表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あー・ゆー・れでぃ?!  作者: 文化 右


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1002/1003

第32時限目 親恩(しんおん)のお時間 その7

 翌日のまゆちゃんの足は比較的ひかくてきれが治まったようで、クラスでも何人かが声をけていたけれど、その都度「大丈夫」と返していた。


 お昼休みの時間、念のために再度坂本先生のところに行ったけれど。


「腫れはかなり治まりましたね」


「た、体重をけると、ちょ、ちょっとだけ。でも、ほとんど痛くない、です」


「そうですか。それなら、今日の分まで湿布しっぷを渡しておきますね。明日、もう痛みがなければ大丈夫ですよ」


 坂本先生の言葉に、こくこくとうなずく繭ちゃん。


 ちなみに、相変わらずもえが肩を貸し、私はついていくだけという状況。


 荷物持ちでもなく、ただただついていくだけの私が行く意味とは? というのは確かにそうなのだけれど、萌や繭ちゃんがさそってくれているし、私も繭ちゃんのことが心配だからね。


「じゃあ、教室帰りましょ。先生、お昼休みにすみません、ありがとうございました」


「いえいえ、大丈夫ですよ。もし、また痛くなったら我慢せず、保健室に来て――」


 坂本先生が言い切る前に、スマホが鳴った。


 しまった、サイレントモードにしてなかったかも! とあわててスマホを探したのだけれど、冷静になると流れているのは知らない音楽。


 音の発生源を視線で追う途中、坂本先生の横顔に到達したのだけれど、その目は机の上に置いてあるスマホに向けられていて、少し顔をしかめていた。


 ただ、私たちが見ていることに気づくと、すぐに表情を笑顔にり替えて、


「……あ、ああ、ごめんなさい。私の電話です」


 と言った。


「お昼休み中、失礼しました。繭ちゃん、立てる? そろそろ出ようか」


 私は他の2人にうながす。


 ここのところ、坂本先生が電話をしているときにはあまり良くない表情をしていたけれど、今も“そういう”表情をしていたから、多分同じ用件なんだろうと判断したから。


「失礼しました」


 私たちは保健室を出て、3階までもどったのだけれど、萌と繭ちゃんは3のAの教室……をスルーして、3階にある休憩きゅうけいスペース、そこから少しだけ離れた人の往来おうらいが少ない、壁際かべぎわに移動した。


「あ、あの萌……ちゃん??」


 そのまま教室にもどるつもりだっただろう繭ちゃんが目をぱちくりさせていたのだけれど、


じゅん、ちょっと椅子いす持ってきて。繭の分だけでいいから」


 と萌が言う。


 その言葉に私も首を傾げたのだけれど、目を数度ぱちぱちとさせている間に、ああ……さっきの話かなと思って、空いている椅子を1つだけ拝借はいしゃくしてきた。


「何か最近、坂本先生……変じゃない?」


 果たして、萌の話題は坂本先生の話だった。


「そ、そうかな? い、いつも通り、優しい先生、だよ?」


 繭ちゃんにはあまりそういう認識がないようだったけれど、私は萌の言葉に大きく頷いた。


「優しいのはそうだけれど……何だか、電話してると表情がくもるというか……」


「あ、やっぱり萌もそう思う?」


 私が反応すると、


「やっぱり、準も気づいてたのね」


 と小さい溜息ためいきと共に言葉をき出した。


 どうやら私の勘違かんちがいではなさそうだった、というのが分かったからひとまず安心。


 ……いや、むしろ安心できないか。


「そ、そうなんだ……先生、何か、あ、あったのかな?」


「どうだろう……こういうのは萌の方が知ってるかなと思ったんだけど」


 私がそう話を振ると、


「知らないわ。母からも、何も聞いていないし」


 と萌は首を横に振った。


「ただ、坂本先生も紆余曲折うよきょくせつあって、うちの保健医になってくれたって聞いているし、何かしらあったのかもしれないわね」


「そっか……」


 直後、お昼休みが終わる前の予鈴よれいが鳴った。


「……まあ、私たちが気にしても仕方がないけれど、ちょっと気になっていたのよ。準が同じことを気にしていたのが分かっただけ、少し安心したわ……いえ、むしろ安心できないって分かったのだけれど」


 ……同じこと考えてる、という言葉が一瞬、のどまで出掛かったけれど、何とか耐えた。


「準、悪いけれど椅子を返してきてくれない? 私は繭を連れて行くから」


「分かった」


 そう言って、繭ちゃんを連れて教室に帰っていく萌と繭ちゃんを見ながら、私は椅子を元の場所に戻した。


 その日の夕方。


「今日はカレーかぁ」


 寮に入るなり、鼻腔びこうをくすぐるにおいで、今日の夕食がカレーだということはすぐに分かった。


 ちなみに、辛いの大丈夫な子と苦手な子が居るからと、益田ましたさんが甘口・辛口を分けて作ってくれている。


 花乃亜かのあちゃんなんかは辛い方を黙々と食べていたりするし、私も比較的ひかくてき辛いのは大丈夫だけれど、小学生ズ2人……いや、片方は高校生だけれど、かしまし2人組は甘口しか食べられないみたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ