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女を買うクズなのに、なぜか彼女たちに執着される~逆行転生したTS娘は面倒見のいいクズ野郎~  作者: RCAS
TS逆行転生した女は女を買う

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12話:全部は取れない

 木曜日の放課後。鹿島先輩は約束どおり俺のマンションへやってきた。


 一昨日は小春と寝ているから実のところ性欲はそれほど溜まっていない。だから今日は自分が気持ちよくなるより、鹿島先輩の反応を見て楽しむことにする。


 五万円を受け取ってもらいスタートだ。処女地の開拓という言葉が頭に浮かぶ程度には開発のしがいがあるというもの。週二で抱けば飽きも早いか? という懸念が消えるくらいには楽しめた。


 ただし今日はベッドを出たあとにも用事がある。シャワーを浴びてからは意識をコンサルモードに切り替える。


 鹿島先輩の鞄からは家賃、学区、間取り、防犯、通学時間と書かれた紙が次々に出てきた。颯太くんと美羽ちゃんにも希望を聞いてきたらしく、二人とも自分の部屋は欲しい、できれば転校したくない、夜道が危ない場所は嫌だと遠慮なく注文をつけている。


 条件に合う物件を見繕い、それぞれの条件で家計の予測を作るのは大変だがやりがいもあるってもんだ。


 結構な時間が掛かるので夕食を挟む。


「まさか柚木ちゃんが、ここまで料理上手だったなんて……」


「鹿島先輩みたいなヘビーゲーマーとは違って、私は一通りできるから一人暮らしを許されているんですよ。家事を始めたばかりの先輩が私に及ぶわけないじゃないですか」


「正論だけど悔しい……いや、本気で悔しいんだけど!」


 そんなことを言いつつ、もりもりと俺の作ったトマトクリームスパゲティを食べる先輩は俺よりも年下のように見えて実に可愛らしい。……いやまあ、精神的にはかなりの年下だけどな。


 食事を終えてから持ち込まれたデータをプレゼンに使える程度の資料へまとめる。収支の試算と一緒に、後見人へ見せるよう渡しておいた。


 あとはこれらの案がどうなるかだ。


     ◇


 三日後の日曜日。これから先輩を買うわけだが、その前に後見人との話を確認するために俺たちは駅前のファミレスで再び資料を広げる。


 これは鹿島先輩からの要望だ。マンションで仕事みたいなことをしてから始めるのは雰囲気が台無しで嫌だし、事が終わった後に難しいことは考えたくない――実に正論だな。


「後見人と話したんですよね?」


「うん。柚木ちゃんに作ってもらった資料も見せた」


 今のマンションへ住み続けてもすぐに生活が破綻するわけではない。売却も賃貸も急いで決めず、住み替えた場合の費用と生活への影響を比べる。新しい住居の候補が出れば、後見人が契約や手続きの実現性を確認してくれるという。


「分かりやすいって褒められた。誰かに手伝ってもらったのかって聞かれたから、部活の後輩だって答えたけど」


「後見人はなんて?」


「Eスポーツ部はパソコンを使った資料作りも得意なのかと感心されたわ」


「ほかの部よりはましでしょうけど、誤認ですね。AIを使ったとはいえ慣れていないとあの資料は作れませんよ」


「だから正直にほとんど柚木ちゃんが作ったって答えたの。私は少し手伝っただけだから。そうしたら若者は新しい技術を飲み込むのが早いって、違う方向でまた褒められたわ」


 AI関連は言うほど若者有利ってわけじゃないけど……まあいいか。


「それでね、実際の候補をいくつか出してみようって言われたの。物件を探すのも、柚木ちゃんに手伝ってほしいんだけど……」


 最後の方は声が小さくなる。厚かましさを恥じているのかもしれないが、ここまで来たら最後までだ。


「いいですよ。どうせ暇ですし」


「本当? 助かるわ!」


 たまには純粋な人助けもいいだろう。


 持ってきたノートパソコンを開き、颯太くんと美羽ちゃんが転校せずに済む範囲へ絞る。三人で暮らせる広さがあり、今より住居費を抑えられること。


 検索結果の一番上は現在よりかなり安い。画面を向かい側の鹿島先輩に見せる。


「ここはどうです?」


「オートロックがない」


「その条件を付けると家賃が上がりますよ」


「美羽もいるし、防犯は落としたくないの」


 なら次。今度はオートロック付きで、管理会社の評判も悪くない。


「颯太の学校から遠い。部活で遅くなったら大変じゃない?」


「では、こちらは?」


「この間取りだと個室が少ないわね。いまさら兄妹で相部屋というのも……」


 はい、これも消えた。


 広さを残せば家賃が上がり、立地を取れば設備が落ちる。同じ生活圏で今より安く、三人それぞれの部屋があり、駅にも学校にも近い物件を御所望ときた。


 そんな都合のいい物件が簡単に見つかるなら、今のマンションに値段がついている意味がない。ゲームの資源配分と同じで結局は何を残すかだが、このままでは決まらない。


「先輩、全部取ろうとしていません?」


「どういうこと?」


「金は減らしたくない。今と同じ広さが欲しい。立地もオートロックも落としたくない。弟さんと妹さんの生活も変えたくない。全部でしょう、これ」


「……悪い?」


「悪いとは言いません。ただ、それらを全部残すために今の家へ金を払っているんでしょう。何一つ捨てず、支出だけ減らせると思うのは我が儘ですよ」


 先輩が渋い顔をする。言い方がきついのは承知しているが、曖昧にすれば何時間検索しても決まるわけがない。


「じゃあ、柚木ちゃんなら何を捨てるの?」


「私なら、オートロックを必須条件から外しますね」


「防犯を捨てるの?」


「オートロックが防犯の全部じゃないですよ。治安や建物の管理、玄関の鍵は確認します。そのうえで、颯太くんたちが施錠と来客対応の約束を守れるなら外せる条件です」


「二人を信用しろってこと?」


「信用できないなら残してください。そこは先輩が一番分かるはずです」


「姉びいきだけど……いい子たちよ」


「なら二人にも聞いて、最後は家族で決めればいい。先輩一人で全部を守ろうとするから何も捨てられなくなるんですよ」


「……そうね。オートロックだけで消すのはやめる。なら、ほかにどんな候補がある?」


 オートロックの条件を外し通学距離も少し広げる。これで候補はかなり増えた。


「どうせならと思って私の家の周辺も入れてみました」


「どうして柚木ちゃんの家の近くなの?」


「地価はこちらのほうが安いですからね。颯太くんと美羽ちゃんの学校は遠くなりますが、電車を使えば十分に通学圏内です」


 鹿島先輩はすぐに返事をせず、もう一度画面へ目を戻す。


「定期代とか、さらに費用が掛かるんじゃない?」


「長期的なコストが減るなら引っ越し初年度にある程度の金を掛けるのはありです。新しい家を基準に進学先を決めればいいわけですからね」


「颯太は再来年、美羽は来年進学だから、負担も軽いかな……」


 鹿島先輩は椅子を引き、向かい側から俺の隣へ移ってきた。画面を見るだけなら正面でも困らない気はするが、いちいちノートパソコンを回さずに済むならこちらも楽だ。肩を触れ合わせながら一緒に確認していく。


 しばらく探していると、先輩が新しく表示された候補の一つを指した。


「ここなら二人とも電車で通えるかな。駅までなら自転車も使えそう」


「オートロックはありませんが、モニター付きインターホンと防犯カメラはあります。広さと管理状態もいいですね。実際の通学時間は二人と一緒に確かめましょう」


「柚木ちゃんのマンションはどこ? 近いんだよね?」


「ここです。歩いて十分くらいかな。何かあれば応援に行ける距離ですね」


「……そう」


 颯太くんと美羽ちゃんの学校への距離を除けば、今までの候補では一番いいんじゃないだろうか? 引っ越しを勧める以上、俺にも最低限の責任はある。近場なら何かあっても対応しやすいしな。


 鹿島先輩も気に入ったらしく、物件を自分のスマートフォンのお気に入りへ入れる。そのあと、俺のマンションからの距離をもう一度確かめていた。


「颯太と美羽に見せてみる。二人が嫌だって言ったら、また考えるけど……」


「それでいいですよ。最初から正解を引く必要はありません」


 来週からは試験前の期間に入る。今は候補を絞り、後見人へ確認する資料を揃える程度でいい。それに明日からは真琴の勉強を見る約束もあるしな。


 鹿島先輩を買うのも、今日を区切りに試験が終わるまでお預けだ。週二回に増やした直後に休止とは間が悪いが、遊びで成績を落とすほど馬鹿ではない。


 とはいえ、我慢するのはこのあとの一回を楽しんでからだけどな。

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