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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者: 稔


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各国の反応

総統執務室。


「ふぅ……」


私は椅子へ深く腰を下ろした。

昨日の記者会見を思い返す。

何とか乗り切れた。


少なくとも共和国の立場は世界へ示すことができた。


「問題はここからね……」


各国がどのような反応を示すのか。


支持する国。反発する国。

あるいは静観する国。


こればかりは予想がつかない。


「まあ、そのうち外務省や情報省から何かしら報告が上がってくるでしょう」


そう呟いたところで、扉がノックされた。


「総統」


ラインだった。


「どうぞ」


入室したラインは一礼し、書類を差し出す。


「外務省経由の報告です」


「もう反応が?」


「はい」


私は書類を受け取る。


「まず、フィン国ですが、共和国への支持を正式に表明しました」


「フィン国が?」


思わず聞き返す。

予想より早い。

ラインは静かに頷いた。


「おそらく武器輸出の件が影響しているかと」


私は少し考える。


「……なるほど。地理的にも比較的近い国だし、共和国との関係を良好にしておけば、武器取引も円滑に進む。そう判断した可能性は高そうね」


ふと机の上の書類へ目を向ける。


「ああ、そういえば。武器・弾薬輸出の準備書類が回ってきていたわね。準備が整い次第、輸出開始予定……」


私は納得したように頷いた。


「利害が一致したということね」


ラインも同意する。


「そのように分析しております」


私は次の書類をめくる。


「他には?」


ラインは一枚の紙を取り出した。


「ランス国ですが、早速抗議声明を発表しております」


私は一瞬だけ目を通し、書類を閉じた。


「……放っておきましょう」


ラインは苦笑する。


「承知しました。そのほか主要各国ですが、現時点では公式な表明は確認されておりません」


私は窓の外へ視線を向けた。


「まあ、そうでしょうね。各国とも事実確認をしている最中でしょうし、国内でも意見をまとめなければならない。簡単に結論は出せないわ」


ラインも頷く。


「おそらく数日は動きが続くかと」


「ええ」


私は静かに立ち上がる。


「慌てても仕方ないわね。その都度、一つずつ対応していきましょう」


「承知しました」


ラインは一礼すると、次の報告書を手に執務室を後にした。

世界はまだ、共和国の決断を測りかねている。

だが、その静けさは、嵐の前触れに過ぎなかった。


その日の午後。


執務室で書類に目を通していると、ラインが少し慌ただしく入室してきた。


「総統。至急、お会いしたいという申し込みが入っております」


私は書類から顔を上げる。


「至急?」


「はい」


ラインは一枚の受付票を差し出した。


「チュコモラ社、並びにチョコタ社の開発担当者とのことです」


「チュコモラ社?」


私は首を傾げる。


「聞いたことがないわね」


ラインは受付票を確認しながら答えた。


「チュコ国内の軍需メーカーです。現在、共和国へ視察に来ていたそうです」


「視察?」


「はい。戦車本体を製造するチュコモラ社と、戦車砲を製造するチョコタ社だそうです」


「……軍需産業?」


私は少し考え込む。


「そんな企業が、どうして私に?」


ラインも肩をすくめた。


「理由は伺っておりません」


「ただ、どうしても総統へ直接お会いしたいとのことです」


私は受付票を眺める。


「うーん……まさか営業じゃないでしょうね?」


その言葉にラインが思わず苦笑した。


「……飛び込み営業、でしょうか?」


私は笑ってしまう。


「そんな馬鹿な」


共和国の総統へ、軍需企業が飛び込み営業。

普通に考えればあり得ない。

だが、今は普通ではない。

チュコは共和国への帰属を宣言したばかり。

企業も今後の身の振り方を必死に考えているはずだ。


「……まあ、理由を考えていても分からないわね」


私は立ち上がる。


「会いましょう」


ラインもすぐに姿勢を正した。


「応接室へご案内いたします」


「お願い」


二人は執務室を後にした。


応接室では、二人の技術者が緊張した面持ちで共和国総統を待っていた。

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