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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


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空からの衝撃

ポランド軍・西部防衛拠点。


ブロロロロ……


上空から、複数のエンジン音が響いていた。


「ん?」


兵士が空を見上げる。


「味方機か……?」


別の兵士も空を見つめる。


「いや……待て」


「何だ?あの機数は……」


遠くに見える黒い点が、次々と大きくなっていく。


「戦闘機か?」


「いや、あれは……」


一人の兵士が双眼鏡を覗き込む。


「共和国空軍だ!」


「共和国?」


周囲がざわつく。


「援軍か?共和国は我々を支援するという話もあっただろ?」


しかし、機体は防衛拠点へ向かって真っ直ぐ接近してくる。


「おい……何かおかしくないか?」


次の瞬間、機影がはっきりと姿を現した。


「急降下爆撃機だ!共和国の八七だ!」


「なぜこっちへ向かってくる!?」


八七急降下爆撃機の編隊が、一斉に進路を変える。


そして、そのまま地上へ機首を向けた。


クゥーーーーーン……


独特の甲高い音が響き渡る。

機体が急速に大きくなっていく。


「まさか……攻撃してくるんじゃないか!?」


「逃げろ!」


兵士たちが一斉に走り出す。


その瞬間。


ピューーーーーン!


爆弾が投下された。


次の瞬間――


ドカーーーーン!!


大地が大きく揺れた。


二五〇キロ爆弾が地面へ叩き込まれ、土砂と破片が一気に吹き飛ぶ。


「うわぁぁぁ!」


「伏せろ!」


「対空砲!対空砲を撃て!!」


ババババババーッ!


対空砲が一斉に火を噴く。

空へ向かって猛烈な弾幕が張られる。

しかし、八七急降下爆撃機は怯まない。

次々と急降下し、爆弾を投下していく。


ドカーン!


ドカーン!


ドォォォン!


防衛陣地。砲兵陣地。弾薬集積所。通信施設。


共和国空軍は、偵察によって事前に確認された目標を次々と正確に叩いていく。


「命中したぞ!」


「砲兵陣地が吹き飛んだ!」


「通信施設もやられた!」


ポランド軍兵士たちは、ただ呆然と空を見上げていた。


共和国の航空機。


つい先ほどまで、援軍になると思っていた存在だった。しかし今、その機体はポランド軍に爆弾を落としている。


「……共和国は、本当に我々を敵としたのか」


誰かが呟いた。

その言葉に答える者はいなかった。

上空では、次の八七が急降下を開始していた。


よし!


「この辺りの目標は沈黙!」


隊長機から通信が入る。


「全機、爆装のため基地へ戻るぞ!」


「了解!」


八七急降下爆撃機の編隊が、次々と進路を変える。


爆撃を終えた機体が帰投する一方、その上空では、すでに次の編隊が戦場へ向かっていた。


ゴォォォォ……


「おい、見ろ!」


「同じ八七だ!」


帰投する機体と、これから攻撃へ向かう機体が空中ですれ違う。


一つの編隊が戦場を離れれば、別の編隊がその空域へ入っていく。


航空隊は、まるで途切れることなく攻撃を続けていた。


「各機、聞こえるか!」


「撃ち漏らした敵陣への攻撃を開始する!」


「了解!」


隊長機が地上を見下ろす。


「橋には手を出すなよ!陸軍さんが、この後すぐ使うからな!」


「了解!」


各機が散開していく。


「目標発見!」


「前方、野砲陣地!」


「敵砲兵陣地を確認!」


隊長機が目標を確認する。


「よし、行け!」


「了解!」


一機の八七が機首を下げる。


クゥーーーーーン……


再び、あの甲高い音が戦場へ響き渡った。

地上のポランド兵が空を見上げる。


「また来たぞ!共和国の爆撃機だ!」


そして八七は、一直線に野砲陣地へ向かって急降下を開始した。

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