↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
374/379

二つの補給路

執務室。


ラインが一通の電報を手に入室した。


「総統。スーデン国より回答が届きました」


私は顔を上げる。


「何だって?」


ラインは電報を読み上げた。


「共和国の公式見解は、貴国の物資輸送に関しては感知せず。以上です」


私は数秒、黙って考え込む。


「……なるほど」


小さく笑みを浮かべた。


「つまり……知らぬから、勝手にしろってことね」


ラインも静かに頷く。


「恐らくそのような意図かと。仮に問題が起きたとしても、『我が国は把握していなかった』という立場を取るつもりでしょう」


「その様ね」


スーデン国も難しい立場にある。

フィン国を見捨てたくはない。

しかし、シア国を必要以上に刺激するつもりもない。


だからこその、この曖昧な返答。


「外交らしい回答だわ」


私は苦笑した。

それでも共和国にとっては十分だった。

通過を明確に拒否していない。

つまり実質的には容認しているのと同じだ。

私は地図を机へ広げる。


「ならいいか」


赤鉛筆で二本の線を引いた。

一本は共和国から直接フィン国へ向かう海路。

もう一本はスーデン国を経由する鉄道路線。


「直接向かう船便とスーデン経由の鉄道でも物資を送って」


ラインはすぐに敬礼する。


「はっ!海軍、鉄道局、外務省へも同時に伝達いたします」


「お願い」


ラインが退室すると、私は地図を見つめ続けた。


「これで補給は二ルート」


海上輸送。そして鉄道輸送。


「どちらか一方が潰れても、もう片方で支えられる」


兵站は戦場の生命線。


前線でどれだけ勇敢に戦っても、弾薬も燃料も届かなければ勝てない。


だからこそ、共和国は最初から一つの輸送路に頼るつもりはなかった。


私は窓の外へ目を向ける。


「戦争は前線だけで決まるものじゃない。その後ろにある補給網こそが、勝敗を左右する」


静かな口調だったが、その言葉には確信があった。


その兵站は、すでに北方戦線を支えるために動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。