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無法地帯であり、ルール主義地帯

「担イシ者タチ」第九話です。

今回は長いです。

よろしくお願いします。

「こ……ここって……?」

 杉並区から少し離れ、新宿区だと思われる地区。

 その端にある質屋のカウンターの奥にあった扉の向こうは階段になっていた。

 ハツキ達が階段を下りていくと、そこには先ほど目にしていた質屋前や質屋内の光景とはかけ離れた光景が広がっていた。

 照明はかなり明るく、1000ルクスはゆうに超えているだろう。

「カジノだよ。といっても、国が公認して作ったカジノじゃない。まあ、裏カジノみたいなもの」

 裏カジノ……梓は何度かテレビで見たことがある。外観はごく普通の民家や店のようなものだが、実際はそこで賭博とばくなどが行われているという違法のカジノのことを世間ではそう言うらしい。

「え……じゃあ、違法なんじゃ……」

「いいや。言っただろ。裏カジノ、みたいなもの、って。

ここは裏カジノから違法を引いたようなものだ。ここは国が経営しているカジノの地下に設置されている。国が経営しているカジノっていうのは、その土地を無法地帯とすることによって成り立っている。つまり、その土地にだけ賭博禁止っていう法律が無いんだ。そこだけ違う国って言ってもいい。そして「その土地だけ」っていう特性を利用して作られたのがここのカジノだ。このカジノのオーナーは上のカジノのオーナーと同一人物、そして土地の所有権は形ではここのオーナーにゆだねられている。

この土地では法が通用しない、そして、国の管理下でもない……それがここのカジノだ。そして国の管理下じゃないから未成年でも入ることができるってわけなんだ」

「そ、そうなんだ。でも、大人もいっぱいいるよ……? というか、大人ばっかり……賭け事をしたいなら上のカジノでもいいのに、なんで下に来るの?」

 梓はそう訊いた。

 周りを見た限りでは大人だらけである。未成年などそこらへんに一人二人ぽつぽつといるぐらいだ。

 それに、梓にとってはこのカジノを作った理由も疑問であった。未成年が入れるようにしただけのカジノなど、作ったところであまり客が増えず、赤字になってしまうだろう。

「確かに大人だらけだね。それに、未成年ならこんな風な裏世界に首を突っ込むきっかけがない。客を増やすためだって言ってこの未成年出入り可能カジノを普通に作ったとしても、増える客は一日せいぜい10人ぐらいだろう。でも、ここができたことによってカジノの売り上げは急激に伸びた。その理由は……まあ、見ていればわかるよ。梓が疑問に思っていることもそれを見れば解消するよ」

 ハツキは、生徒からの質問に答える教師のように言った。そして、ブラックジャックが行われているテーブルの前で立ち止まった。

「ブラックジャック……これが一番わかりやすいかな」

 ハツキはそう言ってテーブルの前に設置されていた椅子に座った。

「おお、ハツキ、ブラックジャックにするのか。じゃあ、お前のさっきの携帯……メダル二百枚で引き取ってやるよ。まあ、せいぜいがんばれよ」

「え、ちょっと、お兄ちゃん! 携帯持っていかれたら連絡取れなくなっちゃうよ!」

「大丈夫だ。さっきの店は質屋だっただろ。きちんとこのメダル二百枚返せば返してもらえるよ」

 質屋は、その店に物品を預けることによって金などを貸してくれるという店だ。

 つまり、金などを貸してもらい、その金を返さなかった場合は、その店に預けた物品を没収されるというわけだ。

 このカジノで賭けるものはメダルなので、今回貸してもらったのは金ではなくメダルであった。

「では、次のゲームを始めましょうか」

 ディーラーはそう言った。

 数秒後、ハツキは先ほど刀地に貰ったメダル二百枚を全てテーブルの上に乗せた。その隣、またその隣にいた男も同様に、テーブルにメダルをそれぞれ三百枚ほど乗せた。

 ディーラーはそれを確認するとハツキとほかの二人の客と自分にカードを二枚配り、自分に配られた一枚目のカードを表向きにした。

(確かブラックジャックは、まずプレイヤーとディーラーに二枚ずつカードを配られて、そこからカードを引くかそこでカードを引くのをやめて勝負するかを選択するんだよね。そしてプレーヤーとディーラーに配られたカードに書かれている数字の合計が21近い方が勝つ……。21を超えたら相手が21を超えない限り負けが確定する……そんな感じだったよね)

 梓は頭の中でブラックジャックのルールを整理した。

「「ブラックジャック!」」

「「!」」

 ブラックジャック……そう宣言したのはハツキとその隣の男だった。

「……あなた、袖を見せてください」

 ハツキが隣の男にそう言った。

「なに!」

 ハツキの隣の男は驚き、体をビクッと震わせた。

 すると、男の袖から何枚かのカードがバラバラ、と音をたてて地面に落ちていった。

(な……イカサマ!?)

 梓は心の中で驚いた。

 しかし、驚いていたのは梓だけで、他の人は特に何も気にしていなかった。

「はは、ボウズ、やるなー。まあ、こんな見え透いたもんは無粋ぶすいだったか。ほら、ディーラーさん。それとボウズも」

 男はディーラーにテーブルの上の自分のメダルを全て渡し、ハツキにメダルを百五十枚ほど渡した。

 梓はそのさまを呆然ぼうぜんと見ていた。

「ね、ねえ、お兄ちゃん、どういうこと?」

 梓がハツキに聞く。

「ここのカジノには普通のカジノには無いルールが一つあるんだ。イカサマをしてもいいけど、そのイカサマを見抜かれた時は、見抜いた人にかけ金の半額を渡さなければいけない……そんなルールがね。イカサマができるカジノ……このカジノはそんなカジノを実現するために作られたカジノなんだ」

 ハツキはそう言って、ディーラーから賞金として三百枚のメダルを手に入れ、合計のメダルは650枚になった。

(すごい……一気に三倍以上になった……。それにしても、イカサマが可能な賭け事なんて……)

 梓はこのカジノが無法地帯であり、ルール主義地帯であることを改めて実感した。

「ここの客は無法者なんかじゃない。むしろ、上の客よりもルール主義的な客ばかりなんだ」

 ハツキはそう言って次のゲームにかけるかけ金、六百五十枚のメダルをテーブルに置いた。

(じゃあ、お兄ちゃんもイカサマ……? そうだとすると、どうやって……?)

 梓は好奇心から、兄の手口を解明しようと、兄の手元をしっかりと観察した。

読んでくださり、ありがとうございました。

今回はカジノでハツキ君が頑張る(?)話でしたね。かなり説明が多く、しかも下手な説明だったので、退屈な内容となってしまいました。以後努力します。

突然ですが、わけあって活動を休止します。次の投稿は4月10日となります。後に活動報告でも発言しますが、本当に勝手な休止で申し訳ないです。

本当にごめんなさい。4月10日までこの作品を覚えていてくださればまた見に来てください。お願いします。

感想や文章の指摘があれば送っていただけると嬉しいです。

ブックマーク等もお願いいたします。

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