戦場は戦場らしく変化する
お久しぶりです。
「担イシ者タチ」第十話です。
よろしくお願いします。
「ブラックジャック」
過崎ハツキはディーラーに見せびらかすように両手を3枚の重なったトランプに添えた。
「な……なんじゃこりゃあ……」
偶然ハツキがいるブラックジャックのテーブルの前を通りがかった人々はハツキの持つメダルの量を見て次々と足を止めていく。
嘘のようにテーブルの上に積み上げられたメダルは恐らく3000枚はあるだろう。そのメダルの塔の横にまた1つメダルの塔が造り上げられる。
(これで3500枚か……。さっきからずっとブラックジャックで勝ってる……。本当に運だけでこの状況を作り上げてるの……? 違う……。何かずるをしてるはず……。でも、何をしてるかがわからないんだよね……)
過崎梓は兄の後ろに立ち、兄の手口を解明しようと思っていた。
だが、梓はもちろん、このカジノに入り浸っている人々、そしてディーラーでさえもその手口を解明することはできなかった。
「そろそろ終わりにしようか……ありがとうございました」
ハツキはブラックジャックで獲得した5000枚のメダルをディーラーに渡し、自分のメダルの所持数を示したカードを受け取ってからテーブルを離れた。
「結局お兄ちゃんの手口、分かんなかったなー……」
「はは、まあそのうちわかるよ」
「ええー、今教えてよー」
「じゃあヒントだけ。……最近手に入れたモノを使っただけだよ」
「最近手に入れたモノ……?」
「おお、ハツキ、もう行くのか?」
話しかけてきたのはこのカジノのオーナー、瀬川刀地だった。
「はい。換金と携帯の返却、お願いできますか?」
「おう、いいぜ。じゃあついてこい」
ハツキと梓は刀地についていき、質屋に戻った。
「しかし、今日はお早いお帰りだな」
「ええ、まあ。急いでいるので」
「そうか……。まだ追われてるのか?」
「はい……。状況は変わりましたけど……」
追われている、というのは、もちろん鬼狩の部下に、ということであろう。
「そうなのか。その様子を見る限り、自分以外の人を守れる余裕はできたってとこだろう。ほら、携帯だ。俺の番号も入れておいた。何か用があったら呼んでくれ」
刀地はハツキに携帯を手渡した。
「ありがとうございます」
「じゃあ、今回何枚稼いだか見せてもらおうか。そっから200引いた枚数が今回換金できる枚数だ」
「わかってますよ。ちゃんと覚えてます。はい、カードです」
ハツキは自分のポケットの中から先ほどディーラーに貰ったカードを取り出し、刀地に渡した。
「ふむ……。……!? こっから200引いて……ご、5000!? どうやって手に入れたんだよ、これ!?」
「普通にブラックジャックで勝っただけですよ?」
ハツキはそれ以外に何かありますでしょうか、と言うような様子で首を少し横に傾けた。
「こ……この短時間でってことは、ほとんどずっと全賭けでやってたのか……?」
「はい」
「イカサマがばれるのが怖いからってほとんどかけ金を増やさなかったお前が全賭けとは……。やるようになったな」
「はは、まあ……」
「とにかく、5000枚だから50000円だな。ほら、受け取れ」
ハツキは細長い紙を5枚受け取った。
「ありがとうございます。それでは」
ハツキは頭を下げ、梓と共に質屋を出ていった。
「ね、ねえ、お兄ちゃん。50000円って多すぎじゃない?」
「多いに越したことはないだろ。あって困ることはない」
ハツキはさっき刀地から返してもらった携帯電話を起動させた。
「……? 祈と鈴から着信がきてる……。なんだろ」
不在着信の通知の下に無料通話アプリ、LAINの通知がきているのを発見してそれを起動させる。通知がきたのは25分ほど前だ。
「なになに……今すぐ合流しよう……そうじゃないとやばい……? どういうことだ?」
「ね、ねえ、お兄ちゃん。ヤホーニュースの通知も来てたよ。魔術師って書いてあったけど……私たちに何か関係があるのかな……?」
梓が不安そうに訊ねる。
ハツキはそれを聞くと、すぐさまヤホーのアプリを開いた。
「魔術師排除の作戦が決行される……東京都周辺の住民は警戒し、そして魔術師と思しき人物を見かけたら即通報するように政府は呼び掛けている……って……」
「これって、やっぱり……?」
「祈たちが危ない……戻ろう」
「うん、そうだね……」
ハツキと梓は先ほど祈や鈴と別れた交差点へと向かっていった。
読んでくださり、ありがとうございました。
皆さんお久しぶりです。神神神です。
長期休暇を終え、小説家になろうに復帰しました。
つのる話もありますが、それはまた活動報告でいたします。
次回の投稿は明後日、4月19日となります。
また今日のような中途半端な時間になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
感想や文章の指摘などがあれば送っていただけると嬉しいです。
ブックマーク等もしていただけると光栄です。




