきりとしないそのシルエットはガタイのいい男とまだ小学校を卒業したばかりの少年のものだった。

「孤児……ですか」

 ハツキは机の下部にある赤く塗りつぶされた部分にメダルを百枚乗せた。

「ああ。どうやらお前らがその魔術師になっちまったってことだな」

「しかし、こう言ってはなんですが、孤児なんてどの時代にもいます。なのになぜこの時代に生まれた僕たちだけ……」

 ハツキは少し不服そうに言った。

「さあな。期間限定なんじゃないのか?」

 刀地はルーレットを回した。

「期間限定って……雑すぎるでしょう……」

「はは、まあ期間限定ってのは意味的に間違ってないと思うが……もしかしたら……」

 刀地は少し真剣な面持おももちになった。

「選ばれたのかもな。この時代の孤児の中で誰かが」

 そう刀地が言うと同時に、小さい輪の中で踊るようにまわっていた鉄球が、一つの枠の中に入った。

「4……赤色か。くそー。当てられたな。ほらよ、ハツキ。2倍……って、4って黒じゃねーか!」

 刀地は自分の記憶とは相違しているその光景に異議を申し立てた。

「お前、魔術使っただろ?」

「あ、バレました?」

 ハツキはクスッと笑った。

「そりゃバレるだろ。俺を誰だと思ってんだ。オーナーだぞ、このカジノの。4っていう数字も変えられたらちょっとやばかったけど」

「そうでしたね。けど、数字は小さすぎて変えれませんよ」

 ハツキは笑顔を崩さずに言った。

「さあ、次のゲーム始めましょう」

「おいおい、仕切役ディーラーは俺だぞ」

 刀地はハツキの笑顔につられるようにして笑った。

「おっと、忘れるとこだった。ゲームで思い出したぜ。さっき客から聴いたんだが、どうやら魔術師は警察とかの敵らしい。つまりお前らは政府から悪とみなされたんだ。それで、何やら魔術対策部ってのが設置されたみたいなんだ」

 刀地が再び真剣な面持ちになった。

「魔術対策部……ですか。なんかあまり聞きたくない四文字が入ってますね……」

「そうだな。まあ耳に入れといて悪い話ではないだろう。まあ、そこの部長がやばい奴らしいから気をつけろ、とだけ言っておくぜ」

「部長……どんな人ですか?」

「まあ……おっかない人だな。さっきの爆破犯の数倍」

 刀地はその表情の真剣さをさらに深めた。

「爆破犯よりってやばい人ですね……。というか、なんでゲームで思い出したんですか?」

 ハツキは場の重い空気を取り除くためにその顔に笑みを浮かべて言った。

「ああ……なんでだろうな」

 しかし、ハツキのはからいに反して、刀地の真剣な表情は崩れることはなかった。

 そんな時、カジノホールにハツキの携帯の着信音が響いた。

「あ、刀地さん、すいません。もしもし、祈?」

「もしもしハツキ!? 未央が……未央がいたんだよ!」

「え……? ほ、ほんとに?」

 ハツキは電話の向こう側から聞こえてきた嬉しそうな声を聞き、刀地と共に上の階へ走っていった。

読んでくださり、ありがとうございました。

今回は普通ぐらいの長さでしたが、また一週間も投稿ができなくてすみませんでした。

今テスト期間なので、結構執筆しています。投稿頻度をあげねばと思いまして……(汗)

そんなわけでがんばって書いているわけですが、これからもこの作品を読んでいってもらえると嬉しいです。

感想や文章の指摘などがあれば送っていただけると助かります。

ブックマーク等もよろしければお願いいたします。

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