この世に無かった物質
お待たせいたしました。
「担イシ者タチ」第15話です。
よろしくお願いします。
「美佳……良かった。無事だったんだね」
鈴は少し感動しながら言った。
「まあね。どうやら私たちを探してるやつらがいるみたいだけど。そのせいで楓たちともはぐれちゃったし……」
美佳は手に持っていた瓦礫を投げ捨て、周辺の建物を爆破した男を指さした。
「それよりあんた! 祈を……こんなか弱い女の子を殺そうとするなんてどういうことよ! マジでふざけんな! 絶対許さないから!」
「んだと?」
「……って鈴が思ってます」
「え!? 私!?」
美佳の責任転嫁によって男が怒りの矛先を鈴に向ける。
「……誰でもいい。とりあえず、早いとこ決着つけようぜ。まだ壊したりねぇんだ」
「これ以上損害を被る建物や人を増やす訳にはいきません。あなたはここで倒させていただきます」
鈴は瓦礫を一つ手に持った。すると、どういうわけか瓦礫はその場から消えてしまった。その後、仕切り直したように薙刀の刃先を男の方に向けた。
「はッ! やれるもんならやってみろ!」
男は掌に炎を発生させ、鈴に投げつけた。
「無駄です!」
鈴はすぐさま炎の玉を体を右に動かすことによって回避し、そのまま男の方へ走っていった。
「はは! まさに飛んで火にいる夏の虫ってわけだ!」
男は手から炎を噴出させ、鈴に振り下ろす。
「同じ手は通じない!」
そう言うと鈴は左手を天にかざした。すると、鈴の左手に切れ味のよい刃物で切られた物体の断面のように平たいコンクリートの塊が現れ、男の手から噴き出す炎とぶつかった。
炎は進行方向にあった障害物を避けるようにコンクリート塊を中心にしてあらゆる方向に飛び散る。
(やっぱり。こいつの炎は普通の炎よりも物理的だ。酸化という現象としての炎じゃなくて、そこに物質としての炎がある、みたいな感じだ……)
鈴は男の攻撃の対処法を発見し、少し希望を持った。
炎、または火、というのは、酸素や水のような「物質」ではなく、物質が酸化する際に現れる「現象」である。
しかし、男が発生させている炎は、「現象」というよりも物質的である。高温かつ可視であるために純粋な物質、というわけではなさそうだが。
「炎が普通じゃない……というか、燃やしている物質が普通じゃないみたいだね」
美佳が唐突に口を開いた。
「ど、どういうこと?」
祈が首をかしげながら訊いた。
「あの炎を発生させるために何を燃やしているか、ってこと。魔力、って呼ばれてるものだと思うけど……。なんか、怖いな……」
美佳がこの世に今までなかったものが今目の前にある、という奇妙なことに少し恐怖した。
「でも、そういうことが分かったんだから対処は簡単になったね。鈴の魔術は物質変換か……。変換する物質をストックできる点も、結構相性がいいみたいだし、かなり有利みたいだね」
「良かった……。鈴、頑張って……」
祈は戦う少女を見つめる。
「てやあッ!」
鈴は薙刀を振り上げた。
薙刀の刃先が男の顎を掠り、傷口から血が流れ出る。
「く……そ! このままじゃやばいか……」
男は周りを見わたす。すると、何かを発見したようで、急に体の向いている方向を変え、走り出した。
「どこに……。! 建物内か……」
男が目指している方向にあったのは建設途中、というより完成間近の家だった。
(建物の中に入られたら私は不利になる……。鬼狩の部下に見つかるわけにもいかないし、早くあいつを倒さないと……)
そう考えた鈴は男を追いかけ始めた。
読んでくださりありがとうございます。
まだ戦闘パート続きます。長いなーと自分でも思っています。
最近全く投稿できていなかったので、状況整理のような話でしたが、分かりにくいところがところどころあったと思います。語彙力の無さがあらわれてるなーと思いつつも書いていました。もっと勉強しなければならないようです。
次回の投稿は5月10日の火曜日、1時にしたいと思います。
感想や文章の指摘などがあれば送ってくださると嬉しいです。
ブックマーク等もしてくださると光栄です。




