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闇を背負う者、破壊を有す  作者: 松佐
破壊の使徒
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裏舞台の色々


各国の魔法学校の生徒達が激闘を繰り広げ、様々な魔法が飛び交う光景を大興奮で観客達が観戦する。試合に決着がつけば何処とも知れず歓声が湧き上がり、勝者・敗者の双方に賞賛を込めた言葉が送られる。まさに最高潮の場面、誰もが沸き立ち、日頃の真面目さを脱ぎ捨てハメを外し楽しんでいる時に、けれど冷静に冷徹に目を光らせている者達がいる。観客の発する熱気により真夏に近い暑さが会場を包む中で真っ黒の外套を頭からすっぽりと被り、隙間から瞳が覗く。ぞっとするような眼光だった。彼らが注目するのは魔法の種類ではない。また威力でもない。単純な、純粋な属性。彼らが観戦に現れるのは決まって特殊属性保持者の試合だった。


黒い鷲、凶鳥である害獣をシンボルとし邪神の復活を目論む者達。それが彼らの正体だ。諜報活動に長けた者達ばかりを厳選し、邪神教国の教王自らも足を運んでいた。何故なら、彼らの悲願達成が間近となったからだ。教王の命令で各地から拐ってきた特殊属性保持者を生かさず殺さずの仮死状態にし、一日に生成できる魔力と消費魔力の収支を完璧に合わせ、常に邪神へと魔力供給を続けてきた結果だ。最近は余裕も出き、余剰分の魔力を別の用途で利用し、簡易的且つ強力な魔力兵器の開発にも着手している。本当を言えば、邪神復活に必要な魔力はまだまだ大量に欲しいが邪神復活の中心となる混沌の魔力を持つ少女を贄にすれば事足りる。尤も、教王としては混沌の魔力を持つ少女を殺さずに有効活用したいという思惑も少なからずあるが、あくまで数ある思いの一つであり、邪神復活を前には些事に過ぎない。ちなみに混沌属性は代々、女性にしか現れない。


「やはり、こんな公の場で見つかりはしませんかね」


苛立ちを持って呟かれた自身の本音に、思った以上に焦っているなと邪神復活という彼岸の達成を目前に少々熱に浮かれていた思考を冷却する。その時だった。念話で部下から実に十種類近い属性を使いこなす少女の情報を。教王は直感で悟った。混沌属性保持者だ。元より人間は四種以上の属性を扱うことはできない。何故かは未だに解明されていないが、それは純然たる事実以外の何者でもなく、それを覆すことのできるのは全てであり全てでない混沌属性だけなのだ。


邪神復活のためのピースが揃った。後は、計画を実行に移すだけだ。常人に気づかれない程度に外部から試合に干渉し、着実に選手に疲労を蓄積させる。そして、出来うる限り多くの特殊属性保持者を確保する。混沌属性の少女は必須だ。参加選手の中にはエルフや妖精という変わり種の種族固有属性保持者もいる。計画が結構されたのは混沌属性保持者の少女が蓄積した疲労故に短時間の仮眠を取ろうとした瞬間を合図とし、一気に仕掛けた。特殊属性保持者を捕縛した後に予め定めてあった合流地点から本国まで転移魔法を使用し、帰還する。


後の作業は迅速だった。長い年月をかけ、先代・先々代の教王達が邪神がなったとされる霊峰より邪神の本体、御神体を掘り出し復活のための儀式上に安置した。その儀式上には大量の特殊属性保持者が御神体を中心に円状に身を横たえている。一人一人に魔力吸引と魔力転送の効果を持つ魔法陣を施し、御神体へ魔力供給を行っている。今回の襲撃で捕縛した保持者達も同様に魔法陣を施し、仲良く眠ってもらう。混沌属性の少女は御神体より伸びる蔦の様な紐状の物体で縛り、魔法陣を施す。意図してやったわけではないが、異形の物体に縛られた美少女というのは絵になる。


そして、混沌属性の魔力の供給が開始した。どくん、御神体が脈動したかのように錯覚する程、目に見えて吹き出る神気(瘴気)の量が増える。その場に控えていた信者達が歓喜に声を上げた。


しかし、歓声を上回る破砕音が教国中に轟く。

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