結城美佳
「担イシ者タチ」第十三話です。
よろしくお願いします。
緊迫した空気が当たりに漂う。
鈴とショッピングモールなどの建物を爆破した犯人の男が向き合っている。
鈴は真剣な面持ちだが、男は不気味にもそのやつれた顔に不気味な笑みを浮かべていた。
「一つ、訊かせてもらえませんか」
「んだよ」
「なぜあなたはこんなにも建築物を爆破したのですか?」
「んなもん、楽しいからに決まってんだろ。さっき声が聞こえてきたんだよ。魔術師同士で殺し合え……ってな! それからだ!」
男は掌を天に向けた。
「この炎を操る魔法の使い方が……」
男の掌に赤い炎が出現する。
「いきなり頭の中に浮かんできたんだよォ!」
男は手を振り上げ、勢いよく横に振った。すると、男の掌にあった炎は、どういうわけか投げられたボールのように鈴をめがけて飛んでいった。
「!鈴!」
双方のやりとりを傍観していた祈が鈴の危険を察知して叫ぶ。
「! くっ!」
鈴はそれを右に飛んで回避した。
どこにも当たらなかった炎の玉は瓦礫の山に激突し、バン! という轟音と共にそれらを吹き飛ばした。
「あなたも声が聞こえたのですか……」
「ああ、そうだ! これは奇跡だ! 神様が親のいない俺を哀れんで授けてくれた奇跡なんだよ!」
男は再び掌に炎を出現させ、鈴に投げつける。
鈴は左に飛んで回避した。
炎の玉は地面に激突し、コンクリートを抉ってクレーターのような穴を作りあげた。
「奇跡……ですか。殺し合え……と命令されることがそんなに嬉しいのなら、そうかもしれません。ですが、どうやら私たちに与えられたのは奇跡ではなく血塗られた地獄のようです」
「ああん? 何言ってんだ、お前?」
「つまり、あなたは私と戦って、この出来事が奇跡なんて嬉しいものではないことを実感します」
鈴は薙刀を右手に持ち、刃を下にし、柄を背中に接触させて走り、男との距離を一気に詰めた。姿勢を低くし、男の下に潜り込むように近づく。
男は少し驚いた表情で、疾風の如く自分の近くに走ってきた鈴と睨み合った。
(近づければこちらの勝ち……!)
鈴は薙刀を男めがけて振り上げた。
「くそ!」
男は後ろにステップし、ギリギリのところで鈴の攻撃をかわした。
(かわされた!)
男はステップを繰り返し、鈴との距離をどんどん広げていった。
「近づかれたら終わりか……はは、面白くなってきたぜ」
男は再び掌に炎を出現させる。
(ワンパターンな攻撃……これなら余裕で勝てる)
男は手を振り上げた。
鈴はその間に男との距離を詰めようとした。
が、
「! ぐ……!」
一瞬、鈴は男が何をしたのかわからなかった。
男の手が振り上げられ、それが振り下ろされようとするところまでは鈴が予想していた通りだった。
だがその後、男は鈴の予想とは全く違う動きをした。
(炎を操る能力ってことは……形状も変えられるってことか……)
鈴はギリギリで男の攻撃をかわした。
かわしたところで、鈴は男が何をしたかを理解した。
男は炎を球状にしたのではなく、普通の炎の形にし、それを手から噴き出させて剣の如く鈴めがけて振り下ろしたのだった。
(なんでもありってわけか……。魔術ってのは、本当に科学を無視するな……)
鈴は男の攻撃パターンが多数あることを知って警戒を強めた。
「ち! あたんねーか。……つか、さっきからこっちを見てるあの女……お仲間か?」
男は祈の方に視線を向けた。
「! 祈!」
「まあいい。いないことにこしたことはねーよなぁ!」
男は掌に炎を出現させた。
「危ない!」
男が祈めがけて炎の玉を投げつけた。
「え……?」
「祈!」
鈴が祈をかばおうとして走り出す。
だが、間に合わないのは明白だった。
炎の玉は祈に直撃する。……はずだった。
「あ、あぶなー……祈、怪我はない?」
祈がいる方向から祈とは別の声が聞こえてきた。
「ったく、女の子に手出すとかどんな男なの? ありえないんですけど」
そこには表面が真っ黒に焦げた瓦礫を持った少女がいた。
「美佳……?」
「鈴……やっと会えたね。もうはぐれたりしちゃだめだぞー」
鈴は少女が誰であるかがすぐにわかった。
その少女は、鈴や祈、ハツキ達と同じ孤児院にいた、結城美佳、という少女であった。
読んでくださりありがとうございました。
最近小説を書いているときに寝てしまうことが多く、かなり困っています。恐らく学校の課題を夜遅くにやっているせいです笑 もっと早くやらないとですね。
今回の話は完全に戦闘、ということで少し長かったのではと思います。まさかの新キャラも登場です笑
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