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語り部・千の異世界(サウザンドワールド)後編

「魅惑の重力粒子メガグラビトン


 わわわ、我輩と、主人に。向かって飛んできたたたた。


 紫の球体。宝石のように、中まで、たっぷり深い色の紫。瞳のように色分けされた、まん丸な攻撃。

 わがはいいの、ミャミャあと、いう間だに。攻撃は、我輩たちの元に、届いていた。


「これは普通の攻撃じゃない。重力を固めた、超強力の魔法科学攻撃。空間は歪み、距離は伸び、重さは増し。陽子は内へ、その逆も当然しかり!! 語り符も打ち消す、とってもクレイジーな攻撃だよ」


 平原は暗くなり、光が集まっているような気がする。視界に入る光が少なくなって、空にある太陽が大きくなって近づいた気がした。

 平原は下に沈んでいる、盆地のようんなって、平原のくぼみができた。風が急にとぐろを巻いて、あたりに粒時風を起こす。

 風車は重力に負けて、羽が崩れて引き寄せられ始めた。


 BE CAREFUL!!(気をつけてください!!)

 BE CAREFUL!!(気をつけてください!!)


 アイリスどの、は、注意を喚起している。主人は、そっと紫の球体を目の前で眺めていた。球体は、デスクの上でふわふわ浮きながら、動きを少しづつ抑えていく。我輩の、さーもぐらふぃいいに何も反応がない。

 だが、これはまだ、じょじょ序章。

 紫の球体の近くでは、我輩のの電波ももも、ゆっくりととんだりまがったり。重さも違っていうのだrrrrrrろう。

 

 主人が口を開けた。


「ディオ。これで僕が倒せると思うさね?」

「な……何が言いたい?」

「答えは自分で探すさね。あと、20秒だ」

「くっ!」


 しゅしゅ主人の言葉は心ずよい。我輩の語り部にも、まだ希望が。


重力粒子グラビトン!! 早く解き放たれろ!!」


 客人が焦り始めたたた。手をかざして、戦艦のごとく大きな手袋をおお、紫の球体にかざす。宝石のように輝き始めた。

 また、地形が大きくわかる。平原は、くれーぷのきじにあなをあけたように、ゆっくりと沈む。緑のすぽんじけーきが、壊れるように。

 ブラックホール。

 客人は手を出して、握りしめる。指に力を込めて、左に回す。灰色の戦艦のようなグローブは、そうやってようやくぐらびとんを動かした。客人は金髪は、坂だったようになびいている。

 主人は平然としている。短い黒髪が風になびいても、涼しそうだ。あんま椅子で扇風機の風を浴びているようだった。


「あと、12秒さね」

「な、なんで……君はその重力の前にいてなんともないんだ!!」

「それは、君と同じ理屈さね」

「そんな……ありえない」


 いいたいことわわかるる。

 客人は、なぜかこの重力場の中で平然としていた。その理屈は、その武器であるスーツだ。縦縞に銀の模様。黒い光沢の、言って見ればゴキブリりりのような、今では暗いスーツ。

 ようは、同じ技術を主人が持っているということとなる。

 さて、さて、我輩はみゃあとデモな効果でもなこうか


「ありえないよ!! この技術は、100年飛ぶ間に開発されたものだ!! 僕の技術が、そんなに簡単なものだというのかね!?」

「さすがだ、でも、君は少し違うさね。技術は素晴らしのに、僕の語り部を理解してないようだな」

「何をいう、ここはもう特異点ギリギリの世界だ!! 語り手が何をほざこうと、現実になるはずがない!!」


 とくいてん。わ我輩のでーたべえすによれば、ブラックホールで起こる計算不能な世界の外。数学では求められないと言われている。もし可能だとすれば、外の世界の数学だけだろう。

 客人は拳を握り締めていた。

 主人は、相変わらずくつろいでいる。

 ブラックホールの隣で、しかも世界が崩れ太陽が落ちてきそうな今、二人は平行線のまま会話をしていた。

 太陽が大きいのにもかかわらず、ブラックホールで暗がりになるこの状況にもってこいの矛盾である。


「いい加減にしろ!! 僕を馬鹿にしているのか!?」

「フラグ……さね」

「フラク?」

「君の意気揚々とした発言、そして、息巻いて出したこの一撃必殺の攻撃さね。それを、もし僕が難なく攻略したとしたらさね、読者は果たしてそれを喜ぶだろうか?」

「読者? 一体なんの話を……」


 しゅじじじんの言いたいことはははわかる。

 丁寧に用意したたた、フラグ、を回収するのは、とても楽しいことだだだ。はたしててて、このまま、客人が勝ち惚けることをををを、客人自信ならどう思うだろうかかか。

 フラグ。語り部の能力。

 楽しい方向に転がる現実の能力。

 客人は荒れる窪んだ平原の中、渦を巻いて荒れる風を受けて、金髪をたなびかせた。スーツは固く、ぴたりと張り付いたまま平然としている。目にゴミが入ったのか、少しだけ片目をつぶっていた。


「そんなばかな……僕が負けたほうが楽しいだって? そう言いたいのか?」

「まあ、君の発言次第では、それもあっという間に変わるさね」

「だからって、ブラックホールの近くで平然とできるわけ……」


 これがフラグの能力。折ろうとしても折れない。負けようとしても、勝つ。

 轟音が響く。今にも紫の宝石は割れんばかりに揺れていた。紫の電気が弾け、主人の黒い髪を弾いていった。こめかみに黒いコゲが出来る。やはり、語り符の能力自体は抑えられているようだ。


「初めっから言っているさね。僕が勝つほうが楽しいのだよ。だから、負けることはない。世界に、勝たせてもらえる」

「ずるいだろそんなの!!」

「あと、3秒だ」


 さてさて、ももも。問題なのが、ここからである。

 語り部である主人は、フラグの折り方を知っている。そして、今主人はそのフラグを折ってみせたのである。勝つ、ということが明白になった今、誰が主人を勝たせたいと思うのか。

 ディオ様に買ってもらいたい。

 普通の人間ならばそう思うはずである。


「開放しろ!! グラビトン!!」


 紫の球体は、大きく解き放たれた。解けたように消えて、蛍が羽ばたくよう飛び立つ。太陽も位置を戻し、遠心力で上に戻っていく。平原はそのままだが、明かりはゆっくり戻っていく。風車はカラカラと残骸だけ回した。

 さてさて、さてさて、さてさて。

 我輩は、重力場の影響にて、これで失礼するとします。どどど、どっやらららら……システムの状況が、じゅうりょくにて……



「落ち着くさね、ソーセキ。僕が触ってれば大丈夫だ」


 あ、ありがとうございます。


「さて、ここで問題だ。ブラックホールで空間は歪み、距離は開く、重量は上がった。では、相対的に何が長くなる?」


 でーた、検索中……結論、時間。


「その通りだ。ブラックホールの近くでは、時間が極めて長くなるそうだ。しかし、その空間にいることのできる人間はいない。だが、僕とディオは科学技術とフラグの能力で普通の時間を生きることができるているさね」


 はい、そのお通りでございます。


「じゃあ、なんで僕はまだココにいるのか、わかるかい?」


 それは……おそらく、重力波が語り符のみに影響していると考えられます。


「正解さね。語り符が消し去られてしまった」


 では、自分で語って帰りますか?


「いんやぁ、それだけじゃ、攻められっぱなしでつまらないだろ?」


 主人は、そう言って前を見た。客人だけは立ちつくしている。

 緑の平原の上、銀のボーダー服。へっこんだ大地に、デスクを前にしてポツンと佇む姿は、背景の壊れた風車も相まってすごく静かに感じた。


「だから、ちょっと横着は休憩しよう」


 主人は客人を見やりながら、指をピンと鳴らす。


「アイリス、もしキャンセルしなかったら語り符はあとどれくらいで発動する予定だった?」


 45minute(45分)


「へー、結構ギリギリまで来てたんだね。ブラックホールの隣で45分、普通の世界なら刹那よりも短いんじゃないかな」


 主人から、さね、という語尾が消えている。どこか楽しげだ。


 紫の電気が伝播する中、轟音で耳をつんざく中、空がくらがる中。主人はひっそり笑いながら、ディオ様を眺め始めた。


「久しぶりに、主人公として活躍してみるか」


 その時、主人は客人を睨みつけた。


「!?」

「あら、後ろに下がるのか?」


 主人の目は、客人を明らかに物理的な力で押し出した。客人は、数歩下がって手を前にクロスする。圧力から身を守るためだ。

 盆地の平原に、亀裂が入る。

 

「まだ、立ち上がろうと手をついただけだ。それとも、この言葉使いを前に、震え上がったのかい?」

「マルコ、君が普通に喋ってるのを久しぶりにみた」

「ああ、これは語り部をしやすくするためだ。僕の戦い方は主に語り部だからね」


 その真意は、これからわかる。


 主人は、立ち上がると見せかけて、また椅子に座った。


「君は、数歩後ろに下がる」

「なっ? なにをするつもりだ」

「早く下がってよ」

「な!? 勝手に!!」


 客人はゆっくりとだが、少しずつ下がっていった。デスクから離れて、主人から距離ができる。


「おーらい、おーらい。あと5歩くらいかな」

「な、なにをしたいんだ?」

「するとそこに、ぐつぐつと煮えるマグマがありましたとさ」

「!?」


 主人の言葉の次に、客人の見ていた光景は一変した。


「辺りには、茶色く硬い岩。それは溶岩が固まったものだ。雨が降ったあとで、とっても滑りやすい。数歩先は、もちろん火山の火口がある」


 客人の周りが、瞬く間に火山地帯に早変わりした。今主人が言った通りの連想に加え、火山の暑さ、薄い硫黄の匂い、などが瞬く間に現れる。


「さて、ギリギリで止まろう」

「マルコ、君にはそんな趣味があったのかい?」

「いいや、これからがゲームだ」


 主人は脚を大きく組み直した。黒い紳士服が、少しペラリと不可解にめくれた気がする。

 客人の顎に汗。金髪は熱にへなっている。スーツも暑そうで、中で蒸したようになっている。そんな環境でも、ワンダージュエルは輝いていた。


「今から、その崖が一気に崩れる。君は、その火山お火口から這い上がれるでしょうか?」

「ふふ、バカにしているのかい? 僕にその程度のことを」

「ほら、スタートだ」


 がらっ、崖が崩れた。客人は火山の火口に真っ逆さま。その時には、客人の自由はすでに聞くようになっている。両手を広げて、新たな武器を錬成した。


「錬成・プロトタイプウィング!!」


 だが、反応しない。宝石は輝いているが、スーツに変化はない。

 火山の熱い風が頬覆う。急激にマグマが暴れ出し、煮えたぎって跳ね上がった。


「どうなっている!?」


 おそらく、火山の熱でスーツに影響が出たものと思われ


「そんなヤワなもの作ってない!!」


 では、我輩の知るところではない。


「ああ、脱出するって言っても、上にニゲラられるようにはしてないからね」


「……あの野郎。上に上がらずにどうやって脱出しろって言うんだ!!」


 仕方がない。我輩の知恵を貸してしんぜようか。まずは、語り部から。

 客人の目の前には大きなマグマの沼。生きているかのように沸き立ち、手招きするように伸びてきた。客人の頬にマグマが少しかかって、キレイ顔の頬が少し焦げてしまった。


「いたっ! 僕をこんな目に……何か脱出方法は」


 もちろん、知恵を貸すのも忘れない。

 火山のマグマが動いていると、そのマグマが動いて高さが変わった内側に、ぽっかりと空いた洞窟がある。その子に全くマグマが流れ込んでおらず、物理的にいささかおかしいような穴だった。

 客人はそこに気づく。


「なるほど、逃げ道はあるのか!! 錬成・マジックワイヤー!!」


 客人は手を伸ばした。手の先から、黒いワイヤーが伸び、マジックハンドのように客人の体を引き寄せる。壁に刺さったワイヤーが、無事穴の元まで彼を運んだ。

 マグマから逃げるように、客人は奥に走り込む。


「おぼえてろ!!」

「さて、次はジュラ紀だ」


 客人は走り抜けて穴を進んでいた。はずだった。だが、一瞬でその場の風景が森林に変わる。

 誰も手入れをしていない、ぼうぼうの森林。草木は風で揺れ音を立てる。獣の匂いが急に鼻に流れてきた。


「くせぇ! ここは!?」


「この地球は酸素濃度が非常に濃かった。森林だけをみても、ありえなほど大きく育っている。雑草レベルの草はが、人の高さを優に超え、ヤシの木はそれだけで恐竜のようだ」


 主人の語り部は見事で、これから先に恐竜が出没するのは言うまでもない。


「出没? そんなちゃっちいことしないぜ、僕は。早速、レースの始まりだ」


 客人はともあれ走った。脇目も振らず、泥を踏み荒らしながら、また空に手をかざす。


「錬成・戦闘用ヘリ!!」


 しかし、飛行タイプの兵器がどうしても錬成できずにいた。


「さて、第一コース。トリケラトプス。第二レーン、ラプトルサウルス。第3コーナー、プテラノドン。第四走者、ディオグラディティ」


「は!? 走者!?」


 客人の周りには、獣の匂い、立ち込めて、隣にどさりと音を立てる。隣を見ると、大きく口を開けたトリケラトプスだ。見なかったことにしたようで、ゆっくりと反対側を見る。ラプトルの大きな口だ。


「逃げる!! 錬成・スポーツカー!」


 ついに、普通の車を錬成し始めた。黄色いスポーツカーを、胴体から溢れさせるように生み出した。始めはバレリーナのような姿をしていたが、伊つの間にか操縦席にいた。

 ハンドルを握って、エンジンをふかす。戦艦のような右手では、ここぞとばかりに器用だった。


「どうなってるんだ」


 千の異世界。これがその所以である。

 語り部の能力を持ってして、あらゆる世界をつなぐ。あらゆる気候が共存。生物も、いつだって見れるのが、この土地の売りだそうだ。


「挑戦者5人目、もちろんティラノサウルス」


『ぐららあああああああああ!!』


 ティラノサウルス。黒くて美しいほどの肌に、うっすら緑の羽毛がついている。古代の茶色い地面を踏みつけて、足跡ができる。巨人が歩いた後のような、はたまた天狗の柳のような、そんな巨大な後だ。

 果たしてこのような姿だったのか、でーたべえすにはまだない。


「僕がデザインを担当した」


 本当に好き放題やっていると、従者ながら思う。


「関係ないね。スポーツカーに追いつけるわけないだろ!!」

「ぎゃららららら!!」

「な! なんだいこの鳥は!?」


 プテラノドン。薄い皮膚が滑空ように広がっている。嘴は白く、象牙より黄色がかっている。鉤爪が黄色い車の後ろを鷲つかんだ。そのまま飛び上がる。

 風圧が地面と車を引き離す。スポーツカーの先端を剥ぎながら、茶色地面に車の先端を押し付けた。


「嘘だろ、おい!!」


 エンジンが煙を出そうとも、タイヤがから回れば意味はない。それでも森林は高く、プテラノドンも疲れ始める。気の抜けたゲップをしたように嘴を開く。カラスが困ったような鳴き声で、片足だえ車から離した


「さあ、おっことせ!!」

「ばかああああ!!」


 客人の乗り込んだスポーツカーは、プテラノドンから離れていった。ライトを下に、車は頭から森林に戻っていった。

 それを、トリケラトプスが捕まえる。正確には、ツノで貫いた。スポーツカーのタイヤがポロリと取れる。

 タイヤを蹴るように飛んできた恐竜、ラプトルサウルスだ。小さな体は、大型犬より少し大きい。緑の迷彩色で、鋭い牙と爪を持っている。


「ぎゃらららあ!!」


 後部座席に、ラプトルが乗り込んだ。すかさず、客人に襲いかかる。


「ぎゃららら!!」

「こら! やめろ!」


 ラプトルの爪が座席にくいこむ。前足で客人の方を引っ張った。頭からがぶりと行こうとする。

 客人は首をそらして避けたが、はんげきする暇がなかった。

 どしん! 

 トリケラトプスを踏みつけて、ティラノサウルスが登ってきたのだ。


「やりすぎだよマルコ!!」

「いいじゃないか。遊んで行け」

 主人も引っ込みがつかなくなっているようだ。


 プテラノドンは黄色いスポーツカーを片足で持ち上げた。羽ばたいて、レースの首位を狙う。ラプトルは、大きな口を開けて、ディオの方に噛み付いた。


「ぎゃらららあ!!」

「やめろ!!」


 スーツは防弾チョッキ的な防御力を誇っている。ラプトルの牙が反対にかけてしまった。

 しかし、その頃には後部座席の下にトリケラトプスが潜り込む。茶色と赤のまだらな姿で、ツノを下から突き上げた。

 ラプトルの真下から、真っ白なツノが突き出す。客人の前にいたラプトルは、反動で吹っ飛び前に投げ出された。助手席に白いツノが恋人の代わりに乗車する。


「おお! ラプトル選手、ついにディオ選手を抜き去りました!!」

「やかましいわ!!」


 急に空が曇天に覆われる。

 古代の茶色い地面に水があふれ始めた。驚いた取り桁トプスはツノをグリグリ押し当てて、助手席に風穴をあける。ティラノサウルスは、お風呂に入りたくない猫のような仕草で首を上下に振った。

 ラプトルが今頃落ちてきて、コース横にどさりと落ちる。着地して、ティラノサウルスの赤い皮膚に乗り上げた。

 地面の水は瞬く間に水位を上げて、ジャングルを腰あたりまで水で浸した。大きな森林も、チャポンと水に浸かっている。さらに、スポーツカーの進む方向に流れ始めた。

 目の前に現れたのは、もちろん滝である。


「んなアホなあ!! マルコ!! いい加減にしてくれ!!」

「まだまだこれからだろ、お楽しみは」

「錬成・カヌーボート!!」


 カヌーボートという兵器でもなんでもない、緑のボートを錬成した。頭の上に現れて、前にボトンと落ちる。水に流されて、車のドアの横に流れ着いた。

 客人は黄色いドアを開けると、カヌーに飛び込む。

 プテラノドンは怒ってスポーツカーを持って飛び上がった。客人の上に影を落とし、容赦なくスポーツカーを投下する。


「錬成・インパクトバズーカー! 錬成・高性能パラシュート!!」


 客人は方から大きな『ばずーか』を、キノコでも映えるかのように錬成した。鋼色のそれを後ろに向けて、ティラノサウルスに撃ち放つ。

 黒いくす玉のような、お世辞にも攻撃とは思えない球。それは、ティラノサウルスの上下に振った口に入りこんだ。衝撃と共に、ティラノサウルスの口から爆風が飛び出す。

 客人はその爆風をパラシュートで受けて加速した。


「おや? 滝に真っ逆さまかい?」

「うるさいね! こっちは忙しいんだよ!!」


 主人の挑発に吐き捨てるようなセリフを言った客人。スーツの上から腕に手を当てて、また新たなものを錬成しようとしていた。

 だが、展開は変わる。主人の仕業だ。


「点が急に染まった。夕焼けと思ったら、真っ赤な色をした巨大な石が。隕石というのは、古代を消し去った最強の災害だと、私は思う。今、曇天を貫いて、灰色の雲の上から大きな鉄槌が現れる」


 客人は目を丸くして驚いていた。口を開け放ち、ボケーっと、さらに唖然としている。


「おいおい、やりすぎだろ……」

「もちろん、古代滅亡までやるよ」

「やかましいわ!!」

 本日、2度目のやかましいわである。


 プテラノドンは、カヌーを捕まえた。主人が挑発した隙に、指示を出していたようだ。ティラノサウルスも吠えながら、先ほどの仕返しと、カヌーを前足で鷲掴む。

 水位の上がった水は川となり、激流はラプトルとトリケラトプスを流していった。滝の下にに匹がゆっくりと落ちて、下の滝壺で多いく暴れる。

 だが、滝壺は上空の赤い光を反射していた。

 主人はここぞとばかりに吠える。


「プテラノドンは、ディオを乗せたカヌーを持ち上げて、空に舞い上がった。どこかにある巣を目指して、緑のキュウリだと思っていた。だが、よく見ると、キュウリでもピクルスでもない。これはただのディオグラディティーだ!!」


 このセリフを窪んだ平原で一人でやっているのだから、語り部ははたから見る間抜けに見える。


「きみぃ!! それは幾ら何でも言い過ぎだろ!!」


「さあ、これはどうしたことか。こんな会社の社長、巣で待つ子供たちに食わせようものならば、抜け目のないだけの腑抜けになってしまう!! これはいけない、こんな人間は肥溜めの役にも立たないクズだろう! そういきまいて、プテラノドンは滝底にディオグラディティを投げ捨てましたとさ」


「は!? 僕を!?」


「めでたしめでたし」


「やかましいわ!!」


 本日、三回目のやかましいわ。


「錬成・コミュニケーション・エコロケーション!!」


 客人は、小さなタプレット型の銀色をした装置を錬成した。プテラノドンに向けて、その装置の小さな白いアンテナを向ける。

 プテラノドンは興味深そうに眺め始めた。アンテナがぐるぐる回って、プテラノドンに超音波を送る。


「絶対離すなよ!!」

「ぎゃぎゃ!(了解!)」

「離すさね!!」

「ぎゃぎゃ!?(なんで!?)」

「離さないでくれ、心の友よ!!」

「ぎゃぎゃ〜!(わかってるよ、相棒!!)」

「離してくれたら、そこのティラノサウルス食べさせてやるさね!!」

「ぐらあああ!?(俺ですか!?)」

「ぎゃらららら!!(ばいばい、相棒!!)」

「うらぎるんじゃないーー!!」


 プテラノドンは、カヌーを持って羽ばたいた。ティラノサウルスの美味しそうな巨体はカヌーにぶら下がっている。だが、飯のためなら空高く舞い上がるのだ。


「錬成・スパイワイヤー」


 客人は性懲りも無くプテラノドンにワイヤーを投げつけた。足に絡まって、自らとカヌーを支える。

 ちょうど、赤い空と雲、岩を背に。カヌーを挟んでプテラノドンにぶら下がるティラノサウルスの絵ができた。


「ちぇ、つまんないさねぇ。主人公気分も、さっきの会話で個性を出すために中断しちゃったしなあ」


 なるほど、急にさねって言ったのはそのせいだったのか。抜け目ない。


「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!! 隕石が落ちてきてるじゃないか!!」


 客人は空に吠えた。赤い隕石は途中で崩壊して、ジャングル全体に降り注いだ。大きな衝撃と友に、烈火が舞い上がる。


「そうだな。じゃあ、スーテジを変えよう。隕石も一緒に」


「そういうことじゃない!!」


 急に空が暗くなった。曇天だったので元から暗いのだが、これは昼が夜になったいうな感じだった。

 曇天も、隕石が崩壊した影響で一気に晴れ渡り、暗い夜空に赤い流星が見える風景に変わる。

 客人が空を見上げているすきに、ジャングルは炎を消し、植物も失せ、一気に平らな平地に出る。平原ではないので、大地がつづているのだが、平原のように奥まで何もないわけではない。遠くに町がある。

 だが、スーテジはその町……いや、軍備基地のから少し離れたここ、第一前線。今は夜で、銃の音も無く兵士も身を潜め、静かなことこの上なかった。

 綺麗な夜空を背に、その静寂を刈り取る鳥が現れる。


 テラテラテラテラ テラテラテラテラ


 これは、プテラノドンではない。客人と恐竜たちは、その真下にいる。

 鉄の飛行機。昼なら緑だが、夜なら暗いだけの鳥は、真下に向かって何かを解き放っていた。

 瓶の形をしたそれは、地面に爆発をして。瞬く間に平地を火の海に変えた。

 その終焉を、隕石が取り持つ。

 赤い彗星を背に、戦火の中、客人はプテラノドンで空を舞った。


「うん、すっごい綺麗さね」

「これをどうしろと言うんだ、マルコ……」

「ここまでやったらすっかり満足したさね。あとはお好きにどうぞ」

「主人公らしいってのはどうしたんだい……?」

「あれ、また今度につけといてくれさね」

「そうはいかないだろ……!」


 客人はゆっくりと地面を見下ろした。遠くの軍備基地を見る。途端に、手元に望遠鏡を錬成して、町をみやる。

 薄暗い中、ボロボロの服を着た子供達。襲撃に気づかぬ兵隊が、その付近で酒を飲んでいる。

 客人はため息をついた。


「よりにもよって、こんな世界に……マルコ、君らしいよ」

 客人はそっとつぶやいた。主人の声はすっかりなりを潜めている。


「錬成・天体破壊ロケット」


 夜を背に、重力が消える。月明かりの下、ティラノサウルスが前転しながら宙に漂う。星の下、プテラノドンは大きくたなびく。

 その大きな姿も、暗がりの中では遠すぎる。町には誰も気づいたものがいない。

 カヌーに乗った客人は、着々と準備を進めた。


「錬成・エクレツェア式天体パリア、錬成・空襲防衛ワームホール、錬成・対空無人バルカン、錬成・沈下用アイスエイジボム」


 暗がりの中では何が錬成されたのか、町で気づいたものはいない。ただ、手元に水色の丸いもの、台形が二つ重なった主砲、一世代古いように見えるアンテナ、そして、星空を下から覆った緑の薄いオーロラ。

 景色はグラディーションが加わって、とても綺麗だった。

 今、戦争を嘆くのは、カヌーの上の客人のみだ。


「だれが許可してこんなところで……デケェ争いをするんじゃねぇよ!! 馬鹿人間どもがあああ!!」


 星空を、そっと長い筒が隠したようだった。先には暖冬のようなものがついた不思議な形。一人だけ気づいて噂になったそれは、赤い隕石に向かって突き進んだ。

 ロケットは隕石を木っ端微塵にぶち壊した。破片が赤く燃えて、衝撃波が戦闘機を襲う。戦闘機はきりもみを始め、中から操縦者が脱出してきた。

 落とされていた爆弾は地面にできた渦に消え。

 オーロラは町と惑星を衝撃から守った。

 燃えた地面は氷りつき、雪が降る。

 温度が下がって、人々は暖炉に。争いをやめた。



「どうさね? ソーセキ、システムは戻ったか?」


 いいえ、ご主人。まだ、ディオ様の重力攻撃が影響しております。お時間をいただければ、二日以内には復旧いたしますので、少々おひまを。


「おひまっていうか……君は本当に働き者さね」


  以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたします。以後は、代行のものを用意しますので、ご主人様、これにて失礼いたしままままっまっまままっままままます



 




 ● あー、で、あるからして。あ、私めが、その役目とやらを。あ、請け負いたいと、あ、思います。

 ● あっ、よろしく。え、お願い。あ、いたします。

 ● あ、それとご主人様。あ、え、そろそろ。あ、お風呂のお時間にございます。

 ● お遊びはそこまでになさって、あ、そろそろ、あ、お着替えくださいませ。

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